本記事は、小川哲也氏の著書『超プロの工程管理コンサルタントが教える 残業ゼロ社員の「やらない力」』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋・編集しています

(2)(自分の)時間の価値の計算

経営改善の鍵は間接費の削減にあり!手法、効果を解説
(画像=thanksforbuying/stock.adobe.com)

◉小川式「工程管理変革プログラム」の6つのプロセス
(1) 目標設定(自分のなりたい姿を強く脳に刻み込む)
(2)(自分の)時間の価値の計算
(3)「やるべきこと」と「やらないこと」を決める
(4) 他人に振るためのシステム構築(タスク分担)
(5) スケジュール管理表の活用
(6) ToDoリストで分単位のタイムマネジメント

●あなたに必要な「時間給」はいくら?

この本のテーマのひとつに「残業をいかになくすか」がありますが、残業という概念の根底にあるのは「時間管理」です。当たり前のことですが、仕事を定時に終わらせられれば、残業は生じません。

ということは、残業をしなくて済むようにしたいならば、定時=会社の就業時間内にきちんと仕事を終わらせればいいのです。つまりは、時間管理を自身で徹底させることです。

時間管理を行うことで、結果的に残業ゼロも実現することはできますが、その目的はもっと大きなところにあります。

「目標達成&願望成就のための『時間管理』」であるべきなのです。

言うまでもなく、時間は誰にとっても平等です。

1時間の長さは、この地球上の誰にとっても寸分の狂いもなく平等に60分、分け隔てなく3600秒です。

だからこそ肝心なのは、平等に与えられた「時間」をほかの誰よりも濃密にすること。掲げた目標とそのために必要な金額を得るために、自分がどのような時間管理を行うべきか。その中身を明確にするのです。

それが「目標達成&願望成就のための『時間管理』」であり、あなたにとっての生産性の向上なのです。

ちょっと抽象的でわかりにくければ、もっと直接的な説明をしてみましょう。

目標達成&願望成就のための時間管理とは、つまりはあなたが目標を達成するために必要な「時間の価値」を算出することから始まります。

難しいことではありません。例えば、あなたが今1日8時間働き、年間で230日働いているとします。そして年収は600万円としましょう。

そうすると、労働時間1時間当たりの収入を計算したとき、約3260円です。これが、あなたの現在の労働に対する「時間の価値」となります。

「目標達成に必要な金額」は、すでにあなたの頭の中にあるはずです。その金額を1年間の単位に落とし込み、それを1時間当たりに換算していけば、あなたの目標達成に必要な「時間の価値」が出せるわけです。

ですが、私の「工程管理変革プログラム」では時間の価値を算出するために、もう少し考え方を深めていきます。

●「時給13万円強」が私の「時間の価値」になった

目標のためにお金がいくら必要なのか。そのために意識すべき「時間の価値」はいくらなのか。私の場合を例にとって、もう少し具体的に説明してみましょう。

私が目標とした金額は、年間8500万円でした。

その金額をよりわかりやすくするためにも、時給に換算してみるとよいでしょう。

それが例を示して説明した「時間の価値」の計算です。

そこでは、1日の労働時間を「8時間」としました。でも実際の仕事の中で、1日に8時間もの生産的な時間を過ごせる人は、まずいないと思います。

8時間の就業の中で、同僚と話したり、ぼーっと考えごとをしたり、ひたすら探し物をする……といった時間など、自分の目標達成に関係のない仕事に費やしてしまう時間は、実は相当に多いわけです。労働時間と「生産的な時間」には大きな差があるということです。

ですから、単純に8時間分の価値を求めたのでは、実際の仕事の中身として、足りていない。その「非生産的な時間」があることをあらかじめ考慮して、その分、時間に掛け算を施す(3を掛ける)というのが、この変革プログラムの考え方です。

これは、前述の経営コンサルタント、ダン・ケネディが紹介している計算方法で、私の人生変革に大きな影響を与えてくれた概念です。

算出方法は、次の通りです。

◉あなたの目標を実現するために必要な金額〈目標値〉〔   〕円

年間の労働時間(8時間×230日=1840)で割る ÷〔   〕

=1時間当たりの基本的な収入目標額〔   〕円

非生産的な時間を勘案して、掛け算をする ×3

→自分の目標達成のために必要な、1時間当たりの〈時間の価値〉={   }円

ちなみに私の場合は、当時の年収が850万円でしたから、従来の1時間当たりの収入は4620円でした。

それを「年収10倍」の目標値に置き換えて、求めるべき時間の価値を算出したところ、なんと1時間当たり13万8600円という額になったのです。

これは衝撃的でした。日給に直すと、なんと約36万9500円です。

ともかく、1時間に約13万8600円、1日に約37万円を稼ぐことができる状況を作らねばならない……自分の仕事に対する概念が、そこで根底からくつがえされたのです。

●自分ならできる。そう強く思うことから成功は始まる

1日に37万円なんて、稼げるわけない……。そんなふうに思う人もいるかもしれません。でも、そこで自分に「ムリだ」という壁を作ってしまっては前に進みません。

それを現実にするために、自分が何をしたらいいのか。1日37万円を稼ぐにはどうしたらいいのか? その発想で考えなければいけません。

会社で何をすればそれだけの金額を得られるのか、それを考える。その前提として、目標に到達したいという強い意志は、決定的に必要なのです。

その結果、「自分はサラリーマンのままじゃダメだ」と思う人もいるでしょうし、そのときには別の道を探ったほうがいいかもしれません。

でも、5年後に目標に届かなかった自分、何も変わらなかった自分……というマイナスの状態は考えてはいけません。「できる」とイメージすることが非常に重要なのです。

自分自身の人生における目標を設定しなければ、決して何も生まれません。結局、その人は何も変わらない……ということで終わってしまいます。

自分にはできる。そう強く思うこと。そこから、自己変革につながるすべてが始まるのです。

●なぜ私が「5年間で年収10倍」という目標に到達できたのか

年収10倍なんて、それまでと同じ仕事をしていて達成できるわけがない、と思った方。劇的な転職でもしなければ、到達なんかできない……と考えてしまう方も少なくないでしょう。

確かに「従来と同じこと」をしていたのでは、到達することなど絶対にできません。しかし、仕事の中身を変えれば、それは可能なのです。

実際に私は、職場を変えるといったドラスティックな変化をしなくても、年収を10倍にするという目標に到達できると確信しました。

それは、自分の年収を10倍にするには、会社の売上を10倍にしなければ到達できないと考えたことがひとつのポイントでした。そのためにはどうすべきか。そこから、独自の工程管理という手法につながっていったのです。

自ら工程管理の変革を実践することによって、見えてくる景色は大きく変わります。

考えてみてください。転職して新たなスキルを身につけて……なんてやっているほうが、よっぽどリスクは大きいでしょう。時間もお金もかかるし、何よりも当たりはずれが大きなバクチみたいなもの。そんな不確かなものに貴重な時間やエネルギーは注げません。

それよりも、自分がやってきた仕事は、すでに多くのノウハウを持っているわけですから、やり方や仕組みさえ変えれば、必ず変化が訪れます。職種や仕事を変えるのではなく、今の会社で意識と仕組みを変えればいいのです。

ただしそこでは、自分自身のマインドを突き抜かせることが重要です。私の場合は、会社は自分の目標を達成するために利用するもの、という考え方も必要でした。

新たなマインドセットやイメージトレーニングも、強固な目標設定においてはとても重要ということが言えるのです。

超プロの工程管理コンサルタントが教える 残業ゼロ社員の「やらない力」
小川哲也(おがわ・てつや)
株式会社川越コンサルタント代表取締役。工程管理コンサルタント(建設コンサルタント)。1966年、愛知県名古屋市生まれ。明星大学卒業後、医療機器メーカーに就職するが、部署の統廃合により半年でリストラされる。土木建設コンサルタント会社に入社。50歳を目前に控えた2012年、独学でイメージトレーニングとマーケティングを学ぶ。さらに、それらをプロジェクト・マネジメントと融合させ、独自の技術として体系化させた。プロジェクト・マネジメント技術の実践で「自己啓発セミナーの販売会社」を企業内起業。起業後半年で、勤務していた会社の経営を再生させる。さらに、残業が当たり前だった同社の労働環境を、定時退社できる環境に変えた。2015年に退職後、株式会社川越コンサルタント設立。「工程管理メソッド」を活用したコンサルティングは評判を呼び、建設業界のみならず日本中の会社から問い合わせが殺到している。

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