経済には大きく分けて、インフレ(インフレーション)とデフレ(デフレーション)の大きな波があります。インフレは通貨価値が下落することで相対的に物価が上昇する現象で、デフレはその逆です。日本は長らくデフレに苦しんできたわけですが、その潮目が変わりつつあるという指摘もあります。

その契機といわれているのが、コロナショックによる世界各国の大規模な金融緩和です。経済対策や生活困窮者への対策などから各国が通貨供給量を大幅に増やしており、これが続くと通貨供給量が多くなりすぎることでインフレが起きるのではないかという懸念があるわけです。

かつてはあまりリアリティーのなかったインフレ警戒論が現実味を帯びているなか、資産防衛のためには何を知り、どう行動するべきなのでしょうか。資産を現金だけで保有することへの注意喚起も併せて解説します。

「コロナ後」にはインフレがやって来る?

インフレ,資産防衛
(画像=Elnur/stock.adobe.com)

コロナ禍によって経済的に困窮している人や企業を下支えするため、世界各国では大規模な金融緩和を実施されています。日本やアメリカでは中央銀行が巨額の国債買い入れを行っており、この状況が続くと通貨供給量が増え続けるため、これがインフレのリスクを高める可能性があります。

世界的にコロナ禍が収束に向かっていくと景気の回復が見込まれるわけですが、景気の回復局面でもインフレが起きやすくなるため、いずれにしてもインフレに傾きやすい状況であることは認識しておく必要があるでしょう。

インフレになると、何が起きる?

インフレは通貨安と物価高が起きる現象なので、日常生活でまず物価の上昇でインフレに気づくことになるでしょう。実体経済がそんなに回復をしていないにもかかわらず、株価が上昇し続けているのはご存じの方も多いと思います。これも一種のインフレ現象ともいえるので、これが実体経済にも及ぶと身の回りのものの価格が高くなることになります。

しかし、日本は長らくデフレに苦しんでおり、金融当局はむしろ経済をインフレに誘導する政策をとってきました。これをインフレターゲットといいます。安倍内閣が推進したアベノミクスでは、デフレ脱却のために2%のインフレターゲットを設定したほどです。

放っておくとデフレになるのであれば、むしろインフレは歓迎するべきことでは?と思われる方も多いと思いますが、それは期待インフレ率を達成した場合であり、コントロールできない過度のインフレはむしろ経済にダメージを与えます。

行き過ぎたインフレが何をもたらすかは、ハイパーインフレになったベネズエラやジンバブエなどを見ると明らかです。物価が跳ね上がったせいで市民はものを買えなくなり、貧困が広がります。「インフレ率が100万%を突破した」「兆単位の紙幣が登場した」といったニュースが面白半分に流布したこともありましたが、それぞれの国にとっては死活問題です。そして治安の悪化や危険思想の台頭によって戦争のリスクを高めることすらあるのは、これまでの歴史が証明しています。

第1次大戦後にドイツが巨額の賠償金支払いを求められ、そのために当時の通貨であったマルクを大増発し、このことがハイパーインフレにつながったことがありました。マルクの価値が大幅に下落し、物価が上昇することでドイツの経済は疲弊し、その混乱がナチスの台頭につながったともいわれています。

インフレに備える資産防衛の考え方

さすがに日本でハイパーインフレが起きることは考えにくいですが、すでに株高や燃料高など、インフレの影が見え隠れしている事実があります。そんな時代に向けて適切な資産防衛の考え方について解説しましょう。

最も確実なのは、現物資産の保有です。通貨の価値が相対的に下がってしまうのであれば、お金ではなくもので保有する資産の比率を高めるのが基本的な考え方です。現物資産の代表格は、金や不動産などです。

それでは、その他に株や外貨はどうでしょうか。いずれも「日本円だけ」で資産を保有することへのリスクヘッジにはなりますが、株はバブル的な高騰をするとその反動が必ず起きるため、思わぬ高騰によって資産が増える期待がある一方でなかなか価値が安定しないデメリットがあります。

一方、日本円以外に外貨で資産を保有するのはどうでしょうか。インフレが日本だけで起きそうなのであれば有効な資産防衛ですが、コロナ禍による金融緩和は世界中で進められているため、もしインフレが起きるとなると世界で一斉に起きる可能性があります。仮に米ドルで資産を保有したとしても日本円と同じようにお金全体の価値が目減りしてしまうかもしれません。

そこで資産防衛の観点からおすすめしたいのが、究極の現物資産である不動産です。

インフレ対策に不動産が強い理由

不動産がインフレに強い最大の理由は、有限の資産だからです。通貨は中央銀行や金融当局の方針によっていくらでも供給することができますが、現物資産はそんなわけにはいきません。土地の面積には限りがありますし、そのなかでも不動産として利用価値が高いものはさらに限られます。これは、資源量に限りがある金と同じです。「無限に供給することができない」というのは、多くの現物資産がインフレ対策になる根拠です。

さらに、不動産を運用資産とする不動産投資もインフレ対策として有効です。不動産投資では家賃収入が主な収入源になりますが、インフレが進行すると家賃相場もそれに合わせて上昇します。このためインフレになっても不動産オーナーの実質的な収入は変わることがなく、インフレに強い事業であることがわかります。

これとは逆にデフレになると家賃相場もそれに合わせて下がるのですが、物価も下落するため、やはりオーナーの実質的な収入の価値は変わりません。不動産投資はインフレ対策になるだけでなく、デフレ対策としても有効であるというわけです。

もう1つ、不動産投資にはむしろインフレになると有利になることがあります。それは、融資の返済です。多くの不動産オーナーは金融機関の融資を利用して物件を購入しますが、融資は現金なのでインフレが進行すると借入残高の実質的な価値が低くなります。先ほどインフレになると家賃相場も上昇すると述べましたが、だからといって返済額が増えるわけではないので、インフレになると不動産投資にはむしろ有利になります。

インフレに備える資産防衛は早めの対策が効果的

今後日本や世界が本格的なインフレ局面になるかどうかは断定できませんが、このまま通貨供給量を増やし続けると、そのリスクがくすぶり続けることは間違いありません。

インフレのリスクに備える手段として不動産が有効であることはおわかりいただけたと思いますが、不動産であれば何でもよいわけではありません。将来にわたって資産価値が保たれ、安定的な家賃収入が見込めるような物件でなければ意味はありません。不動産投資の経験がない人がいきなりこうした物件を見極めるのは容易なことではないので、不動産の取引には信頼できるパートナーが必要です。

資産防衛の観点から不動産投資を検討するのであれば、まずは物件探しよりも信頼できる不動産会社探しから始めるのがよいでしょう。本当にインフレが起きてからだと、インフレ対策の効果は薄れてしまいます。早めの検討と行動がインフレ対策の効果を高めます。

不動産会社探しの段階ではまだ特に費用も発生しないので、まずはできることから始めてみるのがよいのではないでしょうか。 (提供:Incomepress


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