本記事は、金原章悦氏の著書『働きやすい会社の仕組みのつくり方』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています

労働環境の「ホワイト化」で生まれた

出戻り,矢印
(画像=hellohello/PIXTA)

●「出戻り」には退職前と同じ給与で再挑戦してもらう仕組み

退職した社員の「出戻り」は大歓迎です。

実際、辞めた元社員が、昔の上司に相談して、出戻ってくるケースは結構あります。これは、当社の労働環境が整ったことが大きいと思います。

社員でも、パート・アルバイトでも、出戻り大歓迎。辞めていく社員には花束を渡して、「さよなら」と言いながら、「いつでも戻って来い!」と言います。そして、彼らが「戻りたい」と言ってきたときは、基本的に「どうぞ!」と受け入れています。

その一人が、店長の植木浩二です。彼は、超ブラックだった頃の被害者の一人です。

労働時間が長いという理由で退職しました。その後コピー機の営業会社へ就職。そこがテイル以上にブラックだったようで就職し1年ほどで体を壊し、本気で転職を考えるようになったそうです。そんなとき、きん太へ食事に行った際、私が「是非、戻って来い」と声をかけ戻ってきてくれました。

もともと、飲食店でのキャリアがありましたし、調理する腕前は、十分な人材でした。

現在は、店長としてブロック部長を目指して業務に励んでいます。

枚方茄子作店店長の薮内博司は、お兄さんの事業を手伝うといって退社し、数年後に出戻ってきました。

辞めたあとストレスで糖尿病を発症。それを機に仕事から手を引くことを決め、「これからどうしようかな……」と思っているときに、上司だった小西から「人がいなくて困っているので手伝ってくれないか」という電話があったそうです。

薮内としては、「自分でよければ手伝いたい」という思いとともに、「一度辞めた人間が手伝うのは、社長的にどうなんだろう」という躊躇いもあったようです。

その話を小西から聞いて、私は即、薮内に連絡。「助けてくれ」と伝えました。すると、薮内も心が決まったようで「頑張らせていただきます」という返事。彼の場合、いろいろ思うところもあったようで、今は必死に頑張っています。

植木や薮内以外にも、出戻り社員やパート・アルバイトはたくさんいます。そんな人たちが口を揃えて言うのが、「この会社は働きやすい」。別の会社で働いてみて、改めて「働きやすさ」に気づかされたといいます。具体的には職場のチームワークだったり、飲食業界では限りなく「ホワイト」な労働時間だったりです。

こうした言葉をもらうと、これまで「いい会社」をつくろうと頑張ってきた甲斐があります。

社員たちが言うには、出戻ってこない元社員の中にも、「戻りたい」と思っている人が結構いるそうです。ただ、プライドが邪魔して、なかなか戻ってこられない。私として、ここは勇気を振り絞って戻ってきてほしいと願うばかりです……。

ちなみに、社員の場合、部長より下の職位であれば、退職前と同じ給料と同じ職位で復帰してもらいます。部長以上は、給料はそのまま、職位は退職前より1つ下のランクから再スタートです。一方、パート・アルバイトの場合は、辞める前と同じ時給と職位にします。ぜひ戻ってきてください。大歓迎します。

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(画像=『働きやすい会社の仕組みのつくり方』より)
働きやすい会社の仕組みのつくり方
金原章悦(かねはら・しょうえつ)
株式会社テイル代表取締役社長。1968年、京都府出身。京都西高卒業後、京都市内の老舗お好み焼店どんぐりに入店。2年間の修業後、1988年、20歳にて、お好み焼・鉄板焼「きん太」を創業。1997年、「日本一のお好み焼屋」になることを目指し株式会社テイルを設立。「きん太」は関西を中心に京都・大阪・奈良・愛知で合計25店舗の人気チェーン。5年間で8割が閉店に追い込まれるといわれる外食業界のなかで、2013年以降、8年間連続で毎年既存店10%の売上アップを記録し、大きな注目を浴びている。自身は、京都西高時代に甲子園出場を果たし、2008年、京都滋賀オープンゴルフ選手権にてプロアマ戦に出場、ローアマを獲得するなどユニークな経歴でも知られる。家族は、6人の子どもに恵まれ4女2男。京都府城陽市在住。本書は「きん太」を支える人づくりの仕組みをはじめて公開した、待望の1冊。

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