本記事は、中村基樹氏、西村聖司氏、河上祐毅氏の著書『CHANGE LEADER 「多様性」と「全員参加」を実現させるリーダーシップの身につけ方』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています。

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(画像=PIXTA)

60年働く私たち

シニアがはつらつと働く世界

日本は世界でトップクラスの長寿大国です。実際に昔と比べると、シニアの皆さんも若返っている印象があり、感覚としては10年くらいは若いのではないでしょうか。

政府は2013年に定年を60歳から65歳へ引きあげましたが、その年齢を過ぎても働き続けるのは珍しいことではなくなってきました。逆に定年後に何もしなければ、生活に必要な十分なお金が賄えず、暇を持て余してしまうほどで、まだ働く気持ちでいっぱいの人が大勢いるわけです。これは仕事だけでなく、プライベートでも同じことがいえるでしょう。

これからの私たちに待っているのは、およそ40年だった社会人生活が、60年になるような世界です。

65歳以上になってくると、若い人からすればすでに現役を引退した人と思われるかもしれませんが、シニアの方々が働いて成果が出るようになれば、若い人と同じように十分な戦力として活躍できるはずです。

ただ、今の変化のスピードで60年後に起こる技術革新やグローバリゼーションを考えると、とても1つのキャリアで完結するとは思えません。そのような時代においては、自分から何度か大きなキャリアチェンジをしかけるタイミングが必要になってきます

これまでのシニア世代の働き方には、例えば大企業では子会社への天下りを繰り返すというような形式もありました。

こういったシステムは、終身雇用と同じように、その会社が成長し続けていることが条件だったため、現在の状況にも当てはまるわけではありません。むしろ、 40代や50代くらいでも、早期退職などを通じて人材を入れ替えるような施策も出てきているほどです。

同じ会社や組織への帰属にこだわる時代は終わりました。その中で65歳を迎え、さらに10年働き続けるとして、「あなたは何ができますか」と問われたときに、自信を持って答えられるだけの能力を常にアップデートしなければいけません。

10年刻みで自分のスキルアップをしていくのが、60年以上働くことになる私たちには非常に大切になってきます。

変化を楽しみながら、適切なサイクルでキャリアを見つめ直すには、単に任されている仕事だけでなく、世の中や自社、競合、他業界の動きに興味を持ち、自ら機会をつくり、人とのつながりを築きながら、チャンスがあれば手を挙げる。

その繰り返しを行うことで、私たちが年齢を重ねたときに、最大のセーフティネットになってくるはずです。

キャリアは自分でしかつくられない

描くキャリアをイメージしながら仕事に取り組む

これからの時代、キャリアパスは会社から与えられるものではなく、自分でつくるのが大切ということは、これまでも繰り返しお伝えしてきました。

何年間でどんなスキルを獲得し、そのために何を身につけるか。それをイメージしながら仕事をする必要があることから、人によっては難しい時代になっているわけです。

私たちがアクセンチュアに入った当時も、そこには明確なキャリアパスがありました。1年目から業務に従事し、3年目でコンサルタントになり、そこからマネジャー、シニアマネジャー、パートナーとキャリアアップしていきます。

共同経営者に近いポジションには平均12年、早ければ10年でなる人もいました。このようなキャリアプランが目の前に見えていたからこそ、自分の現在地や、時間軸の中でどう歩むべきか、とても分かりやす かったものでした。

一般的な会社でも、例えば入社して30年後に部長になり、35年で社長になることができるというレールがあれば、キャリアも描きやすいでしょうが、当然そのようなものは用意されていません。そういったレールがないことも、仕事のモチベーション維持に関係してくるかもしれません。

自分が辿るべきキャリアパスのイメージは、自分たちで見つけ、つくっていくしか方法はありません。身近にいる人だけでなく、例えば同業で活躍している社外の人なども参考にしながら、「50歳になったら、あんな風に活躍したい」などと考え、そこに到達するにはどう仕事をすべきか、日々自らの行動をチェックする必要があります。

与えられた役割を淡々とこなすだけでは、将来は通用しないでしょう。そしてこれは、定年後にどんな働き方を選びとっていくのか、という問題にも直結するのです。

では、ロールモデルとは具体的にどう見つけていけばいいのでしょうか。

結論からいうと、完璧なロールモデルというものは、おそらく見つけることはできないと割り切るべきです。1人の目指すべき姿を見つけるのではなく、複数の人を参考にしながら、良いとこ取りをするのがいいのではないでしょうか。

例えば、「コミュニケーションの取り方は、上司を見習ってみよう」「リーダーシップを発揮する際は、多様性を大切にしている人を参考にしよう」「物事を分析したり情報を集めたりするなら、この人のやり方が一番参考になる」などのように、周りを見渡せば良い手本はたくさんいるはずです。ロールモデルは何人いてもいいですし、完璧な人はそうはいないのです。

CHANGE LEADER 「多様性」と「全員参加」を実現させるリーダーシップの身につけ方
中村基樹
ムーンプライド株式会社代表取締役CEO。
アクセンチュアの通信・メディア・ハイテク本部マネジング・ディレクターとして活躍後、起業。コンサルティング人材・起業家ネットワークを活かし、さまざまな企業の課題解決、新たな価値創出に邁進中。
趣味は、お気に入りのスマートウォッチ、イヤホン、シューズで走ること。
西村聖司
ムーンプライド株式会社代表取締役CMO。
アクセンチュアのCRM戦略グループや通信・メディア・ハイテク本部で、ハイテクメーカーを中心に業務改革や営業力強化等に従事後、起業。中小企業診断士としても活躍中。
休日は、小劇場やミュージカル、ジャンル問わず音楽ライブに足を運びつつ、長年の一口馬主ライフにも余念がない。
河上祐毅
ムーンプライド株式会社取締役CSO。
アクセンチュアの戦略グループ、マクドナルドのマーケティング部門を経て起業。戦略策定やデータ分析に長け、ヘルスケア業界や通信業界に明るい。
最近の趣味は、日曜プログラミングに加え、コテンラジオやThe Pitchなどの音声メディアや書籍を通じて、これまで知らなかった世界に没入すること。

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