世界競争力ランキング 3位デンマーク、2位スウェーデン、日本は何位?
(画像=carlosgardel/stock.adobe.com)

スイスの有力ビジネススクール「IMD」が発表した「世界競争力ランキング」の2021年版では、スイスが初めて1位となったことで注目を浴びた。一方、日本は何位で、前年から順位を上げたのか、下げたのか。早速、2021年版のランキングを見て確認していこう。

世界競争力ランキングとは?

世界競争力ランキング(World Competitiveness Ranking)は、1989年から毎年発表されており、国ごとの競争力を数値化してランキングを作成している。2021年版は64の国と地域を対象に調査が行われた。

ここでいう競争力とは「その国における企業のビジネスのしやすさ」と言い換えると分かりやすい。「経済状況(Economic Performance)」「政府の効率性(Government Efficiency)」「ビジネスの効率性(Business Efficiency)」「インフラ(Infrastructure)」でそれぞれ評価を行い、これらの評価を総合して順位が決まる。

ランキングを作成しているのはIMD(国際経営開発研究所)で、スイスのローザンヌに拠点を置き、MBA(経営学修士)を取得できるビジネススクールとしても世界的に有名だ。

トップ20ランキング:スイスが1位

では、世界競争力ランキングの2021年版の結果を紹介していこう。まず、上位1~20位だ。

世界競争力ランキング 3位デンマーク、2位スウェーデン、日本は何位?

2021年版で1位となったのはスイスで、2020年版から2つ順位を上げた。2位はスウェーデン、3位はデンマーク、4位はオランダで、上位4位は全てヨーロッパ勢が独占する形となった。アジア勢はシンガポールの5位が最高で、香港が7位、台湾が8位、中国が16位となっている。トップ20ではまだ日本は登場していない。

ワースト20ランキング:ベネズエラが最下位

続いて、下位20カ国・地域を紹介していこう。

世界競争力ランキング 3位デンマーク、2位スウェーデン、日本は何位?

最下位の64位となったのはベネズエラ、63位はアルゼンチンだった。両国ともに南米の国だ。62位の南アフリカ共和国と61位のボツワナは、ともにアフリカの国である。

ワースト20位にも日本の国名はない。では日本は一体何位なのか。

日本は31位、「ビジネスの効率性」や「政府の効率性」で低評価

結論から言えば、日本は31位だった。ここ5年間の順位の推移は、26位、25位、30位、34位、31位となっており、2020年から順位を3つ上げているものの、5年前よりは順位は低くなっている。

4つの評価指標の順位を見ると、日本の弱点が見えてくる。2021年版では、「経済状況」が12位、「政府の効率性」が41位、「ビジネスの効率性」が48位、「インフラ」が22位だった。

「ビジネスの効率性」が低かったのは、「経営慣行」や「態度と価値」などの面で著しく評価が低かったからだ。「政府の効率性」では、「物価」や「財政」が最低水準の評価となってしまっている。

ちなみに、隣国・韓国の順位は23位で、以前は日本の方が順位は上だったが、近年は追い抜かれている。

順位が下がると日本への投資が減る可能性も

このような世界的なランキングで順位が下がると、日本への投資を躊躇する世界企業が増える可能性が高くなる。グローバル企業がビジネス環境の良い国を進出先として選ぶのは、至極当然のことだ。

そのため、日本政府もこのランキングの結果は無視できない。せめてトップ20に入るよう取り組んでいくことが求められるのではないか。2022年版以降、日本の順位にどのような変動があるか、注目だ。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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