3月5日、自動車及び二輪車メーカーのスズキ <7269> の株価が一時4584円と年初来の安値を更新した。スズキの株価は昨年3月19日の安値2438円から同11月25日の高値5816円まで2.4倍に上昇する場面も見られたが、その後は調整ムードが広がり、上値の重い展開が続いていた。今年3月5日の安値(4584円)は昨年11月の高値から21%の下落である。特に最近の下落については、自動車業界最長老のカリスマ経営者である鈴木修会長(91歳)の退任表明が影響しているとの観測もある。鈴木修氏は強力なトップダウンでスズキの経営を指揮してきたが、3月1日からは息子の鈴木俊宏社長を補佐する専務役員を6人に増員し、集団指導体制へ移行した。新たな経営体制のもとで、スズキは自動車業界に迫る構造改革の荒波を乗り切れるか注目される。

100年を超える歴史、日本のモータリゼーションを牽引

スズキ,株価
(画像=ELUTAS / pixta, ZUU online)

世界的な自動車及び二輪車メーカーとしての地位を確立した「中興の祖」と呼ばれる鈴木修氏の退任が発表されたのは2月24日のことだった。発表によると今年6月の定時株主総会後に取締役も退任し、相談役に就くという。翌2月25日の株式市場でスズキは売り気配で始まり、一時4752円と前日比で4.4%下落する場面も観測されている。同日の日経平均が1.7%高だったこともあり、スズキ株の弱さが目立った一日だった。さらに翌日も4.3%安となるなど投資家の売り傾向は続き、前述の3月5日には一時4584円と年初来の安値を更新している。

スズキの源流は1909年、鈴木修氏の義祖父にあたる故・鈴木道雄氏が創業した鈴木式織機製作所までさかのぼる。1920年には鈴木式織機株式会社として設立、1952年には排気量36㏄の自転車補助エンジンのパワーフリーの生産・販売をスタート、1954年には鈴木自動車工業株式会社に改称し、1955年には量産軽自動車としては初となる「スズライトSS」を発売している。スズキは100年を超える歴史を誇り、戦後の高度経済成長期には日本のモータリゼーションを牽引した企業でもある。