富裕層の鉄板お買い物品 美術品、クルマ、クルーザー、航空機の償却のポイントは?
(画像=PIXTA、ZUU online)

減価償却費が発生する資産を保有して、「個人や法人の所得を利息や減価償却費と“ぶつけて”節税している」という富裕層や高所得者(高所得法人を含む)は多いだろう。第2回と第3回では、減価償却費を計上する典型的な資産である不動産について解説した。

第4回では、美術品、クルマ、クルーザー、航空機などにスポットを当てて解説していこう。野村證券でプライベートバンキング業務に従事し、現在は佐野比呂之税理士事務所代表である佐野税理士に話を聞いた。

佐野 比呂之
佐野 比呂之(さの・ひろゆき)
1998年、立教大学経済学部卒業。複数の中小税理士事務所に勤務。2006年、中央大学国際会計研究科修了MBA取得。税理士登録。2007年、税理士法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)入社(一時期、野村證券に出向)、主にオーナー企業向け税務顧問及び事業承継業務、国際相続案件に従事。2011年から野村證券で上場・未上場企業オーナー向けプライベートバンキング業務に従事。2014年、佐野比呂之税理士事務所を開所。2015年、合同会社パープル・リングスを設立。税理士、行政書士、1級FP(CFP)、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、証券外務員一種(内部管理責任者)。

償却を取れる美術品もある

減価償却に関する知識の前提として、2点の注意点が挙げられると佐野氏はいう。「1つは、事業に使って(事業供用)初めて減価償却資産として認められるということ。もう1つは、時間の経過によって価値が減価しない資産は減価償却資産として認められないということ」だ。前者に関しては、不動産をイメージすると分かりやすいだろう。個人がマイホームを買った場合は、その不動産の減価償却費は発生しないが、投資(不動産賃貸業という事業)で買った不動産は減価償却費を計上できる。

「時間の経過によって価値が減価しない資産」の代表例は土地だ。また、歴史的な価値のある美術品も永続的に価値上昇が見込まれるため、非減価償却資産に該当することが多い。佐野氏によると、「美術品は2015年(平成27年)を境に判断要素が変わった。それまでは時価20万円超のものは認められなかったが、2015年1月1日以降は100万円以内であれば減価償却が認められるようになった。100万円は作家の名前が売れ始めるぐらいの価格帯である。芸術家を応援したい『あしながおじさん』のような富裕層が、法人の利益を減らして税負担を下げたい時に100万円以内の美術品を購入することは少なからずある」という。

もちろん、減価償却費を計上するためには、その美術品を企業の受付や応接室に設置するなど、事業に使う必要がある。さらに、「100万円超の美術品でも減価償却資産として認められることもある。たとえば、絵画が店舗の入り口にがっちりと固定されており、剥がす時に絵画自体が破損してしまう場合などだ。この場合、絵画を撤去する時に価値が大きく減価することが予想されるので、減価償却費を計上して問題ないだろう」と佐野氏は解説する。

フェラーリやクルーザーを買って償却を取るのはOK?

多くの富裕層が購入するのが高級車だ。読者のなかには、資産管理会社名義でクルマを購入し、減価償却費を計上している人もいるだろう。しかし、「それは基本的に避けた方が良い。よくある言い分は『ウチ(資産管理会社)は不動産管理業をやっていて、物件を見に行くための交通手段です』だが、資産管理会社はいわば一族の貯金箱なので、よほどの規模で不動産投資業を行っていない限り、さすがに無理がある。この場合には多くの減価償却費部分が損金不算入と判断される確率が高いだろう」(佐野氏)という。

それでは、高級車を購入して、利益と減価償却費を“ぶつける”ことはできないのだろうか。