本記事は、平石直之氏の著書『超ファシリテーション力』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています
Q トチったり、言い間違えたり、会議でミスってしまったときは?
A 失敗もチャーミングに! しくじったあとの振る舞いが大切。
●何事もなかったかのように次に進むか、お詫びが必要か、速やかに判断を
大前提として、ちょっとした言葉の端を言い間違えてしまったり、期せずしておかしな言葉になってしまったり、いわゆる〝噛む〞ことを恐れすぎる必要はありません。
ミスが出てしまうことは、訓練を積んだプロのアナウンサーでもしばしば起きることです。
むしろ、ささやかな言い間違いを気にしすぎるあまり、ファシリテーターがその後もオドオドと落ち着かなくなってしまうようでは、会議全体の雰囲気に影響してしまい、そちらのほうがよほど問題でしょう。
とはいうものの、実際にミスをしたときの気まずさと情けなさを経験すると、なんとか失敗を避けたいと思う気持ちもよくわかります。
そんなときに思い起こすのは、かつて先輩アナウンサーから教えられた、「どうせ噛むならチャーミングに噛め」という言葉です。
これは画面内における見栄えの問題でもあり、言い間違えてしまったりした様子が変に痛々しく見えるようではいけません。その様子を見ている人たちにとっても、居心地の悪いものとなってしまうからです。
実際、テレビでアナウンサーがミスをする姿は珍しいものではなく、事後の対応が上手な人こそ、その人への信頼感や安心感が深まるものです。
つまり、重要なのは失敗しないことではなく、しくじった直後の振る舞い方なのです。
気にならない程度の小さなミスであれば、何事もなかったかのように、堂々とそのまま次へと進めていけば、動じない姿勢がミスをカバーしてくれます。一方で、気まずいレベルのミスが出たときには、速やかに「失礼しました」とひと言お詫びをして本題に戻れば、参加者たちもあとを引きずらずに内容に集中できるでしょう。
さらに、話しているテーマや失敗の内容次第では、ミスを笑いに転換できたり、場を和ませたりできるケースもあります。人間は失敗するものだという前提に立ち、ミスしたときには、内面に込み上げてくる恥ずかしさを乗り越えて、「いまこそが見せ場だ」という強い気持ちで対処したいものです。
また、言い間違いを恐れるあまり、あらかじめ進行のシナリオをしっかりと文章化して会議に臨む人もいるかもしれませんが、これには一長一短があります。
「本日は○○について議論したいと思います―」と手元に原稿を用意しておけば、たしかに安心感にはつながりますが、その反面、どうしても堅苦しい雰囲気になってしまいます。
最低限の原稿を準備しておくにしても、「さあ、それでは始めましょうか」と、できるだけ自然体で、そして会話をするかのように自分の言葉で進行することができれば、ちょっとしたミスもおのずと気にならなくなるのではないでしょうか。
過度にミスを恐れる必要はありません。ミスをしても動じない。お詫びが必要なときは速やかに。どうせ失敗するならチャーミングに。
そんな意識を持って、ぜひリラックスして会議に臨んでください。
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