コロナ禍で給与がダウンした大手企業ランキング 2位はオリエンタルランド、1位は?
(画像=Renan/stock.adobe.com)

新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの企業が経営に打撃を受けた業種があった。特に、観光業や飲食業を展開する企業は売上が激減し、従業員の給与を下げざるを得ないケースも目立っているようだ。では実際のところ、どのくらい給与に影響が出たのか。

上場企業を対象にした給与ダウンのランキング

上場企業に勤める会社員の平均年収の推移は、各社が会計年度ごとに公開している有価証券報告書を閲覧すれば、すぐに分かる。この記事では、このような情報を元に週刊FLASHがまとめた給与ダウンのランキングをまず紹介したい。

週刊FLASHは2021年3月期(2020年4月~2021年3月)と2020年3月期(2019年4月~2020年3月)の従業員の平均年収を比べている。ランキングは以下の通りだ。

コロナ禍で給与がダウンした大手企業ランキング 2位はオリエンタルランド、1位は?

コロナ禍で給与が大幅ダウンした企業たち

従業員の平均年収がダウンする理由はさまざまで、企業グループの再編や給与にかえて自社株式の交付を行った結果、その企業の平均年収が大きくダウンすることもある。そのため今回は、コロナ禍で特に影響を受けた観光業や飲食業の企業に着目してランキングを解説する。

オリエンタルランド(2位:ダウン率:36.3%)

オリエンタルランドは、東京ディズニーランドや東京ディズニーシーといったテーマパークを運営する企業だ。同社はコロナ禍の拡大でテーマパークの休園や入場者数制限を余儀なくされたことにより、業績が急激に悪化した。

2021年3月期の売上高は、前期比63.3%減の1,705億8,100万円まで落ち込み、最終損益は541億9,000万円のマイナスとなっている。前期は622億1,700万円の黒字を計上していただけに、急転直下の赤字転落だ。

企業の財務の健全性を示す「自己資本比率」は81.2%から73.0%に低下している。ちなみに、今期の2022年3月期(2021年4月~2022年3月)の業績予想は発表していない。その理由については「合理的な業績予想の算定が困難なため」と説明されている。

ワイエスフード(3位:ダウン率:27.2%)

ワイエスフードは、「山小屋」「ばさらか」といったブランドでラーメン店のフランチャイズを行っている企業だ。同社も新型コロナウイルスの感染拡大の影響をまともに受けた。

具体的には、営業時間の短縮や休業を実施せざるを得なかったほか、パートやアルバイトの採用難によって時給の引き上げを行い、結果として売上が減り、コストが増えた。2021年3月期の売上高は、前期比12.1%減の13億300万円となっている。

ぴあ(4位:ダウン率:25.2%)

ぴあは、日本最大級のチケット販売サイトを展開している老舗企業だ。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、イベントなどの延期や中止が相次いだことにより、売上と利益は大きなダメージを被った。

2021年3月期の売上高は前期比58.7%減の673億5,500万円、最終損益は66億6,400万円の赤字だ。なお、前期の最終損益は1億2,100万円の黒字だった。2022年3月期の業績予想は「未定」としている。

自己資本も大きく減った。2020年3月期は59億5,200万円あったが、2021年3月期は18億5,200万円まで落ちこんでいる。自己資本比率は10.2%から3.5%へと変動した。

今後の上場企業の給与はどう推移?

コロナ禍で業績が大幅ダウンした企業がランキングの上位を占めたが、これらの企業の今後の平均年収はどう推移していくだろうか。

コロナ禍の第5波が収束ムードにあり、4度目の緊急事態宣言が解除されたことを考慮すると、飲食業や観光業の企業は徐々に売上が回復していくことが期待される。そうすれば、平均年収も元の水準に戻っていくかもしれない。

ただし、ワクチンがほとんど効かない変異株が登場すれば、事態はまた悪化する。つまり、まだまだ予断を許さない状況とも言えそうだ。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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