Amazon激怒?中国企業アカウントを凍結 サクラレビュー対策に本腰か
(画像=inkdrop/stock.adobe.com)

Amazonが激怒している。しかも、長年にわたってだ。誰に対して怒っているのか。やらせのサクラレビューの投稿主、そしてその投稿を依頼する出品者に対してだ。そんな中、ついにAmazonは対策に本腰を入れ始め、悪質な中国企業のアカウントを最近相次いで凍結した。

サクラレビュー問題で中国企業のアカウントが凍結

Amazonが凍結したのは、中国企業の人気ブランドの「AUKEY」や「MPOW」、「有裸樹」などが有しているアカウントだ。報道などによれば、これらのサイトはAmazonで多数の良いレビューを不正に得ようと、Amazonのガイドラインに違反する行為をしていたようだ。

具体的な不正内容については明らかになっていないが、中国企業においては、ユーザーに製品を無料提供したり、割引クーポンを配布したりし、これらと引き換えにユーザーに良い評価をつけもらうケースがあとを立たない。類似のケースが上記のサイトでもあったと考えられる。

ちなみにAmazonでは、出品者がAmazonを通じてユーザーにレビューを依頼できる仕組みがある。ただし、このような仕組みにおいては当然、ユーザーからもらう評価をコントロールできない。

一方で、商品についている口コミや星の数がユーザーの購買行動をかなり左右する。レビューの投稿数も多く、星の平均獲得数も多いと、売上は大きく伸びる。AUKEYやMPOWなどは、この状況を不正につくろうと画策していたわけだ。

Amazonのガイドラインで禁止されていること

Amazonはコミュニティガイドラインにおいて、前述したようなサクラレビューの行為を禁止している。具体的には、コミュニティガイドラインにおける「販促や宣伝勧誘」の項目で禁止しているのは、以下のような投稿や行為である。

1 ご自身(または親戚、親しい友人、仕事関係者や従業員)の商品やサービスについて、投稿する。
2 自身の競合他社の商品やサービスについて投稿する。
3 対価(無料または割引商品を含む)と引き換えるため、または他の人に代わって投稿する。
4 対価(無料または割引商品)と引き換えることを条件に投稿を依頼する、または投稿することを条件に、対価(無料または割引商品)を受け取ることを要求する。
5 宣伝や勧誘を投稿する。(紹介者のタグやアフィリエイトコードを含んだURLを含む)

昨今の中国企業のサクラレビューが問題となっているのは、4に抵触しているからだ。無償での製品提供や割引クーポンを渡すことと引き替えに、レビュー投稿を依頼するなどしているからだ。

Amazonでは、中国企業以外でも不正レビューを行っているアカウントは多数ある。Amazonが監視を強化する中、AUKEYやMPOW、有裸樹のような事例が今後どんどん増えていきそうだ。ちなみに有裸樹はアカウント凍結により、約22億円の売上資金が凍結されたという。

Amazonはどうやってサクラレビューを防いでいる?

Amazonはこのようなサクラレビューに対し、対策を打っている。具体的には、「人間」と「AI(人工知能)」を使った対策があり、人による人的パトロールとAIによる不正発見プラグラムの両輪で、サクラレビューの排除に向けて動いている。

2020年はサクラレビューが疑われる投稿を2億件以上削除し、その投稿をしたアカウントには別の投稿ができないようロックをかけたという。

しかし、あるレビューがサクラレビューなのかどうなのか、投稿内容だけでは判断ができにくいケースも当然存在する。例えば「とても良い製品でした!ほかの人にもおすすめしたい」という投稿は、その内容だけでサクラレビューか判断するのは不可能だ。

そこでAmazonが最近力を入れているのが、大手SNSなどへの働きかけだ。中国企業などによるサクラレビューの依頼は、FacebookやTwitterなどのSNS上で行われるケースが多いからである。Amazonはこのようなケースが疑われる投稿を削除するよう、SNSの運営会社に求めている。

ちなみに、欧米の規制当局もサクラレビューを問題視している。公正な競争が阻害され、結果的に一般消費者が損害を被ることになるからだ。

Amazonがサクラレビュー対策を強化していくことは確実

自身でFacebookやTwitter、Instagramなどのアカウントを有している人は、もしかすると「アマゾンのコメンテーターを募集」といった投稿を目にしたことがあるかもしれない。このような投稿は、サクラレビューを獲得しようとしている中国企業によるものかもしれない。

サクラレビューの投稿に関わると、あなたのアカウントも停止される可能性がある。たとえ何らかの対価を得られるとしても、絶対に関わらないようにすべきだ。

いずれにしても、サクラレビューが蔓延するプラットフォームは一般消費者からの信頼を損なうため、Amazonも今後さらにサクラレビュー対策をより強化していくことは間違いないと思われる。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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