大都市圏以外の地方都市で不動産投資をしたいと考えている人もいらっしゃるでしょう。マンション経営向きの人口の多い地方都市としては、名古屋市、札幌市、福岡市などがあります。今回は、この中から札幌市に注目し、マンション経営を検討するときに役立つデータをご紹介します。

札幌市の「地価状況」と「マンション相場」は?

札幌で不動産投資・マンション経営を検討するときに役立つデータ集
(画像=k_river/stock.adobe.com)

マンション経営を検討するときに最重要なデータともいえるのが「地価状況」と「マンション相場」です。まずは札幌市の状況をご紹介します。

札幌市内の地価状況はコロナ禍でも前年比プラスの底堅さ

北海道および札幌市の直近の地価状況を確認します。地価は、投資用マンションの購入価格・売却価格・その差益(差損)に大きな影響を与えます。アドバンテージがあるのは、地価の変動率が全国平均を上回るエリアです。札幌市はこの条件をクリアしており、マンション経営を行ううえで理想的なエリアの1つといえます。

札幌国税局が発表した北海道全体の地価を見ると、2021年1月1日時点(同年7月1日発表)の北海道全体の路線価の平均上昇率は1%(前年比)で、6年連続でプラスとなりました。ちなみに、全国の路線価の平均がマイナス0.5%ですから、それと比較した場合1.5%上回っていることになります。

とはいえ、コロナ禍の影響で路線価の上昇率自体は鈍化しています。前年の北海道全体の路線価の平均上昇率は3.7%ですから、それと比較すると2021年は2.7%減少しています。

次に札幌市の地価についてですが、札幌市内の税務署ごとの最高路線価は、2020年の発表では5地点中4地点が前年比10%超という結果です。2021年に発表された結果によると、5地点平均で約5.6%の上昇となっています。こちらも2020年より減少はしているものの、前年比プラスの底堅さを見せています。

札幌市のマンション相場は十数年に渡って上昇トレンド

札幌市内のマンション相場についてはさまざまなデータがあります。ここでは「マイナビニュース 不動産査定」が、国土交通省の「不動産取引価格情報」をベースに集計した札幌市内の中古マンション平均取引価格を参考にしたいと思います。

下記の表のように、札幌市内の中古マンション平均取引価格は2006年頃に大きくダウンしましたが、その後2007年〜2020年の間は上下動を繰り返しながら緩やかに上昇しています。

参考までに、札幌と同様マンション経営で人気の地方都市、福岡市の2007年〜2020年の価格推移を見てみると、1,500万円前後で長期的に推移しながら微増しています。さきほどの札幌市と福岡市のマンション相場を見比べると、札幌市のほうが強い上昇トレンドを示していることがおわかりいただけるはずです。

札幌市のマンションの「賃料指数の推移」は?

マンション経営を検討するための情報といえば、賃料推移も見逃せません。対象エリアの賃料相場が長期的に下落し続けていれば、物件取得は慎重にするべきでしょう。下記はアットホームと三井住友トラスト基礎研究所が共同開発した「賃料インデックス」に基づく東京23区、大阪市、福岡市、札幌市の賃料指数の推移です。

4都市ともに2011年〜2021年の約10年間は、マンションの賃料指数が上昇し続けています。ただ、コロナ禍以降、札幌市の賃料指数は伸び悩んでいます。

しかし、5年や10年などの長期スパンで見ると、マンション経営で人気の高い東京23区、大阪市、名古屋市に引けをとらない指数の伸びを示していることがわかります。新型コロナ感染が終息してきたときに、再び強い上昇トレンドに入るかに注目です。

札幌市の「将来の人口見通し」は?

続いて確認したいのは、札幌市内の人口見通しです。そのエリアの将来の人口見通しは、投資用マンションの空室リスクに影響を与える可能性があります。人口の減少しているエリアは空室リスクが高まりやすいため、投資用マンションを長期保有する予定であれば将来の人口見通しのチェックは重要です。

まず、札幌市内の現時点の人口は197万人です。これはマンション経営で人気の地方都市である福岡市・名古屋市と比較すると、この2都市の中間に位置します 。人口161万人の福岡市よりも36万人多く、232万人の名古屋市よりも35万人少ないポジションです。
※いずれの都市の人口も2021年7月1日現在(万人以下、切り捨て)

さて札幌市の将来の人口見通しですが、札幌市の予測によると下記のグラフのように2020年〜2025年頃をピークに徐々に減少していきます。約20年後の2040年後には人口183万人と2021年時点よりも14万人減少すると予測されています。

ただこれはあくまでも現時点の予測です。コロナ禍をきっかけに「東京一極集中の流れに歯止め」がかかる可能性や「出生率の改善」などによって人口減少ペースが緩やかになる可能性もあります。

下記のグラフは、出生率の改善によって人口減少ペースが緩やかになったときの想定です。先ほどご覧いただいた予測では2040年の人口が183万人でしたが、出生率が改善された場合、189〜192万人で推移しています。

もし、ほかの大都市と同様に札幌市の人口が停滞・減少したとしても、晩婚化や未婚率の増加により今後単身世帯は増加していくことが予想されています。そうなると、札幌の賃貸住宅ニーズ自体は減っても、ワンルームマンションの入居者ニーズは増えていくと考えられます。安定経営を重視するのであれば、「ワンルームマンションを選択」すると、空室リスクを軽減できると考えられます。

札幌市の大地震など「災害リスク」は?

札幌市の投資用マンションを検討する際、災害リスク(とくに地震による建物損壊)が気になる人もいるでしょう。「札幌市は災害が少ない都市」という見解もあるようですが、実際には日本のほかの都市と同様、大地震と無縁ではありません。そのため、災害リスクを意識して慎重に立地選びをする必要があります。

一方、数十年のうちに発生確率が高いといわれる首都直下型地震や南海トラフなどの大地震が発生しても、遠距離にある札幌市の建物が損壊する可能性は低いと思われます。首都圏や関西圏に投資用マンションを所有している人は、札幌市の物件を買い増すことで災害リスクを分散することができます。

札幌市を襲った大地震としては、2018年9月に発生した「北海道胆振東部(いぶりとうぶ)地震」が記憶に新しいところです。この地震ではマグニチュード6.7/最大震度7を計測、札幌市内も震度5〜6の大きな被害を受けています。

「北海道胆振東部地震」による北海道および札幌市の具体的な被害状況は次の通りです。

北海道全体の被害札幌市の被害
死者42名2名
住戸全壊462棟95棟
住戸半壊1,570棟684棟
住戸一部破損12,600棟4,352棟

(参照:内閣府 平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震

この地震によって札幌市内の一部地域で地盤沈下が起こりました。具体的には札幌市南東部の丘陵地帯に位置する清田区などです。投資用マンション購入時には、対象エリア周辺で「北海道胆振東部地震」のときに地盤沈下が発生しなかったかを確認すると参考になります。

札幌市のハザードマップでは、札幌市内の立地別の地震リスクが確認できます。地震以外にも洪水・土砂災害・津波などの災害リスクがチェックできます。

札幌市 災害危険箇所図(ハザードマップ)
https://www.city.sapporo.jp/kikikanri/higoro/hazardmap/hazardmap_index.html

同じ札幌市内でもエリアによって状況は変わる

札幌市のマンション相場や賃料指数は、コロナ禍の影響を受けて現時点ではやや足踏みしている様子が見られます。ただし、5年〜10年などの長期スパンで見ると、売却時の中古マンション相場や賃料指数は右肩上がりです。

札幌市の将来の人口見通しは、約20年後の2040年は14万人減少と予想されています。ただ、ほかの大都市と同様、札幌市も単身世帯が増えることが予想されることからワンルームマンションの入居者ニーズは安定していると考えられます。

以上が札幌市内全体の状況ですが、同じ札幌市内でもエリアによってマンション経営で有利・不利、災害リスクは変わってくるでしょう。投資用マンションを取り扱っている不動産会社に、さらにくわしくヒアリングすることをおすすめします。

(提供:Dear Reicious Online



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