本記事は、金原章悦氏の著書『働きやすい会社の仕組みのつくり方』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています

人事評価制度で「やるべきこと」が明確に

評価
(画像=bee/PIXTA)

●キャリアプランも明確になり、社員のやる気が引き出される

昔の私は、鉛筆ナメナメしている社長でした。そんな経営者のもとで働くと、社長の都合で給与・賞与が決まるため、働いている人たちがイヤな思いをします。

ようやくそのことに気づくことができ、人事評価制度を導入。「頑張れば評価される仕組み」づくりに注力してきました。

人事評価制度については、大きく2つの効果をもたらしています。

1つが、評価を上げるためにやるべきことが社員一人ひとりに明確になったことと、もう1つが、社員それぞれのキャリアプランが明確になったことです。

人事評価制度を導入したことで、この状況が180度変わりました。この人事評価制度では、「評価シート」に基づき、半期ごとに評価されます。評価シートの内容は、社員たちにオープンにしているので、社員たちは何をすれば評価が上がるのかを理解しています。

たとえば、店長までの社員は、「業績」だけでなく、「上司からの評価」(プロセス評価)や「会社にどれくらい関われているか」(研修などに参加して得られる方針共有の点数、環境整備点検の点数)という部分が重視されます。

一方の部長職以上の場合は、会社にとっての「新たな稼ぎ」をつくり出すことが求められますから、評価もそこをベースに行っています。

そのため、「もっと評価を上げたい」社員は、評価シートで求める成果を上げれば、確実に評価を得ることができます。これが効果の1つ目です。

また、この人事評価制度では、年収・役職等に基づいて1グループ〜7グループの7つのグループが設定され、どのグループでは、どれだけの給料がもらえるかの道筋が明確になっているわけです。これが2つ目の効果、「キャリアプランの明確化」です。

そして、これらの効果がもたらしたものは、仕事に前向きに取り組む社員が増えていったことでした。

この評価制度は、経営計画書に書かれているルールを実行し、かつ環境整備や社員研修、会社の勉強会に積極的に取り組んでいけば、おのずと点数がよくなる仕組みです。これは言ってみれば、もっとよい会社にしていこうと、日々、頑張っている社員の、その「頑張り(プロセス)」を見逃すことなく、きちんと評価してあげるということです。

「結果」だけでなく、そこにいたるまでの「頑張り」も評価する。頑張っていることを他人から認められれば、ポジティブな感情も生まれやすくなります。そして、それが次のモチベーションを引き出し、「結果を出す」ことにつながっていくのです。

●店長までは相対評価、部長以上は絶対評価の理由

1Gグループ(新卒を含む一般社員)から4G(店長)までは、直属の上司が相対評価で評価します。一方、5G(ブロック部長)から7G(取締役)については、社長が絶対評価で評価します。4Gまでの社員は直属の上司が、5Gまでの社員は社長がマネジメントすることで、組織をピラミッド型にするための工夫です。

4Gまでの相対評価では、人事評価基準書に基づいて評価した数値で、上位25%はA評価、次の55%がB評価、下位20%がC評価とランク付けしていきます。つまり、仮に社員が100人だとすれば、A評価の人が25人、B評価の人が55人、C評価の人が20人という割合になるわけです。

人事評価を導入してみて感じたのは、全員が納得する評価は得られないということ。全体の25%は評価結果に納得し、55%は普通、20%は評価結果に納得しない事実でした。そこで、この割合をA〜C評価の配分にも割り当てています。

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(画像=『働きやすい会社の仕組みのつくり方』より)
働きやすい会社の仕組みのつくり方
金原章悦(かねはら・しょうえつ)
株式会社テイル代表取締役社長。1968年、京都府出身。京都西高卒業後、京都市内の老舗お好み焼店どんぐりに入店。2年間の修業後、1988年、20歳にて、お好み焼・鉄板焼「きん太」を創業。1997年、「日本一のお好み焼屋」になることを目指し株式会社テイルを設立。「きん太」は関西を中心に京都・大阪・奈良・愛知で合計25店舗の人気チェーン。5年間で8割が閉店に追い込まれるといわれる外食業界のなかで、2013年以降、8年間連続で毎年既存店10%の売上アップを記録し、大きな注目を浴びている。自身は、京都西高時代に甲子園出場を果たし、2008年、京都滋賀オープンゴルフ選手権にてプロアマ戦に出場、ローアマを獲得するなどユニークな経歴でも知られる。家族は、6人の子どもに恵まれ4女2男。京都府城陽市在住。本書は「きん太」を支える人づくりの仕組みをはじめて公開した、待望の1冊。

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