経営戦略を戦術に落とし込む方法
会社の基本方針となる経営戦略を策定したら、その内容を戦術へと落とし込む必要がある。具体的にどのような流れで落とし込んでいくのか、ここからはその基本的なプロセスを紹介しよう。
【STEP1】経営戦略の目的を明確にする
経営戦略に対応した戦術を策定するために、まずは「経営戦略の目的」を明確にする。例えば、「業界内でトップシェアを目指す」といった明確な目的があれば、競合他社の売上や市場シェアをもとに戦術を考えられるので、整合性のある戦略・戦術を策定しやすい。
ここで重要になるポイントは、できる限り具体的な目的を設定することだ。「会社を大きくしたい」などの抽象的な目的にすると、後に策定する戦術も曖昧なものになってしまう。
また、企業によっては戦略と戦術の立案者が異なる場合もあるので、誰が見ても理想の企業像が分かるような目的を設定していこう。
【STEP2】目的を達成する複数の手段を考える
経営戦略の目的を設定したら、次はその目的を達成するための手段を考える。ひとつの手段で目標を達成できるとは限らないため、この工程ではできる限り多くの手段を練ることが重要だ。
例えば、業界内でトップシェアを目指している場合は、以下のようにさまざまな角度から達成手段を考えていく。
- 営業活動に力を入れて顧客を増やす
- 他社には真似できない技術を確立する
- 競争が激しくない業界へと移る
- 商品の価格を一時的に下げて販売数を伸ばす
- 他社と業務提携を結ぶ
なお、各手段を実現できるかどうかは次の【STEP3】で判断するため、まずは実現の可能性を意識せずより多くの手段を書き出していこう。
【STEP3】リソースに合わせて、最も効率の良い手段を選ぶ
手段に関するアイデアを出し終えたら、次はその候補の中から最も効率が良いものを選んでいく。ただし、そもそも実現できなければ効果的な戦術とは言えないため、自社のリソースに合ったものを選ぶ必要がある。
例えば、資金や人材が限られている中小企業の場合、革新的な技術を自社だけで確立することは難しい。そのほか、適した相手企業が見つからないタイミングでの業務提携や、従業員に大きな負担がかかる営業活動なども望ましくないだろう。
また、仮に大きな効果を期待できるとしても、大きなリスクを抱えるような手段は避けたい。強引な値下げなど無理のある戦術を展開すると、社内のどこかにその歪みが生じてしまう。
このような流れで選んだ効率的な手段が、最終的には自社にとって適した戦術となる。