本記事は、今蔵ゆかり氏の著書『自分も幸せ まわりも幸せ 上機嫌に働く67のコツ』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
会話の中に相手の名前を入れる
上司や仲間から「お願いします」と仕事を依頼されることがあります。
その時、「はい、これですね。わかりました。いつまでに仕上げたら間に合いますか?」と素直に動きたくなる相手と、「えっ、私ですか? しまった! 運悪く通りすがったから依頼されちゃった~」と渋々引き受ける相手がいませんか?
普段の会話の中でも、「気分がよくなって、つい関係のないことまで話しちゃった」と話が盛り上がる相手と、「その話、私でなくても誰だってよくない?」とイマイチ話が盛り上がらない相手がいます。
仕事を気持ちよく引き受けたくなる人、相手を心地よくして会話を盛り上げる人は、会話の中であるテクニックを使っています。
拍子抜けするほど、超簡単なテクニックです。
それは、”会話の中に相手の名前を入れる“です。
「”今蔵さん“確かこれと同じファイルなかったかな? ”今蔵さん“なら知ってると思って」。そう言われると、「ありますよ、少しお待ちください。お持ちしますよ」となります。
一方これが、「ちょっと、ちょっと、これと同じファイルなかった?」だとどうでしょう?
「私、知りませ~ん」と、知っていても思わず意地悪にいってしまいそうです。
名前を入れて会話をされると、”自分に向かって話をしてくれている“と感じます。
自分に向き合って、敬意を払って接してもらっている感じがしませんか?
一方、名前を入れずに言われると、”私のこと、知っているのかな? もしかして知らないとか? 誰でもいいんじゃないのかな? “と敬意を感じることはありません。
ジャニーズの井ノ原さんは、上機嫌力がとても高い人です。
テレビで後輩が、井ノ原さんの人柄がにじみ出るエピソードを話していました。
井ノ原さんは、数多くいる後輩の名前をよく覚えておられるそうです。ある日、名前を呼んでもらえたその後輩は、”まさか自分の名前を覚えてくれているなんて! “と感激。あまりの嬉しさに、自分も同じように後輩の名前を覚えよう! と誓ったそうです。
名前を呼ぶことは、”あなたのことを知っていますよ“のサインです。
呼ばれて嬉しくない人はいませんね。
- TIPS
- 上機嫌なコミュニケーションをとるために、相手の名前を話の中に入れよう
会話には「間合い」を忘れない
ある日の深夜、テレビをつけるとマツコ・デラックスさんの番組にJYPさんがリモート出演されていました。
JYPさんといえば、アイドルグループ、NiziUをプロデュースしたことで有名な方です。
時々韓国語を交えながらも、ゆったりとした丁寧な日本語でマツコさんとの会話が進んでいます。
マツコさんが人の話をうまく聞き出す、会話名人なのは言うまでもないのですが、この日はとりわけ、「さすが~、質問もリアクションも抜群に上手で、JYPさんもノリノリで話しているな」と感じていました。
番組の後半JYPさんが、このようなニュアンスの話をされていました。
実は、番組への出演が決まってから、とても緊張されていたそうです。
というのも、日本の方たちにとってご自身はなじみのない人間であり、また日本の番組には慣れていないので、流れの予想がつかなかったから、とのことでした。
ですが、収録が始まってみると、マツコさんが特別であることがわかったそうです。
話をされるスピードが普通の番組よりも”ゆったり“としていると。
そのゆったりしたテンポが、JYPさんをリラックスさせてくれたそうです。
そして、これをマツコさんに伝えたかったとおっしゃっていました。
私はこのくだりを耳にした瞬間、”忘れないように“と即刻スマホにメモをしました。
私達は会話をする際、”間“を恐れてしまいがちです。
シーンとなった瞬間「わっ、気まずい、何か話さないと」と、あせって言葉をかぶせてしまうことがありますね。
特に1対1の会話の場合は、言葉を投げかけたあと、相手からこちらに言葉が戻ってくるまでは”相手の時間“と心得ることが大切かもしれません。
相手の言葉を待つ”間“が、相手への思いやりになり、相手も本音を語りやすくなり、お互いのことを理解しあうことができるのです。
お二方の対談から、会話に温かな”間“を入れることの大切さを学びました。
- TIPS
- 上機嫌なコミュニケーションをとるために、相手が話しやすい”間“をつくろう
会話は相手のテンポに合わせよう
会話には”間“を入れよう、そう語った直後に、今度は”テンポ“の話です。
結局どっちなの? ですが、会話に”間“が必要なように”テンポ“も必要なのです。
テンポというよりは”リズム“といったほうが、イメージしやすいかもしれません。
上機嫌力の中で欠かせないことのひとつに”相手への心遣い“があります。
上機嫌な会話では、相手のテンポに合わせることが”心遣い“なのです。
ただ、心地いいと感じるテンポは相手によって異なるので、その見極めが肝心です。
コーチングでは、”ペーシング“といって相手の呼吸、動作、言葉に自分を合わせる手法があります。いくつか種類があるのですが、ここでは相手の声のトーン(高い・低い)、テンポ(早口・ゆっくり)・ボリューム(大・小)、リズムを観察し、相手に合わせていく会話方法を使います。これを身につけると、類似性の法則といって、安心感や親近感をもたれやすく、仕事や家族、恋人との関係がより円滑にスムーズになります。
あなたにも経験があると思いますが、自分はゆっくり話すタイプなのに、相手が早口だと、テンポのズレでイライラしたり違和感を持ったりします。逆もまた然りですね。
人は自分と似た人に安心感を抱き、一緒にいたい、心地いいと感じるのです。
具体的な方法として、まずは相手を観察しタイプを見極めることが必須です。
- ゆっくり話す人には、ゆっくりと、早口な人には、早口で速度を合わせます。
- 高い声で話す人には、高めの声で、低い声の人には、低めの声で話します。
- ”間“がたっぷりある人には、同じように”間“をとります。
- 声が大きい人には、大きめ、小さい人には、こちらも小さく話します。
たとえば、テキパキ指示をする上司には、こんな風に対応するとバッチリです。
上司「○○さん、大至急これを処理してください!」早口で。
あなた「はい! わかりました! 大至急やります!」早口でテキパキ。
落ち着いた低い声で、じっくり指示をする上司の場合はこんな風に。
上司「○○さん、大至急これを処理してください」低めのゆっくり口調で。
あなた「はい、かしこまりました。早速とりかかります」落ち着いた口調で。
これだと違和感なく、「よし、大丈夫」と安心感を抱いてもらえること間違いなしです。
- TIPS
- 上機嫌なコミュニケーションをとるために、相手のリズムをつかんで合わせよう