ビットコインは半年以内に1000万円の大台を突破する?! 期待できる4つの根拠
(画像=sumire8/stock.adobe.com)

夏場の急回復を受け、ビットコインは、「今後半年以内に現在の2倍以上の価格に高騰する」といった強気予想が再燃している。ビットコインの予想は以前から強気傾向であったが、今回の根拠は一体何なのか。期待材料と共に、値上がりの可能性を検証してみよう。

ビットコイン、最新市場動向

ボラティリティーの高さというビットコインの特徴のひとつが、どうやらコロナ禍で一層加速しているようだ。

次々と史上最高値更新を更新した2021年1~3月から一転、4月の690万円台をピークに5月以降は調整局面に入り、7月中旬には340万円台へと大きく価格を下げた。その後回復基調に転じ、一時は570万円台まで盛り返したものの、9月20日に再び急落した。9月22日現在は、475万円前後を行き来している。

ボラティリティーを加速させた要素は、複数考えられる。

コロナ禍でオルタナ(代替)商品を含む投資に関心をもつ人が増加したことに加え、米EV(電気自動車)メーカー、Tesla(テスラ)のビットコイン大量購入、カナダにおけるビットコインETF承認、Twitterビットコイン導入の可能性などが追い風となった。その反面、中国におけるマイニング禁止を始めとする規制強化、Teslaのビットコイン決済停止などが価格を押し下げた。

1,000万円超えも? 専門家の強気予想

投資家にとっては、2021年下半期の行方が気になるところだろう。

ブルームバーグは6月に発表した暗号資産レポート『Crypto Outlook』の中で、2021年のビットコインの値動きについて4万ドル(約438万円)を妥当な水準と分析する一方で、現在の2倍以上に値する10万ドル(約1,093万円)の大台に向かって上昇すると予想した。信用格付大手スタンダード・チャータードの仮想通貨リサーチ部門は、2022年初頭までに10万ドル、中期・長期的には最大17万5,000ドル(約1,912万円)に達する可能性があると予想している。

その他、ギャラクシー・デジタルの設立者であるマイケル・ノボグラーツ氏、など、同様の見解を示す専門家は少なくない。

高騰を予感させる4つの期待材料

以下、4つの期待材料が強気予想の主な根拠とされている。

1. 決済手段としての普及が加速

世界各地でキャッシュレス化が急速に進んでいる現在、ビットコインは決済手段としての広範囲な普及が期待されている。2020年に米大手専門保険・再保険会社HSBが実施した調査では、米国の中小企業の約4割がビットコイン決済に対応している。

そのほか、スターバックス、コカ・コーラ、ペイパル(PayPal)などの大手企業が続々とビットコイン決済を導入あるいは検討しているという。国際クレジットカードブランドであるVISAとMasterCardが仮想通貨決済のサポートを開始したことも、決済産業における革新的な動きとして注目されている。

2.発展途上国での需要が拡大

ビットコインをはじめとする仮想通貨決済や送金は、金融機関を介さずP2P(ピアーツーピア)方式で決済・送金できるため、銀行口座を保有していないなどの理由で既存の決済・送金手段を使えない人にも、大きな恩恵をもたらすと期待されている。

金融システムが確立されていない発展途上国では、すでに需要が拡大しており、ブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)が仮想通貨の普及率を順位付けしたランキングでは、ベトナムやインド、パキスタンなどトップ20中19ヵ国が発展途上国だった。

3.主要通貨以外の仮想通貨の上場が増加

たとえば、2021年4月にナスダック上場を果たし、日本でも8月から取引を開始した米大手仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)は、ビットコインやイーサリアム(ETH)といった主要仮想通貨に加え、Axie Infinity(AXS)やRequest(REQ)、DerivaDAO(DDX)など、新たな仮想通貨を続々と取引銘柄に組みこんでいる。大手取引所に上場する仮想通貨が増えることで、メインストリームへの道のりが近づくかもしれない。

4.ライトニングネットワークの実現

ポジティブな潮流をさらに後押ししているのが、ライトニングネットワークの存在だ。簡単に説明すると、「送金に時間がかかる」「手数料が高い」といったビットコインの難点を解決する、オフチェーンで取引できる送金方法である。

複数の秘密鍵でビットコインを管理し、ブロックチェーン上に取引が記録されないペイメントチャンネルを利用することで、スピーディーで安価な取引が可能になる。実現すれば、既存の仮想通貨の利用方法を変える可能性を大いに秘めている。

警鐘を鳴らす専門家も

しかし、一方では「最近(9月)の急落が長期的なトレンドの一部を形成する可能性」を警告するアナリストもいる。

また、8月にはコインベースが計画していた仮想通貨貸し付けプロジェクト「Lend」を巡り、米証券取引委員会(SEC)が同社を提訴する可能性を示唆した。これによりプロジェクトが中止になるなど、仮想通貨に対する規制当局からの圧力も増している。

仮想通貨大国である米国や中国で見られるこのような動きは、成長の妨げとなるリスクも秘めていることから、市場の懸念材料ともいえる。

ビットコインは2倍以上に高騰するのか?

果たして「現在の2倍以上に高騰する」という予想が現実となるか否か、現時点においてはまったく見当がつかない。しかし、期待材料がどんどん増えていることに加え、どれほど市場に逆風が吹こうとも、「世界中の投資家がビットコインを買い続けている」ということは確かな事実なのである。

文・アレン琴子(英国在住のフリーライター)

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