経営者なら知っておきたい会社法の知識

2014年の改正では、コーポレートガバナンスの強化や親子会社関係の整備が行われてきた。そのため今後も社会情勢の変化に応じて改正が繰り返されていく可能性がある。企業を経営するうえで経営者なら知っておきたい会社法の基本的な事項を見てみよう。

コンプライアンスの意義(法的リスクと社会信用失墜リスク)

コンプライアンスを守る意義は、リーガルリスク(法的リスク)の回避と社会的な避難を受けないようにする社会信用リスクの回避にある。企業は事業を行っていくうえで、さまざまな規制を受けるが、守るべきものは法律だけではない。企業には、社会的責任もあり法律や社内規則・規律だけではなく倫理や道徳的な規範や慣習も含めて守ることが必要だ。

SNSなどでブラック企業などと拡散されるようなことがあれば、会社そのものの存続が危ぶまれることになりかねない。他にも談合やインサイダー取引、架空利益の計上、情報漏えい、不正受給、パワハラなどリスクは多岐にわたる。これらの問題は、大企業の不祥事や犯罪というイメージがあるかもしれないが情報化社会やネット社会の進展に伴い中小企業においても他人事ではない。

コーポレートガバナンスとアカウンタビリティ

コーポレートガバナンスとは、企業統治システムを指す。社外取締役や社外監査役の要件の厳格化、監査等委員会設置会社が創設されたのもコーポレートガバナンスの強化を目的にしたものだ。経営を透明化し会社統治システムを構築することがコーポレートガバナンスの目的となる。それには、アカウンタビリティ(説明責任)が重要だ。

株主に対して納得が得られる説明をする責任を果たさなければ経営の透明化を図ることはできず、株主からも取引先からも信用は得られない。

会社の商号を考えるときの3つの留意点

商号とは「会社の営業上の名称」であり、原則どのような商号を用いるかは自由だ。しかし商号を決めるにも以下のようなルールがある。商号を決める際には、商法や不正競争防止法、商業登記法などでも規制されており損害賠償を請求されるなど訴訟リスクがあるので注意が必要だ。

  • 会社の種類を入れる(株式会社、合同会社など)
  • 同一商号、同一住所は登記できない
  • 不正目的で他人の商号を使ってはならない
  • 他の会社の種類と誤認されるような文字を使ってはならない
  • 会社でない者は会社と誤認するような名称や商号を使用してはならない

親会社、子会社とは?

親会社と子会社の関係は、以下のようになる。

  • 親会社:議決権の過半数を持っているなど他の会社の経営を支配している会社
  • 子会社:親会社によって支配されている会社

子会社は、親会社の株式を取得することを原則禁止されており、保有したとしても親会社の議決権を行使することはできない。その他にも、監査役の兼任の禁止規定や社外取締役、社外取締役の範囲などの基準もあるため、判断には注意が必要だ。

会社法上の犯罪とは?

会社法は、刑法の特別法でもあり罰則が厳しい。コンプライアンスを守るうえで重要であり代表的なものはチェックしておきたい。

・取締役等の特別背任罪(960条)
株式会社の取締役、会計参与、監査役、執行役などが自分や第三者の利益を図る目的や会社に損害を加える目的で任務に背き会社に財産上の損害を加えた場合(10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれを併科)。

・会社財産を危うくする罪(963条)
新株発行や新株予約権発行に際して現物の価額の評価について虚偽の説明をしたときや剰余金分配規制に反して配当したときなど(5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはこれを併科)。

・株式の超過発行(966条)
取締役や執行役などが株式会社の発行可能な株式総数を超えて株式を発行した場合(5年以下の懲役または500万円以下の罰金)。

・株式等の権利の行使に関する贈収賄罪(968条)
株主総会での発言や議決権行使に関して不正の依頼を受けて「財産上の利益を得る」「要求する」「約束を行う」といったことをした場合。(5年以下の懲役または500万円以下の罰金)

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