戦略と戦術の違いを具体例で解説

もう少し理解を深めるために、ここからは具体例を用いて戦略と戦術の違いを解説していく。

経営戦略と経営戦術の違い

経営戦略の策定では、最終的な企業目標を達成するための大まかなプロセスを決めていく。

具体的な決定事項としては、経営ビジョンや事業ドメイン、各機能の役割、経営資源の配分などが挙げられる。

一方で、経営戦術の策定では経営戦略を意識しながら、より具体的な施策を考えていく。例えば、経営資源(ヒト・モノ・カネ)の調達方法や、さらに細かい資源配分(組織内への振り分け)をイメージすると分かりやすい。

マーケティング戦略とマーケティング戦術の違い

マーケティング戦略とは、マーケティングにおける具体的な目標を設定しながら、会社全体として目指すべき方向性を示すものである。実際の策定時には、「売上○%アップ」や「○%のコストダウン」のように数値目標を設定し、社内でその目標を共有することが多い。

一方で、マーケティング戦術はこれらの目標を達成するための手段であり、具体例としては「メディアの活用」や「SNS広告の導入」などが挙げられる。そのほか、売上アップを目指すための体制づくりや、物流システムの見直しなどもマーケティング戦術に含まれるだろう。

戦略・戦術と「作戦」はどう違う?それぞれの関係性もチェック

ここまでは戦略・戦術の違いを紹介してきたが、実は「作戦」も混同されやすい用語のひとつだ。作戦とは、戦略の成功を大きく左右するプロジェクトのことを指し、英語では「オペレーション(Operation)」と表される。

戦略と戦術の違い

戦略や戦術との関係性については、ピラミッドの構図にすると分かりやすい。視点・目標の大きさを元にそれぞれを並び替えると、上から「戦略→作戦→戦術」の順になる。つまり、企業が理念や目標を設定する際には、この順で計画を立てなくてはならない。

では、作戦には具体的にどのようなものがあるだろうか。上記のマーケティングを例にすると、新製品の開発計画や、事業の選択と集中などが挙げられる。また、市場での競争力が低い企業の場合は、ターゲット層や進出エリアをあえて絞る施策も作戦に含まれるだろう。

ただし、作戦は戦術との境界線が曖昧であるため、企業の理念や目標について語るときには「戦略・戦術」の2つに分けることが多い。会社やプロジェクトの規模がよほど大きくない限りは、ひとまず戦略・戦術の2つだけでも事足りるはずだ。