PPM分析の分かりやすい事例
さらに理解を深めるために、ここからはPPM分析の分かりやすい例を紹介する。
任天堂
まずは、子ども向けの玩具やゲームを手がける『任天堂』のPPM分析を見てみよう。
問題児:ロイヤリティ(ゲームソフトの成長率は高いが、参入企業が少ない)
花形:アプリ(スマホ用ゲームは今後も成長する可能性が高い)
金のなる木:ゲームソフト(独自のハードウェアを活用したソフト開発)
負け犬:トランプ、花札など(すでに所有している家庭や競合が多い)
主要製品のハードウェア(Nintendo Switchなど)は「金のなる木」に分類できるが、2021年からの半導体不足が影響しており、それ以降は「花形」に寄りつつある。このように、世界の経済状況や市況によっては製品・事業のポジションが変わることもある。
ソニー
次は、大手総合電機メーカー『ソニー』のPPM分析を紹介する。
問題児:ゲーム(強力な競合として任天堂が存在している)
花形:音楽(競合は多いが、ソニーミュージックに有名アーティストが多数所属)
金のなる木:金融(生命保険や銀行などは、低コストで維持できる状態)
負け犬:スマートフォン(世界的な競合が多く、すでに多くの家庭で普及している)
ソニーはかつて世界トップクラスのAV機器メーカーだったが、全盛期に比べるとその業績は落ちている。現在では、「問題児」または「負け犬」寄りの事業と言えるが、同社は音楽事業や金融事業を安定させることで、大企業としてのポジションを確立している。
PPM分析のよくある質問集
PPM分析はスタンダードな手法ではあるが、うまく活用するには十分な基礎知識が必要だ。ここからは経営分析に慣れていない人に向けて、PPM分析のよくある質問を紹介する。
Q1.PPM分析の特徴とは?
PPM分析の特徴は、製品・事業ごとに適切な資源配分を見極められる点にある。また、各製品や事業のポジション(収益性や成長性)を分析できるため、コア事業や不採算事業の判断にも役立つだろう。
また、PPM分析はブランドの認知度を測る際にも用いられる。分析手法としては比較的シンプルであるため、手っ取り早く事業分析をしたいシーンに効果的だ。
Q2.PPM分析の注意点とは?
PPM分析では、各製品や事業のポジションを「問題児・花形・金のなる木・負け犬」の4つに分類する。あくまで現状を分析する手法なので、PPM分析だけでは画期的なアイディアやイノベーションは生まれにくい。
また、主観的な判断で製品・事業を分類すると、正しい分析結果を得られないリスクもある。事業全体を俯瞰して判断する必要があるため、さまざまな意見をとり入れながら分析することを意識したい。
Q3.PPM分析の事業例を知りたい
PPM分析のわかりやすい例として、以下では電気通信事業における分類を紹介しよう。
問題児:5Gを中心とした通信事業(将来性がある一方でシェア率が低い)
花形:広告事業(継続的な投資で事業拡大を見込める)
金のなる木:携帯電話事業(すでにシェアが安定しており、競合も少ない)
負け犬:3Gなど従来の通信事業(将来性がなく、シェア率も低い)
あくまで一例だが、上記のように製品・事業を分類すると、自社の目指すべき方向性が分かりやすくなる。
Q4.ポートフォリオ経営のメリット・デメリットとは?
PPMをはじめとしたポートフォリオ経営は、俯瞰的・客観的に事業を判断できる点がメリットだ。分析結果をもとに会社の方向性を見極められるため、市場の成長率やシェアに合わせた方針を立てやすい。
ただし、各事業を単独で評価する手法であるため、相乗効果は加味されにくい。実際の経営では、異分野の事業を組み合わせることで、想像以上の利益を生み出すケースもある。
Q5.金のなる木はどんなポジション?
PPM分析の「金のなる木」は、以下の条件を満たす製品・事業である。
- 市場の成長率が低い
- 自社のシェアが高い
少ないコストで安定した利益を期待できるため、金のなる木はできるだけ維持することが重要だ。
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