本記事は、仲亀彩氏の著書『リピート率80% 心をつかむ接客術』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

単純作業中こそ「振り返り」の絶好の機会

メモ
(画像=Rhetorica/PIXTA)

掃除など、仕事の終わり作業をしている時、あなたはどんなことを考えていますか? 早く終わらせて帰りたいという気持ちから、無心に作業をしていることもあれば、周りのスタッフのことや、恋人や友達とのやり取り、仕事が終わったあとの予定などを考えているかもしれません。

私はこの時間にあることをしています。一体それは何でしょうか?

それは1日の「振り返り」です。

一見仕事の余白のようなこの時間こそ、リピート客をつくる絶好の時間なのです。

今、ピンときた人と、そうでない人がいると思います。

「振り返り」とは、その時間までの仕事での出来事や、お客様との時間を思い出すことです。あなたは、自分の仕事を振り返る時間を設けたことはありますか?

今まで、そういった時間をしっかり設けてやってきた人。設けたことがなかった人。また、そういった時間をあえて設けなくても自然とやっていた人。さまざまだと思います。

私の言う「振り返り」とは、具体的には次の3つを考えることです。

1、お客様と何を話したか
2、どんなことを感じたか
3、改善点はあるか

私が、この「振り返り」の大切さに気づいたのは、子供の頃に習っていたバレエの練習がきっかけです。当時は「振り返り」などというカッコイイ言葉は使っていませんでしたが、簡単に言うと「思い出す」ことをしていました。

たとえば、大きくジャンプをしたいと思っても、ジャンプの際に何も意識しなければ、上達しません。先生からもらったアドバイスを思い出し、意識して練習を繰り返します。思い出して、それを注意して直す。これが私の「振り返り」の原点です。

この習慣があったので、接客業に就いて、お客様に関しても次第に「思い出す」ことを行うようになりました。お客様との会話、お客様の仕草、お客様の表情を思い出すことで、次はどうしたらもっと喜んでもらえるのかを考えました。「思い出して+考える」。これを合わせて、「振り返り」と呼ぶようになりました。

そしてこれが、お客様のリピートにつながっているのです。

「振り返り」について、少しイメージを持っていただけたでしょうか。

ここで最初の話に戻るのですが、これを業務以外の時間に行うとなると、結構大変です。接客業は長時間勤務の仕事です。ただでさえ仕事で長時間働いているのに、それ以外でも仕事の時間をとるのは酷です。

そこで私のオススメが、頭で考えなくてもいい作業をしている時に、「振り返り」をするという方法です。飲食店であれば、バッシングや洗い物の時間。美容院であれば、お客様のカットした髪をほうきで掃く時間。私の場合は、鉄板を磨く時間です。お客様を担当し終えたら必ずする仕事なので、この時間に「振り返り」をしています。こうすると、とても効率がいいのです。

あなたには、仕事中に「振り返り」ができそうな時間はありますか?

余白の時間にはつい、恋人からラインは来ているかなとか、今日の晩ご飯は何を食べようとか、そういったことを考えたくなるのもわかります。

しかし、仕事をしている時間には仕事のことを考える。そうすると時間外で仕事をする必要もなくなります。

また、記憶はどんどん薄れるものです。メモと一緒で、夕方に来たお客様と昼間に来たお客様とでは、夕方に来たお客様を思い出す方が遥かに楽ですよね。

何も考えなくてもできる作業時間に、今日来たお客様の「振り返り」をしましょう。

Point
単純作業をしている時こそ「振り返り」をする

リピート率80% 心をつかむ接客術
仲亀彩(なかがめ・あや)
鉄板焼シェフ/接客コンサルタント/YouTuber あやシェフ。接客業歴22年、接客したお客様は国内外合わせてのべ15万人、お客様リピート率80%。15歳から飲食店の接客のアルバイトをはじめ、独学で調理を学ぶ。都内数店舗で修行をし、28歳で現職である鉄板焼シェフに抜擢。これまでに得た接客技術を使い、スターや政財界の著名人、エグゼクティブ、海外の王族を接客する。2019年に独立。現在は鉄板焼シェフ業とともに、接客コンサルティング、セミナーを行う。著書に『お客様の心をつかむ 魔法のほめ言葉事典』(秀和システム)がある。

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