本記事は、仲亀彩氏の著書『リピート率80% 心をつかむ接客術』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

リピート客をつくるために目を養う

接客
(画像=KazuA/PIXTA)

リピート客をつくるには、お客様がどのようなシチュエーションや立場で来ているかを敏感に察知することが重要です。お客様の雰囲気を察して話をすることができる人は、一流のサービスマンと言えます。それには「見る目を養う」×「想像力」が必要になります。

ではまず、「見る目を養う」ということから見ていきましょう。これは接客業に携わる上で、非常に重要な能力です。

私はどこかに出向いた際には、職業柄、接客をしてくれる人に目がいきます。接客をしてくれた人に対して、どうだったかということを考える癖がついています。その際に「あの人は、目がいいな」と思うことがあります。それは何も視力がいいという話ではありません。「目がいい」というのは、「お客様をしっかり見ている」ということです。

「しっかり見ている」というのは、お客様を直視する時間が長いということではありません。ずっと直視されていたら、お客様はリラックスして過ごすことはできませんよね。

ではどうするのか。よく言われるのが、「見るともなく見る」という見方です。これは、見ていないようで実際は見ているということです。直視しているのではなく、その場の雰囲気を全体として見ているようなことをいいます。

この説明で「お客様を直視せずにしっかり見る」ということがわかりましたか? わかりづらいですよね。ですので、どこを見ればいいか、私がいつも見ているポイントを5つお伝えします。これを最初にしっかり確認しておくと、お客様のことをずっと見ていられなくても、お客様がどんなことを求めて来ているか、想像するヒントが得られます。

1、お客様が何人で来ているか
2、複数の場合、どんな関係の人と来ているか
3、時間帯はいつか
4、急いでいるのか、くつろいでいるのか
5、話しかけて欲しそうか、放っておいて欲しそうか

まずはここを確認し、そして次の「想像力」を使って判断します。

2、3度来たことがある人でも、1人で来たのか、2人で来たのかによって、話し方や話しかける頻度は変わります。また、それが恋人なのか、会社の人なのかによっても違ってきます。

お客様を「見て」お客様のシチュエーションや立場を察知し、どんなことを求めて来ているか「想像」してサービスを提供することが大切です。

Point
リピート客をつくるため、まずは「見る目を養う」ことが必要

リピート客をつくるために想像する

お客様を「見る」5つのポイントを確認したら、次は「想像力」が必要になります。

ここでの「想像力」は、お客様がどうしたいか、どう過ごしたいかを考えること。これは経験によって蓄積され、想像できるケースが増えると思います。

たとえば、1人のお客様でも、1人になりたい人もいれば、話し相手が欲しい人もいます。それは、同じお客様でも、来る度に同じとは限りません。先程の5つのポイントを見て、総合的に判断するのです。

複数でいらした場合は、お客様がその方とどのような関係になりたいのか、想像します。

「目を養う×想像力=いい目を持つ」。これによって、お客様の雰囲気を察して話しかけることができるのです。

私の判断基準を話します。あくまで私の基準です。

お客様同士で会話が弾んでいたら、私はほとんど話しかけません。

私が行うのは、提供するものの説明や「失礼します」「ありがとうございました」などの声かけぐらいです。

逆に、お客様同士が、全然話をされていない場合や、緊張感が漂っている場合は、接客する者としての頑張りどころです。その場が盛り上がるよう、そしてお客様の関係がよいものとなるよう、あれやこれやと話を振ります。

話のネタという、たくさんの玉を投げることで、どこかでヒットを生み、盛り上がりをつくることができるでしょう。

お客様が、付き合いたてで、まだ少し距離のあるような恋人と一緒に来店された場合は、お二人の仲が良くなるように、考えたネタを使い、話をします。

たとえば、お二人の素敵なところをほめたりします。そうすると喜んでくれて、お客様の雰囲気が和らぎます。そうした雰囲気になれば、あとはお二人で仲良くお話しされるでしょう。

これが、お客様の記憶にいい思い出として残ります。そうすると、あそこにまた行きたいと思う気持ちが生まれ、リピートにつながるのです。

私が通ったセミナースクールの女性の先生が、鉄板焼の店に来てくれたことがあります。

数年前は、私はただの生徒だったのに、信頼関係が生まれ、母一人子一人で育てた大事な息子さんの大学入学祝いの食事に、当店を選んでくださいました。

何とも感慨深く、嬉しい思い出でした。

お客様が取引先の方と一緒に来店された際は、場の雰囲気がよくなって商談が成立するように、終始努めます。商談が成立する接客をするのです。私ができるのは、成立のためのお手伝いだけですが、接客で雰囲気をよくすることができるのとできないのとでは、お客様の信頼度が変わります

自分の大事な瞬間をつくる場面には、信頼できる場所を選ぶお客様がほとんどです。お客様の信頼を得ることができれば、お客様の大事な瞬間に選んでもらえるようになります。

このように、5つのポイントを見て、想像力を働かせ、察知することができるようになると、「あなたに任せると、どんな時でもうまくいく」と思ってもらえるようになります。この信頼が、お客様の確実なリピートを生むのです。

Point
リピート客をつくるため、「想像力」を働かせることが必要

リピート率80% 心をつかむ接客術
仲亀彩(なかがめ・あや)
鉄板焼シェフ/接客コンサルタント/YouTuber あやシェフ。接客業歴22年、接客したお客様は国内外合わせてのべ15万人、お客様リピート率80%。15歳から飲食店の接客のアルバイトをはじめ、独学で調理を学ぶ。都内数店舗で修行をし、28歳で現職である鉄板焼シェフに抜擢。これまでに得た接客技術を使い、スターや政財界の著名人、エグゼクティブ、海外の王族を接客する。2019年に独立。現在は鉄板焼シェフ業とともに、接客コンサルティング、セミナーを行う。著書に『お客様の心をつかむ 魔法のほめ言葉事典』(秀和システム)がある。

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