年収2,000万を超える「新富裕層」に向けて不動産を活用した資産形成の提案を行っているプラン・ドゥ。
不動産経営おいては、時にリフォームやリノベーションなどを実施し、物件の価値を高めるといった取り組みも重要になってくる。同社の管理物件における取り組みについて、オーナーコンサルティングチームのシニアマネージャーを務める河合氏が解説する。
2011年新卒でプラン・ドゥに入社以来、中古RC造一棟モノの収益マンションに特化し、オーナー様の資産コンサルティングを始め、賃貸募集や、管理まで幅広く業務を経験。
【取得資格】
宅地建物取引士、上級相続支援コンサルタント、賃貸不動産経営管理士、マンション管理士、競売不動産取扱主任者など
物件の仕入れでは、「現場の情報」を重要視
我々は、「中古・郊外・RC」一棟モノマンションを中心に扱っているため、仕入れをする際にも、こうした物件の情報がたくさん入ってきます。そして、一次ジャッジに関しては各仕入れ担当者が判断をして稟議をあげます。
物件を検討する際には、数字などの情報も重要ですが、空気感や街並みといった「現場で感じるもの」についても大事にしています。今は、みなさんグーグルマップなどを使ってネット上で見れるからこそ、実際に現場にいくことでわかることもあります。現在、どういった方が住んでいるのか、なども含めた現場の情報を踏まえて、社内でその物件を購入すべきか否か検討します。
その際には、接道や資産価値に加えて、「どういった方に購入していただきたいか」ということも検討します。そして、販売ターゲットのイメージを固めた上で、仕入れの金額を決めていきます。逆に言うと、仕入れの時には、ある程度販売するイメージがついているのです。ただ、仕入れ後にプラス面マイナス面が出てくるケースもあるので、販売会議に関しては営業全員が参加して、各物件のポイントやターゲットについて議論を重ねることが多いです。つまり、全員が一丸となって販売戦略やターゲットを考えるという形で進めています。
中古物件の運営には「トラックレコード」が重要
我々が扱っている中古物件と新築物件の違いは多くありますが、最大のポイントは中古物件には過去のトラックレコードがあるということです。
その物件で「過去に実際に入居者が住み収益があがっている」という実績は新築物件にはな い絶対的な強みといえます。こうした賃貸履歴は、実績重視の金融機関への説得材料にもなる上に、不動産経営のシミュレーションの精度を高めてくれます。
一方、近年は修繕履歴の重要性も高まっており、賃貸履歴と同様に重要なポイントになっています。築10年程度までであればあまり大規模な修繕もなく、それほど差はないケースも多いですが、それ以降の物件については修繕履歴の確認と今後の予算の見極めが、物件を選ぶ上でのポイントになります。
分譲マンションなどでは、管理費・修繕積立金は毎月支払って管理組合が管理していますが、賃貸マンションにおいて定期的に積立金を集金している管理会社は多くありません。5億円以下の個人が保有しているような物件に関しては修繕計画がある物件も皆無に等しいといえるでしょう。
そのため、修繕履歴も残っていることが少なく、大規模修繕の履歴があればいいほうで細かい修繕費用や設備交換費用は資料が残っていないことがほとんどです。中古不動産の価値を決める重要な資料にもかかわらず、保管されていないことが多いため、買主側の立場としては保守的に見て履歴がないものは修繕していないと判断せざるを得ません。つまり、修繕履歴がない場合は仮に修繕していたとしても、修繕していない物件と同等の価格で判断されてしまう可能性があるということです。
そのため、可能であれば、すべての修繕履歴を残すことが理想ですが、エアコンや浴室、給湯器、キッチンといった高額な設備だけでも履歴を残しておくことが重要でしょう。塵も積もれば山となるため、こうした履歴があれば、売却する際に価値が上がる可能性があります。
中古物件を買う側は、修繕計画や予算計上は避けては通れないため、履歴がない場合には現在の建物の外観や共用部を調査して、過去の賃貸履歴から今後必要となる修繕費用を見積もる必要があります。しっかりとした目利きの能力と資金力があれば未修繕の物件に取り組むこともできますが、万が一想定外のトラブルや劣化があった場合、通常は売主に請求することが難しいため、大きなトラブルに発展するリスクを考慮する必要があります。
これらを踏まえて、手間と時間を節約しながら効率的に賃貸経営をしようと考えた場合は、信頼できる売主から修繕後の物件を買って、その後の管理やアフターフォローを任せるというスタンスが望ましいと考えられます。プラン・ドゥは物件の管理についてもノウハウがありますし、多くのお客様からご評価を頂いてます。そのため、自社物件販売でも、仲介案件でも弊社で管理することで安心していただけるケースも多くなっています。
適切なリフォーム・リノベーションで資産価値を高める
弊社が扱う中古物件は、築年数が経っていても十分な競争力があります。しかし、間取り、内装や設備などにはトレンドがあるため、それに合わせてリフォームやリノベーションを行う必要があります。こうしたリフォームやリノベーションにもノウハウが必要になります。
例えば、弊社で手掛けたある物件では、一部の部屋をリノベーションせずに、和室のある3DK (DKは6畳)のままで貸し出す一方で、残りの部屋は和室を洋室に変更し、2LDK(LDKは6畳)にリノベーションしました。1室減ってLDKを広げた形にしたのです。そうすると、リノベーションを施した部屋は、していない部屋より2万5000円ほど高い家賃で入居が決まりました。
一方で、リノベーションをしていない部屋は、ホテルで働く従業員のための寮として法人契約をしていただき、外国人の若者3名の入居が決まりました。この部屋は、キッチンも段落ちのもの(システムキッチンのようにコンロ一体型ではなく、別売りコンロを設置して利用するタイプ)でしたが、リフォーム費用をかけずに入居を決めることができたのです。
このように、「費用をかけてリノベーションし賃料アップを狙う」と「賃料は据え置きとしつつ費用は抑えて貸し出す」のどちらをとるかは、オーナーの方の本業との兼ね合いや、長期的な資産計画に合わせて経営判断し、コントロールする必要があります。
また、当然のことですが、リノベーション工事をする際には、費用対効果の検証が重要です。工事費用・工事期間に対し、「どの程度の賃料アップが期待できるのか」を冷静に判断する必要があります。
例えば、築30年以上のRC単身者向けマンションでは、バス、トイレ、洗面台が一体となった3点ユニットの物件は珍しくありませんが、日本人には敬遠されがちという面があり、それら水回りを分けるセパレート工事が流行した時期がありました。しかし、 工事費用がかかる割には、賃料アップは見込めないことが分かり、今は「3点ユニットに応じた家賃設定で貸した方がいい」という考え方が主流になっています。
一方で、築年数がたっているからこそ、問題をチャンスに変えることができたという事例もあります。昨年弊社が販売した昭和63年築の物件は、外観がタイル張りで各専有部の面積も広く、都心部へのアクセスも良い優良物件でしたが、1階部が半地下となっていました。
この半地下の1階部が、ゲリラ豪雨によって浸水してしまい、入居者も当然退去、部屋は泥まみれという悲惨な状態になってしまったのです。加えて、元所有者の方が高齢であったため、手間をかけて修繕するくらいであれば早期で売却したいという意向がありました。
このような状況の中で、弊社が物件を購入し、1階部のリフォーム工事に加えて、浸水を防ぐための排水ポンプの工事や道路工事など自治体にかけあって行いました。新たな姿になったこの物件は、昨年の9月に新しいオーナーの方に売却しましたが、今日まで高稼働の状態が維持されています。
この物件のように、築年が経っていて管理や建物状態に不安が残るという理由で手放すような方も多くいます。また、築30年前後経つことにより所有者が点々としたり、相続で引き継がれたりして長期的な視点に立った修繕や管理ができていないケースもよく見られます。そうした場合、適切なリフォームを施せば、資産価値が高い物件へと再生させることができます。
このように資産価値を向上させることができる可能性を有している点が中古RC物件の魅力です。同時に、中古の物件を運営していくには、リノベーション、リフォームを含めた物件管理のノウハウが非常に重要になりますが、プラン・ドゥはその点において様々なノウハウの蓄積があります。
また不動産経営を行なっていく上で重要になるのは、しっかりとリーシングすることです。そのための方法は非常にシンプルで、入退去の管理やクリーニングやリフォーム手配を行い、客付け会社にきちんと情報を周知させることです。
空室を埋めるには、「部屋をキレイにすること」が基本となります。そのため、退去になった部屋は迅速に原状回復工事や必要なリフォームを実施することに加えて、一棟丸ごと管理している会社としてエントランス・廊下・ゴミ置き場・EV・駐輪場など、常に全体をきれいに保っておくことが一つひとつのお部屋の入居促進につながっていくのです。
物件購入はゴールではなく賃貸経営のスタート
物件購入はゴールではなく賃貸経営のスタートです。我々がターゲットとしている年収2,000万を超える新富裕層の方々に対しても、「購入後にどのように賃貸経営に向き合うべきか」について建物管理などのコスト面からもお話しさせていただきます。
不動産、賃貸物件と言う資産は、長期的・経営者的視点を持たずに、目先の損得で物事を判断していると、十分に活用することができません。例えば、家賃が1000円上がると聞けば、良い話のように感じますが、わずか1000円のために2カ月も空室となってしまうようでは、本末転倒です。このように不動産のオーナーは、目先の小さなお金のために、大局を見失わないようにしなければなりません。
弊社が郊外の物件を中心に取り扱っていながらリーシングが強い理由は、そもそも賃貸需要の高い場所を選んでいることに加えて、長らく郊外型の物件を取り扱っているため、当社が郊外に強いと客付け会社に周知されている点もプラスに作用しています。
さらに、弊社は管理会社でもありますが、主たる事業は収益不動産の売買です。そのため、売買から関わっているケースが多く、物件の修繕歴やレントロールを把握しています。つまり物件の特徴や強みをよく理解しているため、リーシングにもつながっているのです。