本記事は、小川哲也氏の著書『超プロの工程管理コンサルタントが教える 残業ゼロ社員の「やらない力」』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋・編集しています
(4)他人に振るためのシステム構築(タスク分担)
◉小川式「工程管理変革プログラム」の6つのプロセス
(1) 目標設定(自分のなりたい姿を強く脳に刻み込む)
(2)(自分の)時間の価値の計算
(3)「やるべきこと」と「やらないこと」を決める
(4) 他人に振るためのシステム構築(タスク分担)
(5) スケジュール管理表の活用
(6) ToDoリストで分単位のタイムマネジメント
やらなくていいものが明確になれば、それをどうするかを考えなければいけません。
自分がやらなくていい、やるべきでないと位置づけたものも、誰かがやらなければ全体の仕事は前に進みませんから。
つまり、「やらなくていいこと」も、誰かがそれをやらなければ業務全体や組織が前に進まない事柄なのです。
そこで、そうした仕事を誰に任せるか、誰に振り分けるかを考える、つまり仕事の仕組み、システムづくりを進めていく必要があります。いわゆる「タスク分担」を構築していくわけです。
各々の役割分担を明確にして、最適な業務環境を先に作らなければ、おそらくあなた自身もやりたいことに集中できません。
目標達成のために、どこまでも個人主義を貫くことは実は必要なことなのですが、それに終始していては同時に大きなリスクを抱えてしまうことにもなりかねないからです。
ですからタスク分担は、あなた自身の目標達成のための重要なプロセスのひとつということができます。
●タスク分担で自分の時間を確保しよう
ちなみに私の場合は、自分の「やるべきこと」の中から実務を排除しましたから、それに該当する設計や図面作成業務については、協力会社を見つけて任せていきました。
やや難易度の高いものは協力会社に振って、そうでないものは若い社員に委ねる。一つひとつの仕事を誰に振るか、すべてリスト化したわけです(図4、図5)。
経営者によっては、「そんなことをしたら、協力会社への外注費で利益が減るのでは?」などと考えてしまうかもしれません。
でも、プロジェクトごとに外注費の大枠はあるはずで、普通は予算の3割などのコストが確保されています。その枠内で効率的に仕事を振ることを考えるのです。もしも外注費が予算をオーバーするようなら、なんとか社内で完結する必要もあるでしょう。
ただ、外注費3割を厳守(節約)するよりも、新規顧客を集めた(新規顧客と契約した)ほうが何倍も利益が大きくなり、長期的に見ても、売上低下のリスク回避にもなることはまぎれもない事実です。
ともかく、ここでは「やらないこと」を明確化したうえで、実際に自分ではやらないことが重要なのです。
やらないことを作り、やるべきことができる時間を確保して、それによって新たな売上を作ることが目的です。コスト負担が少しは増えることも織り込み済みで、システム構築を考えるべき。それもひとつのタスク分担であり、社内の新たな仕組みづくりなのです。
私は半年で3億円を売り上げたとき、協力会社に仕事を出し過ぎて外注費が見込みよりオーバーして社長にぶつぶつ言われましたが、そうやって結果を出していたから大きな問題にはなりませんでした。
経営者にとっては、そうした覚悟も必要になると思います。
もうひとつ、大切なことがあります。
自分にとって「やらなくていいこと」を担ってくれる協力者は、自分の仕事を代わりにやってくれる大切な存在です。ですから、彼らに対しては感謝の気持ちしかありません。
自分の目標達成のために協力してくれる人たちですから、私にとっては現実的な本当のヒーローであり、常に感謝の言葉をかけるべき存在なのです。
実際に私は、後輩や同僚、外注会社のスタッフの人たちにも「ありがとう」という言葉を積極的に伝えていきました。そうした心遣いも、目標達成には必要と言えるのです。
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