レディネスとは、心理学で「準備ができている状態」を意味するが、自社社員が業務や研修等を通して成長するためには、職業レディネスが重要だ。今回は、レディネスの定義や自社社員の成長に必要な「職業レディネス」について解説し、計測・数値化する職業レディネステストの内容や活用法について紹介する。
目次
レディネスとは何か?
レディネス(readiness)とは、心理学で用いられる用語であり、物事を学んだり行動したりするための「準備(用意)ができている状態」を指す。
これから学習や活動をする者にレディネスがあるときは、心理面での環境設定ができているため、教育や学習によって良い行動変容が得られるとされる。逆に、レディネスがないときに学習や行動を起こしても、期待したほどの成果や効果が得られない可能性がある。
企業においても社員の成長を目的とした研修やOJTを実施するが、社員のレディネスによっては成長度合いに差が出ることもある。
レディネスの重要性
レディネスを高めるためには、学ぶことの重要性を本人が理解する必要がある。担当する業務はもちろん、先輩や上司など周囲の人々の職務遂行能力を目の当たりにすることで、現在自分に不足している経験やスキルがあることを自覚させなければならない。
また、レディネスがない状態で社員に研修を受けさせたり、権限委譲などによって自主的な成長を促したりしても、期待したレベルまで到達することはできない。マネジメント層は、社員に学んだことを現場で実際に活用する「実践レディネス」を意識させることも重要だ。
デジタルレディネス
デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中、社員が自社のデジタル化による経営革新に積極的に取り組むためには「デジタルレディネス」が必要だ。
IT技術を業務効率化や新しい商品、サービスの開発などに生かすには、外部サービスの利用を促すだけでなく、リスキリングなどによる社員のデジタルスキル習得が求められる。そのため、デジタル化による環境の変化に対しての心構えが欠かせない。
職業レディネス
就職や就労に際しての職業発達に必要なものに「職業レディネス」がある。
「職業レディネスがある」ときは、特定の仕事に強い興味関心や遂行できる自信を持っており、期待される役割を果たすための職業生活をはじめる準備が整っていることを指す。自社で採用した人材に職業レディネスがなければ、就労した後に業務に慣れるのに時間を要したり、たとえ教育や研修を行っても期待したほどの成果をあげられなかったりする可能性もある。
職業レディネスには、社員の能力だけでなく職務内容に対する興味関心や自信の有無が重要な要素となる。