本記事は、伊庭正康氏の著書『できる営業は、「これ」しかやらない 短時間で成果を出す「トップセールス」の習慣』(PHP研究所)の中から一部を抜粋・編集しています
そもそも、電話がストレス
知らない人に、電話をかけるのが怖い。でも、電話をしないと仕事にならないし…。なぜトップセールスの人は、簡単に電話をかけられるのだろうか…。
●4割の人が“電話恐怖症”の時代
あなたは、電話をかけることに抵抗はありませんか?
セゾン自動車火災保険の2020年の調査では、電話をかけるのも出るのも抵抗がある、そんな“電話恐怖症”の人は4割いるという結果が出ています。
そんな状況で、電話をかけなさい、と言われるわけですから、苦手な人にとってはもはや罰ゲームのようでもあり、ストレスが溜まるのはムリもありません。
でも、直接会うわけでもないのに、なぜ電話がストレスになるのでしょう。
まず、ここを理解しておかないと、対策を講じにくくなります。
電話恐怖症の要因は2つ。
1つ目は、そもそも電話に慣れていない、ということ。
今は、SNS、グループチャット、メールでの会話が中心です。
電話だときちんと話せるだろうか、といった不安を耳にします。
実際、仕事の電話には独特の言い回しがあり、「もしもし」とも言いませんし、「大丈夫です」とも言いません。代わりに、「お世話になっております。〇〇の□□でございます。お忙しいところ、誠に恐縮でございます」「かしこまりました。承ります!」といった丁寧な言葉遣いが必要になります。そういった言葉遣いでうまく話せない…という不安が、電話が苦手な要因にもなっています。
要因の2つ目は、「否定される」ことへの恐怖です。
「いらないよ!(ガチャ)」「今、忙しいから(ガチャ)」「営業は結構です(ガチャ)」
営業の世界では「ガチャ切り」と言われる、とても嫌な瞬間です。
私の研修でも、またYouTubeでも、「このガチャ切りへの対処法を教えてほしい」という声は多く、その数はますます増えているようにも感じています。
●電話をうまく使えることが、今後は「強み」になる
むろん、ガチャ切りをゼロにはできませんが、その確率を下げることはできます。
それ以上に知っていただきたいのは、電話をうまく使えれば、むしろ良好な関係を築くことができ、さらには電話だけで身内のような関係にもなれる、ということです。
イメージを持ってもらうために、福岡県に本社を構えるエバーライフという健康食品・化粧品の通信販売会社の、あるトップオペレーターのトークを紹介しましょう。テレビ番組で紹介されていたトークを、一部わかりやすく整理しています。
「お元気ですか?はい。ありがとうございます。 はい。はい。あっ、よかったです。この間の新しい商品ですよね? はい、ありがとうございます。う〜ん、う〜ん、う〜ん、そうですか。 今、音楽が聞こえていましたけど、カラオケでもやってらっしゃるのですか? お孫さんと一緒に…。そうなんですね。実は、私にも初孫ができまして…」
これが、トップオペレーター(営業)の電話での会話です。
このように聞き手に徹し、ムダにも思える世間話も展開することで、お客様に親近感を持ってもらうのだと言います。売上につながるばかりか、一対一の関係性も生まれ、お客様が漬物を送ってくださることもある、とのこと。
これこそが、目指すべき電話営業の姿です。
セオリーを知れば、誰でもできます。
実は、私も電話恐怖症でした。
でも、セオリーを覚えたことで、訪問せずとも一対一の特別な関係をつくることができるようになりました。また、異動で担当を外れる際に送別会を開いてもらったことは、大きな自信にもなりました(そこで初めてお会いすることに)。
【Point】 会えない時代、うまく電話を使えると、むしろ効率アップ! 営業にとってアドバンテージとなる。
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