米証券取引委員会(SEC)のGary Gensler(ゲイリー・ゲンスラー)氏が、ビットコインをはじめとした暗号資産(仮想通貨)の将来性や課題について言及した。
3日に行われた Aspen Security Forumで、ゲンスラー氏は「ナカモトは、数十年にわたって暗号技術者やその他の技術専門家を悩ませてきた2つの謎を解決した。1つは、中央集権の仲介者を介さずにインターネット上で価値交換を実現させる方法。もう1つは、その価値あるデジタル・トークンの『二重支出』を防ぐ方法だ」と発言。さらに、「暗号資産の分野では現実を装った多くの誇大広告が見られたが、ナカモトのイノベーションは本物だと考えるようになった」と語り、サトシ・ナカモトの功績を評価した。
また、暗号資産が金融分野に変化をもたらす存在になったとし、今後もその影響が多くの面で見られるとの考えを示した。
一方で、暗号資産の投機的な側面が強い点については、「投機をしたい人がいるなら、それはその人の自由だが、私たちにはそのような投資家を詐欺から守るという国家としての役割がある」とコメント。ゲンスラー氏はトークンをポートフォリオに組み込んでいる何百万人もの投資家のため、強固な監視体制を考えている。
同氏は、ビットコインの他にも何千もの暗号資産があり、そのほとんどがSECの規則に従わなければならない未登録の有価証券であると主張した。特に、「私が見てきた全てのICO(イニシャル・コイン・オファリング)は有価証券であった」と述べ、前任であるJay Clayton(ジェイ・クレイトン)氏の考えを踏襲する姿勢を見せた形だ。
一方で、現在注目が集まっているビットコインの上場投資信託(ETF)承認に向けた可能性についても言及した。
ゲンスラー氏は、SECの厳格な投資信託規則に準拠し、ビットコイン先物に焦点を当てたETFに門戸を開いていることを示唆。
その上で、「投資会社法(40年代法)に基づいたETF関連の申請が行われることを見込んでいる。同法は他の連邦証券法と組み合わせることで、投資家を大きく保護をするものだ。このような重要な保護があることを踏まえると、特にCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)で取引されているビットコイン先物に限定した際には、職員による申請の審査を期待している」と語った。(提供:月刊暗号資産)