株価が10倍以上に成長した銘柄は「テンバガー」と呼ばれ、テンバガーを見つけることは投資家にとって醍醐味の1つでもあります。株価が上昇する仕組みを知り、これまでに大化けをした銘柄の特徴を知れば、今後テンバガーに成長する銘柄を見つけることができるかもしれません。テンバガー銘柄の特徴を詳しく見ていきましょう。

目次

  1. 株価が上昇する基本ロジック
  2. この10年でテンバガーを達成した銘柄は?
  3. テンバガー銘柄の特徴は?
  4. 身近な会社にこそ上昇株が隠れている
  5. まとめ:意外なほど身近にある上昇株を見つけ出そう

株価が上昇する基本ロジック

金融
(画像= chapinasu/stock.adobe.com)

そもそも、株価はなぜ上昇するのでしょうか。「業績がいいから」「将来性があるから」といったニュアンスから予想できることはあっても、そこにあるロジックまで理解している人は少ないでしょう。株価が上昇するロジックには「PER」と「EPS」という指標と、その変化があります。

株価上昇の基本公式「株価=PER×EPS」

株価を決定する基本公式があります。それは「PER × EPS」です。まずは、この2つの指標について理解することから始めましょう。

PER(Price earnings ratio)とは株価収益率のことで、EPS(Earnings per share)は1株当たりの純利益のことです。PERは株価の割安感を計るために用いられることが多い指標で、1株当たりの純利益の何倍まで株価として評価されているかを示します。これを計算式にすると、以下のようになります。

株価 ÷ EPS = PER

さらに、この式を変換すると、以下となります。

PER × EPS = 株価

PERにEPSを掛けると株価になります。そしてこのPERとEPSのそれぞれが変動することによって、計算結果である株価が変動するわけです。

株式市場の評価が変わって「PERはもっと高くあるべき」と思う投資家が多ければ、PERの上昇が許容され、株価が上昇します。そして企業の業績が拡大すれば1株当たりの純利益、つまりEPSが上昇するため、これもさきほどの計算式にあてはめると株価上昇に寄与します。

もちろん、PERとEPSの両方で数値が高くなると、相乗効果で株価はさらに上昇しやすくなります。EPSが高くなり企業への評価も高くなると、PERの上昇が許容され「ここまでなら買ってもよい」と考える投資家が多くなり、株が買われるからです。このように株価は業績という客観的な数値とPERの許容という市場の評価によって上昇するメカニズムになっています。

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この10年でテンバガーを達成した銘柄は?

テンバガーを見つけるのは至難の業と考える人は多いかもしれません。しかしじつは、東証に上場している銘柄の5つのうち1つが最安値から10倍以上、つまりテンバガーとなっていることをご存じでしょうか。

日経新聞の調査ではリーマンショック以降の株式市場でテンバガーを達成したのは839銘柄で、これは上場銘柄の22.8%を占めます。テンバガーをごく一部の特殊な存在だと思っていた人も、この数字からテンバガーが意外に身近な存在だと感じるでしょう。

以下では、実際にテンバガーを達成した銘柄のうち一部を抜粋して、上昇の理由について解説します。ここで紹介する銘柄の最新株価は、2020年12月18日のものです。

リオン(6823)

株価の上昇期間がとても長い銘柄として知られているのが、医療機器メーカーのなかでも量産タイプの補聴器開発で業績を伸ばしたリオンです。高齢化社会の進行も相まって補聴器の需要をうまく取り込み、最安値では200円を下回っていた株価が4,000円近くにまで成長しました。記事執筆時点でも高値を維持しており、テンバガーとして定着しています。

神戸物産(3038)

「業務スーパー」を展開する流通大手です。名称のとおり、飲食店や事業所向けに販売される業務用食品を一般向けに安く販売するビジネスモデルで急成長、株価もすさまじい右肩上がりとなっています。こちらもリオンと同様に上昇期間が11年以上に及ぶ銘柄で、上昇後の株価は少々の乱高下はあるものの高値で定着しています。

モノタロウ(3064)

「現場の味方」を標榜し、工事現場などで使用される資材をネット販売という革新的なビジネスモデルで展開しています。また、「モノタロウ」というブランド名を広く浸透させたCM戦略が奏功し、業績とともに株価も大きく成長しました。2015年には500円台だった株価は、2020年には6,000円台も記録しています。

大泉製作所(6618)

リオンや神戸物産のように、長期間にわたって成長を続けた結果テンバガーとなった銘柄がある一方で、短期間に急激な株価の上昇を演じたのが自動車向け温度センサーメーカーの大泉製作所です。同社はもとから景気敏感銘柄であることに加えて、自動運転技術の進展などの影響もあり、株価が高騰しました。2014年には最安値で150円をつけていた株価が、2017年には一時1,495円を記録。その後は落ち着きも見せたものの、2014年当時よりも4倍以上の高水準で推移しています。

テンバガー銘柄の特徴は?

実際にテンバガーとなった銘柄の事例を踏まえて、大化けをするテンバガー銘柄にはどのような特徴があるのかも見ていきましょう。以下の条件に合致する銘柄がすべてテンバガーになるわけではありませんが、その可能性は高いと考えてよいでしょう。

なお、こちらで紹介する各条件については、ネット証券会社などが口座保有者向けに提供している株式銘柄のスクリーニングツールを使って簡単に条件を絞り込んで検索することができます。

時価総額が低い

大化け銘柄を探すうえで重要なのは、これから大化けするかどうかを見極めることです。時価総額がすでに大きくなってしまっている銘柄ではなく、時価総額がまだまだ小さい銘柄を選ぶのが基本です。

目安としては、時価総額300億円以下に絞り込むのがよいでしょう。さらに大きな上昇余地を狙うのであれば時価総額100億円以下が望ましいとする意見もありますが、あまりにも時価総額が小さい銘柄は成長余地そのものがあまり評価されていない可能性もがあります。小さければ小さいほどよいというわけではないので気をつけましょう。

創業社長

創業者が社長として活躍している新興企業は数多くありますが、こうした企業には強いリーダーシップが期待できます。「ワンマン経営」と否定的に思う人もいますが、意思決定の速さや行動力は新興企業ほど重要になります。

強いリーダーシップや発信力のある創業社長が企業をけん引しているような構図は、株価の急成長につながりやすく、テンバガー候補として注視すべき存在といえるでしょう。

売上と利益の推移が右肩上がり

テンバガー銘柄は外的要因だけで株価が急成長するわけではありません。その企業の業績が着実に拡大している内的要因こそが重要です。目安としては売上高と営業利益が前年比20%以上、これを少なくとも3年以上継続していることが条件になります。

ベンチャー企業などでは、比較対象である前年の売上高や営業利益が少ないために、100%以上の急拡大が見受けられることもあります。しかし、これは単年のみの現象という可能性もあるため、やはり20%程度の成長が何年も続いていることが重要です。

旬なテーマ

株価を押し上げる要因に「テーマ」があります。たとえば2020年は、アメリカの株式市場でファイザーやモデルナといった製薬株がテーマ化しました。医療や製薬はやや特殊なテーマですが、それ以外にも株式市場にはじつに多くのテーマがあります。今後考えられるテーマを少し挙げてみただけでもこれだけあります。

▽2021年の注目テーマ

  • 自動運転車
  • 水素エンジン、燃料電池
  • AI(人工知能)
  • 5G通信網
  • 半導体
  • 洋上風力発電

これらは直接的なテーマ名ばかりですが、それぞれのテーマにはさらに派生していくテーマがあります。たとえば、自動運転車のテーマには自動車メーカーだけでなく、センサー機器やAI運転ソフト開発といった基幹部品関連もテーマ化するのは確実で、1つのテーマに対して、そこから派生していくテーマにも要注目です。

こうしたテーマにはいずれも「旬」があります。成長余地のある企業の事業内容がこうした旬のテーマであり、しかもその分野に独自の技術やビジネスモデルを有していると、テンバガー並みの成長を果たす可能性は高いです。

ストックビジネス

ビジネスには大きく分けて「フロービジネス」と「ストックビジネス」があります。フロービジネスとは、その企業の商品やサービスを利用したいと思った人がその場で判断し購買するもので、継続的な購買を前提としていないビジネスです。外食産業や小売店などはフロービジネスの代表格です。

もう一方のストックビジネスは、事業を進めていくにあたって蓄積していく経営資源があり、それが大きくなることで事業も成長するビジネスモデルです。不動産を購入して賃料収入を得る不動産賃貸業は、物件を蓄積していくことで事業が拡大していくのでストックビジネスにあてはまります。

また、知的財産など目に見えない財産が蓄積していくビジネスもストックビジネスです。動画を制作し、投稿して広告収入を得るYouTuberは、動画を蓄積していくことでそれぞれの動画が稼ぎ出す広告収入を収入源としているので、知的財産を商材とするストックビジネスです。

その企業の商品に対する信頼や知名度、伝統に裏づけられた安心感などを武器にしているメーカーもストックビジネスに分類されます。世界中で誰もが知っている「コカ・コーラ」や「マクドナルド」「スターバックス」などもストックビジネスであり、特にコカ・コーラについては同社株が長年にわたって増配を続けていることでもストックビジネスの強みをうかがい知ることができます。

今後、大化けが期待できるテンバガー銘柄を見極める際には、ストックビジネスであるかどうかも重要な判断基準になります。

身近な会社にこそ上昇株が隠れている

数千もの上場銘柄のなかから大化けが期待できる銘柄を探すのは、簡単な作業ではありません。スクリーニングツールを使っても「究極の1銘柄」を見つけることは困難で、最終的には人間的な嗅覚に近い直感も必要になります。そこで注目したいのが、アメリカの投資家ピーター・リンチ氏が同氏の著書で提唱している「有望株の見つけ方」です。

『ピーター・リンチの株で勝つ』より

ピーター・リンチ氏は著書である『ピーター・リンチの株で勝つ』なかで、有望株の見つけ方について同氏ならではのアプローチが説かれています。そのアプローチのなかで参考にしたいのが「身近な会社」「誰もが知っている会社」「わかりやすい会社」であることといった基準です。「単純な事業で退屈な名前ほどいい」というのも、すでに多くの人に認知されていることの重要性に着目すべきであると解釈できます。

日本の株式市場でも、吉野家やセリア、ニトリ、ユニクロの運営会社であるファーストリテイリングなどは、いずれも社会の一部として広く浸透しており、街のいたるところにあることが当たり前となっています。これらの銘柄はテンバガーを達成しており、ここでもピーター・リンチが説いている持論が改めて証明されています。

このように同氏の教えはテンバガー探しに有効であると考えられるので、個人投資家としてもこれを参考に「誰もが知っているような企業」のなかからテンバガーを探してみるのも面白いでしょう。

まとめ:意外なほど身近にある上昇株を見つけ出そう

テンバガーをごく一握りの特殊な存在だと思っていた人にとって、当記事の解説は意外でもあり、希望につながる内容だったのではないでしょうか。テンバガーが期待できる大化け株は業績が好調な銘柄に多く、そして誰もが身近に感じているような企業のなかから出やすいです。

決して珍しい存在ではないテンバガーをピーター・リンチの教えを参考に探し、資産を数十倍にする株式投資の醍醐味をぜひ体感してください。

文・田中タスク
エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、自らの投資スタイルを確立。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中

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