本記事は、北尾龍典氏の著書『手間をかけずに資産を増やす! 医師のための投資術』(ポプラ社)の中から一部を抜粋・編集しています
そもそも「節約しよう!」と考えたこともない人がほとんど
高収入の割にはお金にむとんちゃくで、貯金や資産がほとんどない。
それが、大半の医師の実情です。
では、どうしてドクターは、年収が高いのに手元にお金が残らないのか。
まず、最も大きな理由として、そもそも「お金を節約しよう」とは思っていないことがあげられるでしょう。
私は医師が「お金を節約しよう」と考えないのは、収入が高いという理由以外に、子どものころからの生活習慣があると考えます。
大学の医学部は極めて難関であるため、中学、高校時代から医師になることを目指してコツコツ勉強していなければ合格は難しい。
そのため、ドクターは基本的に勉強熱心な人がほとんどです。
勉強に忙しく、サッカーや野球などの部活で「全国大会に出場した」という人はごく一部を除いてあまり聞いたことがありません。
また、やっと大学に入学したあとも、一般的な大学生のようにアルバイトやサークル活動を楽しむヒマはありません。
医学部に在学中の6年間は、専門分野に絞り込まずに、すべての医学を一通り学ばなければならないからです。
やっとのことで国家試験に合格したあとも、2年以上の初期臨床研修が待っています。
そうして、幼いころからひたすら勉強だけを行ってきた結果、経験したことがあるアルバイトは家庭教師くらいでしょう。
また、アルバイトをしたり、お金の使い方に頭を悩ませたりしないで「勉強に専念できるように」というご両親の気持ちから、決まったお小遣いでやりくりさせられたことがある人は少ないと考えることができます。
お金が必要な場面では、ご両親が黙ってサポートしてくれていたであろう医師たちは、お金を「どうやって使うか」など考えた経験が少ないのではないでしょうか?
さらに医師になったあとは激務が待っています。
厚生労働省が2019年に行った「医師の勤務実態調査」によると、常勤医の労働時間で最も多いのが「週50〜60時間」で26.3%。
次に多いのが「週40〜50時間」で、22.3%です。
労働基準法の法定労働時間は週に40時間です。
この基準をはるかに超える「週70〜80時間」、そして「週80〜90時間」もあわせて15%を超えています。
労働が「週40時間未満」は、たったの13.7%。
つまり、週に40時間以上働いている医師が8割以上だということです。
超過勤務が非常に多いだけではありません。
医師の勤務体制は、不当な労働を強制する「ブラック企業」どころではないのです。
たとえば、入院設備がある病院では、医師が必ず「宿直」として泊まり込み、緊急事態が起きた場合に対処しなければなりません。
多くの病院では、日勤で働いた医師がそのまま当直を勤めることがほとんどです。
さらに、当直が明けた翌日の日勤の勤務まで、一人の医師がこなすのが常態化している病院が少なくありません。
わずかな仮眠をとるだけで、連続で働くことがめずらしくないのです。
いつ呼び出されるか、何が起こるかわからないなかでの長時間勤務のプレッシャーは相当なものでしょう。
忙しさのあまり「1日で食べたのはカップラーメンやおにぎりだけだった」という日が続き、結果的に節約になることはあるかもしれません。
でも忙しすぎて、倹約することにまで頭を悩ませられないという医師がほとんどなのが実情でしょう。
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