本記事は、小川哲也氏の著書『超プロの工程管理コンサルタントが教える 残業ゼロ社員の「やらない力」』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋・編集しています
人生を変える「工程管理変革プログラム」の6つのプロセス
あなたが、ご自身の業務を進めるうえで、ネックになっていることは何でしょうか。
仕事が定時で終わらない。自分がやるべき仕事に集中できていない。やらされ仕事ばかりでモチベーションが上がらない。思うような成果が上がらない……。
あなたに起こっている問題を、まずは明確にしましょう。
今、社会経済情勢の急速な変革によって、発注者自身の急速なシステム改革が始まっています。つまり、発注者は自分たちよりも「改革できない」「自ら行動しない」といった技術者には、業務を任せられないと感じているのです。
そのひとつが、国が進めている働き方改革の影響です。
これによって、年度末の長時間労働や深夜残業を未だに続け、生産性を向上できないような働き方では、次第に相手にされなくなっていきます。
本当の意味での残業ゼロを目指し、生産性を飛躍的に向上させて、設定した目標へとたどり着く。そのための変革プログラムをあなたも身につけ、実践してください。
「工程管理変革プログラム」は、大きく6つのプロセスから成っています。
◉小川式「工程管理変革プログラム」の6つのプロセス
(1)目標設定(自分のなりたい姿を強く脳に刻み込む) (2)(自分の)時間の価値の計算 (3)「やるべきこと」と「やらないこと」を決める (4)他人に振るためのシステム構築(タスク分担) (5)スケジュール管理表の活用 (6)ToDoリストで15分単位のタイムマネジメント
(1)の「目標設定」に応じて、それを達成するために必要な、あなた自身の(2)「時間の価値」を算出します。次いで、その価値を実現するために、あなたの仕事の中で(3)「やるべきこと」と「やならくていいこと」を仕分けしていきます。
もちろん、あなたが「やらないこと」は誰かに代わりに行ってもらう必要がありますから、そのための(4)「タスク分担」を決めていきます。
そうやって、目標到達に向かってあなたがやるべきことが定まれば、あとは(5)スケジュール管理を明確にして、(6)ToDoリストによって実行に移せばいいわけです。
(1)目標設定(自分のなりたい姿を強く脳に刻み込む)
●圧倒的な生産性の向上は果敢な目標設定から始まる
これは、あなたのスタートに際して、最初に位置すべき極めて大切な事柄となります。
すべてのことに先立ち、最初に行う非常に重要なこと、それが「目標の設定」です。目標がなければ、何も達成することはできません。
よほど能力がある人が、何かのきっかけで瞬発的に結果を出すこともありますが、そうしたケースは決して多くありません。
「生産性や効率性を上げる必要がある」とよく耳にしますが、では、生産的とはいったいどのような状態を意味するのでしょうか。
ビジネスを行っているどのような立場であっても、生産的とは「測定可能な方法で、意義ある目標に近づけるよう考慮された方法」で「入念かつ、戦略的に自分の時間、才能、知性、エネルギー、資源、チャンスを投資し、ビジネスからお金を引き出すこと」を言います。
平たくいうと、目標もなく、目標とのつながりもない状態では生産的には決してなり得ない、ということです。
同時に、達成度を測れない状態では、目標に近づいているのかどうかがわかりませんし、戦略的に投資し、行動することはできません。
目標にしっかりと目を向け、目標に向かう動きを測定することに没頭していなければ、どんな仕事だろうと、どんなことでも自分が思った通りには実現しません。
私が考える仕事を進める上での7つの要素、企業が目標や目的を達成するために必要な要素です。
(1)将来像(ヴィジョン) (2)競争優位性(強み) (3)強いメンタル(パッション) (4)資源(リソース) (5)協力体制(協力者) (6)並外れた戦略(ストロング・ストラテジー) (7)行動計画(アクションプラン)
この7項目は、自分の目標を達成するために必要な事柄であり、言い換えれば、この7項目を定義することが、企業および経営者にとっての目標を明確にすることです。
最初に「目標ありき」なのです。その目標に向かって正しい方角と位置を向いているかどうかも重要です。
東京に住んでいるあなたが「富士山に行こう」と考えたときに、九州に住んでいる友達にどの方角に向かえばいいのか尋ねたとします。
九州に住んでいれば、富士山は方角でいえば東に当たりますから、あなたに「東ですよ」と答えてしまうかもしれません。そこで、あなたが聞いた通りに東に向かってしまうと、いつまで経っても富士山にたどり着くことはできないのです。自己啓発など成功体験を目指す際に犯しがちな過ちとしては、往々にしてあることなのです。
つまり最初の目標設定を行う際に、正確なポジションや立ち位置を間違えてしまうと、まるで違った方向性の目標を定めてしまいます。
●「5年後にあなたがなっていたい姿」を明確にしよう
最初の「目標設定」は、シンプルに「自分がなっていたい姿」を定めるということでいいのです。自分の将来像を逆算して、人生の進路を明確にすることです。
・5年後 ・3年後 ・1年後
ここで大事なのは、まずは自分が目指す目標を明確に設定すること。自分自身の目標を高らかに設定するだけで、あらゆる面で自分のパフォーマンスが向上します。
1人になり、心を落ち着けられる場所で、頭をクリアにした状態で自分の人生の目標を設定し、「達成する!」と決断してください。
会社の目標、ISOの品質目標、部署ごとの目標などはあくまでも他人の目標です。
経済面やキャリア、家族、恋愛、その他、自分が実現させたいと思っている各々について目標を設定するのです。
そして、あなたが望む目標達成の最終期限を設定します。
1年後か、3年後か、明確な根拠がなくてもいいので現実的な数字を設定します。目標を達成するには、あなたの時間をコントロールする必要があり、最終期限を設定することは、自分の時間をコントロールする第一歩になるからです。
「締切りは、人類が生んだ偉大な発明である」(ダン・ケネディ)
締切りは、自分で決めることが重要です。たとえ他人が決めた期限であっても、自分で再設定するのです。
希望や願望を目標に変換し、目標達成の最終期限を設定することは、あなたの意識を変える意味でも非常に重要なことなのです。
その意味では、私は5年後の姿くらいがちょうどいいのではないかと思っています。
5年後の自分の姿をイメージしておき、1年ごとに逆算していき、効果測定をしていくことも有効です。「工程管理変革プログラム」のスタートとしては、5年後くらいの自分の姿が一番イメージしやすいと思います。
●目標を実行するためのコストを計算する
目標を実行するには、言うまでもなくお金がかかります。そこには絶対的にコストは必要なのです。ビジネスで成功するには、それなりの投資が必要です。実はそのコストこそ、自分が目指すべき目標値になり、具体的な指標となっていくのです。
私の場合、5年後に到達したい自分のライフスタイルを考えたときに「好きなだけ働いて、好きなだけ遊んで、好きなだけ稼ぐ」という3つの言葉に集約されていきました。
そして、必ず年2回は長期休暇を取って海外へ家族旅行をする。具体的には、7月と1月の1ヵ月をまるまる休んで海外旅行をする。
そのためには1回500万円の費用が必要で、年間1000万円が海外への家族旅行のために必要なコストであると算出できました。
次に、海外に別荘を買うという願望が湧きました。地震の少ないヨーロッパに、日本での地震の一時避難用として暮らせる別荘が欲しい。そう真剣に考えたのです。
そして別荘では、掃除などの雑用をすることなく優雅に暮らしたいですから、管理人を雇いたいとも考えました。そうすると、人件費や維持費がかかり、さらにコストが必要です。ほかにも次のビジネスへの投資として1000万円が必要……など、自分の願望を積み上げてコストを加算していきました。
その結果、自分が考える「なりたい姿」や「やりたいこと」を金額で表した試算として、年間8500万円という数字が出たのです。これが年収8500万円の根拠です。
それが、自分にとっての明確な目標値(著者が年収850万円だった時に立てた目標)となりました。
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