秘密保持契約(NDA)は締結した後も重要!誤解されがちなポイント

秘密保持契約を結んだからと言って、情報漏えいのリスクがゼロになるとは限らない。思わぬ誤解がリスクを引き寄せることもあるので、契約の締結後にも気を抜かないことが重要だ。

そこで次からは、秘密保持契約の締結後に誤解されやすい2つのポイントを紹介する。

「調印する人物=契約を守る人物」ではないことが多い

秘密保持契約書に調印をする人物は、基本的に代表取締役や役員などの上層部が多い。しかし、実際に情報を保持する役目を負うのは、ほとんどのケースで現場の従業員だ。

つまり、調印する人物と契約を守る人物は別であることが多いため、社内で十分な共有ができていないと情報漏えいのリスクは高まる。したがって、契約前には関係する人物としっかりコミュニケーションを取り、可能な範囲で契約内容を共有しておこう。

契約期間の終了後に情報が漏えいすることも

相手企業に提供した秘密情報は、契約期間の終了後に漏えいすることもある。前述の残存条項によってある程度は阻止できるが、この条項の効力も永久的に発揮されるわけではない。

そのため、もし漏えいすると困る情報を提供する場合は、秘密情報の返還・廃棄についても契約書に記載しておこう。例えば、「契約完了後に秘密情報は廃棄するものとする」の一文を加えておくと、情報が万が一漏えいしても損害賠償などの措置を取れるようになる。

契約違反が発生した場合の対処法

秘密保持に関して契約違反が見つかった場合は、具体的な状況をきちんと把握する必要がある。そのため、いきなり契約解除や損害賠償に向けて動くのではなく、まずは受領者に対して状況報告や調査などを求めたい。

調査を通して受領者に非があることが分かったら、次は契約書の内容を再度確認した上で、損害賠償などの措置を取ることになる。ただし、この工程では法律の知識が求められるケースも多いので、無理をせずに弁護士などの専門家に頼ることが重要だ。

なお、情報漏えいは損害の立証が難しいことから、秘密保持契約を結んでいても損害賠償を受けられない可能性がある。また、裁判が長引くと大きな労力も発生してしまうので、開示する情報の内容や範囲は必要最小限に留めることを意識しよう。

安全な契約を結ぶために、基本的なポイントや注意点はしっかりと理解を

秘密保持契約書にはひな形も存在するが、毎回同じものを使うと必要な条項を記載し忘れてしまうリスクがある。保持すべき情報はケースによって異なるので、秘密保持契約書はその都度新しく作成することが望ましい。

常に安全な形で契約を結ぶために、本記事で紹介した内容はしっかりと理解しておこう。

著:片山 雄平
1988年生まれのフリーライター兼編集者。2012年からフリーライターとして活動し、2015年には編集者として株式会社YOSCAに参画。金融やビジネス、資産運用系のジャンルを中心に、5,000本以上の執筆・編集経験を持つ。他にも中小企業への取材や他ライターのディレクション等、様々な形でコンテンツ制作に携わっている。
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