体温を感じる「オンラインサロン」が求められる

リーダーには、夢に向かってメンバーを率いていく力強さと、メンバーのことを思いやる優しさの、両方が求められます。しかし、両方を兼ね備えるのは、実際には難しい。どちらがより重要かと言えば、力強さであり、成果を出すことでしょう。

ドラゴンボールの孫悟空はとびきり優しいですが、彼が仮に弱くてへなちょこだったら、冒険が成立しませんよね。メンバーのケアは、それが得意なメンバーに任せてもいいと思います。僕自身も、しばしば、そのようにしています。

さらに言うなら、リーダーがメンバーを意識してケアを施したりマイクロマネジメントせずともメンバーが自発的にリーダーの夢の実現のために動くのが、理想の組織なのでしょう。それに近いのが、いくつかの伸びているオンラインサロンだと思います。

オンラインサロンには主宰者が何かを教える教室のようなものもありますが、そうしたオンラインサロンは盛り上がりにくい傾向にあります。参加者が個々に主宰者とつながり、知識やスキルを受け取るだけで、参加者同士の横のつながりが生まれにくいからです。

盛り上がるのは、まず主宰者が大きな「旗」を立てて、その旗めがけてみんなで向かっていく、そんな温かいメンバーが集ったオンラインサロンです。

主催者はがむしゃらに夢を追うだけで、そこまで参加者のマネジメントなどに時間を割くことはないのですが、自然と参加者同士が結束して、主宰者、サロン内に新しく生まれるリーダーたちを応援しています。

全員がオンラインサロンにおける自分の存在意義を感じながら、夢中になっているのです。そこには、旗に向かう過程で生まれる、強固な人間的つながり、言うなれば「絆」のようなものが介在します。この構造は、SHOWROOMの配信者と視聴者の関係にも近いと思います。

営利か非営利か、リアルかバーチャルかを問わず、このような「絆で結ばれる」形の組織がこれからの社会では増えていくでしょうし、僕自身も、そうなることで世界がもっと温かい場所になることを強く望んでいます。

前田裕二(SHOWROOM代表取締役社長)
(『THE21オンライン』2020年09月25日 公開)

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