年収1,000万円ともなると、額面と手取り額の差が大きくなり、節税の必要性を痛感する人が多いのではないでしょうか。節税手段の中には、年収が高いほど効果が大きくなるものもたくさんあります。種類別に節税手段を詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

年収1,000万円にかかる税金は?所得税の計算の仕組み

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(画像= oneinchpunch/stock.adobe.com)

年収1,000万円だと、手取り額は大体700万円から750万円です。同じ年収1,000万円でも、社会保険料や家族構成、所得控除の適用の有無によって手取り額は変わります。

所得税は約82万円、住民税は約62万円

年収1,000万円の場合、給与所得控除を220万円、社会保険料控除を約120万円、基礎控除を38万円で計算すると、課税所得は約622万円となります。この課税所得をもとに税金を算出すると、所得税が約82万円、住民税が約62万円になります。計算式は以下の通りとなります。

【税金の計算式】
・課税所得
1,000万円‐給与所得控除220万円‐社会保険料控除約120万円‐基礎控除38万円=約622万円
・所得税
約622万円×税率20%‐控除額42万7,500円=約82万円
※税率、控除額は所得額に応じて決まる
・住民税
約622万円×税率10%=約62万円

毎年約144万円(約82万円+約62万円)が税金として手元から消えていくというのは大きな数字ではないでしょうか。

ちなみにこのケースでは、1,000万円から所得税・住民税(約144万円)と社会保険料(約120万円)を差し引いた約736万円が手取り額となります。

節税対策をした場合の効果とは?

年収1,000万円になったことをきっかけに本気で節税に取り組み始める人も多くいます。節税手段を選ぶなら、まずは所得税の仕組みについて簡単に理解しておきましょう。同じ節税対策をしたとしても、所得によって効果に違いが出るからです。所得税の計算方法を知ることで、節税対策をした場合の効果を自分の年収に照らし合わせて正確に見積もることができます。

上記のケースで適用される所得税率は20%なので、節税効果を見積もる場合は20%をかけて計算すると分かりやすいでしょう。例えば、12万円の生命保険料控除を新たに適用した場合、節税効果は約2万4,000円(12万円×20%)です。

年収1,000万円プレイヤーだからこそ実践したい節税手段5選

続いて、5つの代表的な節税手段を紹介します。

配偶者控除・扶養控除

家族がいる場合、配偶者控除・扶養控除にもれがないか確認しましょう。年収1,000万円なら配偶者控除は13万円、扶養控除は38万円から63万円です。扶養控除というと子どもをイメージしがちですが、両親や親戚に生活費を送っている場合も扶養控除を適用できる可能性があります。

配偶者控除・扶養控除は金額が大きいため、年収が高いほど大きなメリットを享受することができます。なお、税制改正によって2018年から所得が1,000万円を超えると配偶者控除が適用できなくなりました。所得が1,000万円を超える場合は誤って申告しないよう注意しましょう。

iDeCo(イデコ)

iDeCo(個人型確定拠出年金)は自分で積み立てられる私的年金の制度です。iDeCoの魅力は、一般の生命保険とは異なり支払った金額の全額が所得から控除されることです。所得控除を差し引いた課税所得に所得税率をかけることになるため、年収が高いほどiDeCoの効果は大きくなります。

生命保険

一般の生命保険料も所得控除の対象です。iDeCoとは異なり支払った保険料の一部が所得控除となり、控除の上限額は12万円です。金額としては大きくありませんが、積極的に活用していきましょう。
 

特定支出控除

特定支出控除とは、仕事にかかわる研修費用や資格取得費用、交際費などが一定の金額を超えた場合に所得控除を適用できる制度です。転勤に伴う費用や単身赴任している場合の帰省費用なども含めることができます。

一定の金額は所得に応じて計算する必要があり、年収1,000万円の場合は110万円です。110万円を超えた部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができます。特に出費の多かった年は特定支出控除の適用を検討しましょう。

ふるさと納税

ふるさと納税は、自分の好きな自治体に寄付をすると、上限額までなら実質2,000円の自己負担を除き寄付した全額が所得税・住民税から控除される制度です。税金が寄付に形を変えるだけなので出費は変わりませんが、寄付によって地域の特産品がもらえます。

控除される寄付金の上限額は年収が高くなるほど大きくなります。そのため、最近は年収の高いサラリーマンや自営業者の間でふるさと納税が広く普及しています。

年収1,000万円なら節税効果も大きい

所得税率は年収が上がるほど高くなる仕組みで、5%から45%まで幅があります。年収1,000万円なら適用される所得税率はまだ20%ですが、今後年収が上がるとさらに所得税率が高くなります。

所得控除は年収が高いほど効果が大きくなるため、今のうちからその仕組みを理解し、対策を打っておきましょう。自分で手続きや申告をしないと適用できないものも多いので、もれなく節税対策を行い損失がないようにしたいものです。

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