年収2,000万を超える「新富裕層」に向けて不動産を活用した資産形成の提案を行っているプラン・ドゥ。

同社では、多様な不動産投資手法の中でも「首都圏×中古×一棟RC」の組み合わせを推奨している。同社が推奨する「RC一棟物件」の魅力とは、どのようなものなのだろうか。同社のオーナーコンサルティングチームの中原氏が解説する。

中原 駿
監修者・中原 駿(ナカハラ シュン)
株式会社プラン・ドゥ。オーナーコンサルティングチーム。 一橋大学社会学部卒。2019年新卒でプラン・ドゥに入社以来、オーナー様の資産コンサルティング業務に従事。

【取得資格】
宅地建物取引士,賃貸不動産経営管理士

自分でコントロールできる部分が多いことが一棟の魅力

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(画像=(写真=ronstik/Shutterstock.com))

一棟物件には、空室リスクを分散することができるというメリットがあります。区分ワンルームの場合は、入居者がいなければ家賃収入もゼロです。しかし、20室ある一棟物件であれば、仮に4室が空室となっても入居率80%保てていることになり、収入が0になる期間が生まれる可能性は低くなります。

また、郊外のメリットとして、同じ物件規模でも都心物件よりも部屋数が多くなることが挙げられます。そのため、空室が発生したときも、入退居の際の総収入が大きく減るリスクが少なくなります。例えば、同じ2億円のマンションでも、 20室ある物件と8室ある物件では、空室が出たときのダメージは前者のほうが小さくなります。

原状回復リフォームも戸数をまとめて発注することで低コスト化したり、部屋の状態によって順番にリフォームを行ったりといったコントロールが可能です。戸数の多い一棟物件でなければ、こうしたコントロールはできませんし、スケールメリットを使って割安にリフォームすることもできません。

ただし、戸数を多くして1室あたりの家賃を低くし過ぎると、リフォーム費用に見合わなくなりますし、住む人の属性が悪くなっていきます。安い家賃に入居する人のほうが相対的に部屋の使い方が荒い傾向があるため、部屋の状態が悪くなりやすくなります。そのため、必ずしも「戸数が多いほうがいい」とはいえず、あくまで家賃とのバランスが重要になります。

現在は、「同じ入居者にできるだけ長く住んでほしい」というトレンドになっているため、住環境に優れ、それなりの広さ、設備があるという条件が求められています。こうした側面から考えても、ある程度の規模があり、設備の整った中古一棟RCに優位性があるのです。

時代に合わせて給水設備やエレベーターをアップデートできる

また、一棟への投資は、建物全体に対するコストコントロールをしやすいというメリットもあります。

例えば、共同住宅における給水と聞くと、物件の横や屋上に設けられた巨大な貯水槽をイメージする方も多いでしょう。実際、多くの建物で、貯水槽に貯めた水をポンプで各戸に運ぶ「貯水槽水道方式」が用いられています。しかし、現在では、技術の進歩とともにまったく新しい給水方式も採用されるようになってきています。

それが 「直結給水方式」です。これは、水道管に流れる水を貯水槽に貯めることなく、直接もしくは増圧ポンプを使って各戸に届けるという方式です。東京都水道局では平成7年10月から直結方式を採用しており、最近は東京都、横浜市、さいたま市など多くの自治体が直結方式への転換を推奨しています。

非常時の備えという意味では貯水槽水道方式に分がありますが、水の衛生環境、ランニングコスト、余計なスペースを必要としないなど、直結方式のほうがメリットは多くなっています。物件のある地域を通る水道管の口径や水圧によっては、切り替えができない場合もあるものの、こうした方式への切り替えも一棟物件の方がやりやすいでしょう。

また、一棟物件において、入居者目線でほぼ必須といえるのがエレベーターですが、客付け面では大きな戦力となる一方で、電気代や定期点検などのコスト面のインパクトも非常に大きくなっています。

従来はエレベーターを製造する「メーカー系」の会社が自社製造したエレベーターの保守点検を行うという流れがほとんどでした。そのため、各社はエレベーターの本体価格自体を抑えており、その分、保守管理が割高になるという傾向がありました。

こうした状況の中で登場したのが、エレベーターの保守点検のみを行う独立系の会社です。こうした会社は、エレベーター本体の開発を行わないため、保守点検の費用をメーカー系よりも抑えることができます。当初はメーカー系が特定の部品を独立系に供給しないといった対立がありましたが、平成5年に部品供給が独占禁止法違反に当たるとの判例が出たこともあり、今では独立系の企業もシェアを伸ばしています。

給水方式やエレベーターの例からもわかるとおり、時代の流れに沿って設備や管理のあり方は変化します。一棟物件であれば、こうした変化に対して、自分の好きなタイミングで設備や管理形態の入れ替えを検討することができるのです。

もちろん、区分マンションのオーナーという立場でも変更は可能ですが、区分マンションのオーナーが、保有物件の管理組合の一員として物件管理に関して働きかけをする心理的・金銭的・時間的負担は大きいため、実施にはそれ相応のコストがかかると言えます。一棟であれば、給水やエレベーターの方式についても、比較検討した上で自分自身の判断でカスタマイズすることができます。

また、修繕のタイミングをコントロールできるというメリットもあります。「少し利益が出すぎたかな」というタイミングで、あえて修繕を行い、経費に計上するということもできるのです。このように自分でコントロールできる部分が大きいことが一棟物件の魅力と言えるでしょう。

さらに、自動販売機や屋上に基地局のアンテナを設置することで月額数万円の利益を得ることができる場合もあります。

「購入できる人」にはメリットの大きい一棟物件

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(画像=プラン・ドゥ提供)

数年前に、ある銀行の不正があったことなどもあり、銀行の融資基準も厳しくなってきています。そのため、一棟RC物件を購入できる人も限られてきています。一方で、バブル期に建てられたRCマンションは、所有者の方が亡くなってしまい相続が発生するなどの事情によって、一定数ある状態となっています。購入できる人は少ないのに、供給が多いという状態であるため、いい物件を割安で購入できる環境にあるのです。

現在は、新型コロナウイルスの影響によって不動産投資に注目が集まっているという話も聞きます。株式は半額になる可能性もありますが、家賃収入が半額になることはないからです。以前、通帳の額を改ざんすることによって、本来であれば不動産を購入することができない人に購入させるといったスキームが流行したことがありましたが、現在は、「買うべき人にとっては良い条件で良い物件が買える」という正常化が進んだ状態だと言えるでしょう。

また、現在では、「もう大規模開発ができるような土地が残っていない」「建築資材の高騰」といった事情によって、バブル期に建てられたようなRC物件を新たに建てて、利回り商品として販売してくというやり方は採算が合わなくなってきています。そして、そういう状況にあるからこそバブル期に建てられた、しっかりした一棟RC物件であればメリットが発揮しやすい状況になっているのです。

郊外と聞くと、「家賃の下落リスクがあるのでは」というイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、実際は30年以上の間、郊外のほとんどのエリアでは家賃に変化はありません。この間には、バブル崩壊、リーマンショックなどの経済危機が起こっています。都心の高額物件には賃料が下振れした物件も多かったものの、郊外の家賃は大きく下落することはありませんでした、

不動産投資においては、「物件の価値」と「個人の属性」によって、投資できる物件の種類もある程度決まってきます。そのため、「中古×郊外×RC一棟」と年収2,000万以上の「新富裕層」は、不動産投資のメリットを最大化しやすい組み合わせと言えるでしょう。

コロナ禍の中でも減らない需要。今後は郊外ニーズの増加も

実際に、弊社のお客様はコロナ禍の中でもでも減っていないという印象があります。確かに「コロナで手元の資金がないので」「先行きがわからないので」というお客様もいらっしゃいます。

しかし、一方で逆に「今だから買える」「このような状況だからこそ割安のものがあるんじゃないか」と考えて、物件を探していらっしゃる方もいます。こうした方々は、常に購入できるように、金融機関などとも話しをしています。そのため、市況が悪くなった時こそ動くことができるのです。また、リモート勤務で時間ができたからこそ逆に検討できるようになったという方もいらっしゃいます。このようにコンスタントに需要があるのです。

一方で、コロナの影響で郊外のニーズが高まっているという面もあると思います。これまでの不動産投資では、「駅近」という条件が非常に重要でしたが、今後はメリットが減っていく可能性があります。もちろん、駅近のほうが好ましいでしょうが、致命的な要素にはなり得ないのではないでしょうか。

そもそも駅近が人気だった理由は、通勤に便利だからです。しかし働き方改革や新型コロナウイルスの感染拡大の影響で「毎朝満員電車に揺られて通勤し、同じ時間・場所で働く」という常識が崩れかけています。

企業も優秀な従業員を雇い、長期的に働いてもらうためには、柔軟性のある働き方が実現できることをアピールする必要があります。現在でもWi-Fiさえあれば進行できる業務が増えており、わざわざ都心のオフィスに出勤する必要性は薄れています。今後、5Gが普及すれば、映像でのコミュニケーションもさらにしやすくなるでしょう。また、女性活用という文脈での育児・家事とキャリアとのの両立、介護問題への対応などの事情を考えれば、「固定されたオフィスで働くという概念」は、今後薄まっていく可能性が高いと考えられます。

もちろん、必ず出勤しなければならない職業もありますし、将来的にあらゆる職業・職 種で通勤の必要がなくなるとは考えられません。しかし、長期的に見れば、これまでのような「週5日出社」を義務付ける会社が減っていくことは間違いありません。こうした諸々の事情から、「家賃が都心よりも安く、落ち着いた住環境である郊外のほうがいい」という人が増えてもおかしくはありません。

実際に、弊社の管理物件でも今年の5,6月に神奈川県の橋本駅から徒歩16分というファミリータイプの物件の空室が短期間で3つ埋まりました。しかも、相場よりも高い賃料で決まっています。

申し込みの理由を見ても、「リノベーションにより設備が新しくなっているから」「街の雰囲気が好きだから」「部屋の広さ」というように、住環境重視の傾向が見て取れます。 遮音性や耐久性・耐震性など、木造や鉄骨造と比較したときのRC造のメリットは、「住みやすさ・安心」という側面のものがほとんどです。 そうした面に注目する人が増えれば、郊外の一棟RCのニーズは高まっていくのではないでしょうか。