効果的な戦略・戦術を立てるためのフレームワーク

大まかなアイデアを戦略・戦術に落とし込むには、直面している課題などの要点を整理する必要がある。この作業を省くと、全体としてまとまりのない戦略・戦術になってしまうことがあるため、計画の策定時にはビジネス用のフレームワークを活用したい。

ここからは、効果的な戦略・戦術を立てるためのフレームワークを紹介する。

SWOT分析・クロスSWOT分析

SWOT分析は、自社の「強み・弱み・機会・脅威」を整理することで、現時点での課題や市場でのポジションを分析するフレームワークである。内部環境と外部環境の両方を分析できるため、主に戦略の方向性を判断したい場合に役立つ。

<SWOT分析の要素>
Strength(強み):他社と比べた強みはなにか
Weakness(弱み):他社と比べた弱みはなにか
Opportunity(機会):市場拡大や流行など、優位性を築ける機会はあるか
Threat(脅威):競合他社や代替品など、自社の脅威となる存在はあるか

戦略と戦術の違い
引用:経済産業省「経営計画策定支援 スライド

また、以下のようにSWOT分析の各要素を組み合わせると、「クロスSWOT分析」と呼ばれるフレームワークになる。

<クロスSWOT分析の考え方>
強み×機会:自社の強みを活かして、どのようにビジネスチャンスを創出するか
強み×脅威:自社の強みを活かして、競合・代替品などにどう対策するか
弱み×機会:機会損失のリスクを抑えるために、自社の弱みをどう補完するか
弱み×脅威:脅威を減らすために、自社の弱みをどう補完するか

上記のクロスSWOT分析まで行うと、優先度の高い課題にフォーカスした戦略を立てやすくなるので、戦術の質も上がることが予想される。

アンゾフの成長マトリクス

アンゾフの成長マトリクスは、市場特性に合わせた戦略・戦術を考えるためのフレームワークである。「新規製品・既存製品・新規市場・既存市場」の要素を整理して、自社製品をどの市場に投入すべきかを判断する。

戦略と戦術の違い
(引用:経済産業省 中小企業庁「アンゾフの成長マトリクス」)

現代の市場は「VUCA(※)」と称されるほど変化が激しく、業種に関わらず将来の予測が難しい状況にある。そのため、特に外部環境は定期的なリサーチを行い、現状に合わせた戦略・戦術をとることが重要だ。

戦略・戦術は日々ブラッシュアップする必要があるため、アンゾフの成長マトリクスのようなフレームワークはこまめに活用したい。

(※)変動性・不確実性・複雑性・曖昧性(Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguity)を表す造語。