10月31日、映画「007シリーズ」で初代ジェームズ・ボンドを演じたサー・ショーン・コネリー死去のニュースが世界を駆け巡った。享年90歳で、バハマ諸島の自宅で家族が見守る中、安らかに眠るように息を引き取ったという。

コネリー氏といえば、今年6月にかつて同氏が所有していた南フランスの豪邸が3000万ユーロ(約37億1607万円)で売りに出されていたのをご存知だろうか。米誌ピープルによると、ベル・エポック調のその超高級ヴィラはコネリー氏主演の映画『ネバーセイ・ネバーアゲイン』(1983年公開)にも登場した物件だという。筆者もその超高級ヴィラの写真を拝見したが、物凄い豪邸である。

近年、欧米諸国をはじめとする高級住宅市場は価格崩壊(Premium Property Crisis)が懸念されていたが、後段で述べる通り一部では新型コロナ危機が意外な追い風になっているとの報告もある。旧コネリー邸の所有者はもちろんのこと、世界中の富裕層や不動産投資家も高級住宅市場を気にかけていることだろう。今回は新型コロナ禍の欧米の高級住宅の話題をお届けしよう。

ロンドン、EU離脱の国民投票でピークアウト?

海外不動産投資,アメリカ
(画像=Bonandbon / pixta, ZUU online)

近年、ロンドンやニューヨーク、香港といった国際都市では高級住宅価格が下落傾向にあった。その中でもピークアウトが最も顕著に見られたのがロンドンである。

英不動産大手Savills等のインデックスによると、2014年前後のロンドンは「世界で最も住宅価格の高い都市」の座をキープしていた。ところが、2016年6月のEU離脱を問う国民投票で情勢は急変、1000万ポンド(約13億8010万円)以上の高級住宅の売上高は前年比86%に減少した。EU離脱を警戒した富裕層がロンドンの高級不動産への投資に見切りをつけたことがピークアウトを招いた原因の一つと見られている。

一方、ニューヨークの不動産仲介業者Street Easyは2019年第4四半期(10〜12月期)のマンハッタンの高級住宅の平均価格が382万ドル(約3億4305万円)と、2013年以来の低水準に落ち込んだと伝えていた。米高級住宅の価格崩壊への懸念はかねてより囁かれており、たとえばカリフォルニア州に拠点を置く不動産会社Moveが運営するRealtor.comは、米住宅ローン金利の上昇やトランプ米政権による税制改革法案、株式市場のボラティリティ、住宅価格の急激な上昇などが複合的に影響して「2019年の米国の高級住宅販売は減速する」との予測を的中させている。同予測によれば「上がったものは下がらなければならない」ということのようだ。

そして、このような状況下、2020年に襲来したのが新型コロナ危機だった。

新型コロナ禍で高級住宅市場が息を吹き返す?