未上場企業への投資の手段として、年々注目度が高まっている株式投資型クラウドファンディング(ECF)。2017年に国内第1号案件が始まったばかりの新しい金融サービスだけに、エグジット(投資の出口)の実績が少ないのが難点だ。現在、日本国内でのエグジットの実績は5件のみだが、その5件とも日本クラウドキャピタルのECFサービスであるFUNDINO(ファンディーノ)が手掛けた案件である。本記事では、日本クラウドキャピタル代表の柴原祐喜氏にインタビューを行い、エグジットを輩出できたポイントや、日本のリスクマネー市場を大きく変える可能性を秘める未上場株式の売買市場、通称「ファンディーノマーケット」設立の背景や狙いなどに迫る。

株式投資型クラウドファンディング
(画像=PIXTA、ZUU online)
柴原 祐喜
柴原 祐喜(YUKI SHIBAHARA)
日本クラウドキャピタル代表取締役CEO
2009年、カリフォルニア大学卒業。2012年に明治大学大学院グローバルビジネス研究科修了。大学院での研究テーマは「未上場企業の価値算出」。同年、システム開発・経営コンサルティング会社を設立。2015年、共同代表の大浦氏とともに日本のスタートアップ環境を盛り上げていきたいとの思いで日本クラウドキャピタルを設立し、代表取締役CEOに就任。日本初の第一種少額電子募集取扱業として株式投資型クラウドファンディングサービス「FUNDINNO」をスタートさせた。

リスクマネーの供給を増やす目的で起業

―― 本日は、株式投資型クラウドファンディング(ECF)で国内唯一のエグジットを達成したFUNINOや、つい先日発表された未上場株式の売買市場「ファンディーノマーケット」についてお話をうかがいたいと思います。まず、柴原さんご自身の経歴や、起業に至るまでの経緯をお話いただけますか?

もともと起業には興味がありました。米国のカリフォルニア大学で経営や起業などについて学び、卒業後は明治大学の大学院で「非上場株の価値算定」というテーマの研究をしていました。研究の過程で、日本は「グローバルで活躍するようなスタートアップ企業が生まれていない」ことや、「リスクマネーの供給が少ない」という課題を抱えていることに気付きました。

その後、2年ほどシステム開発会社で働いていたのですが、2015年頃、米国でECF市場が盛り上がりつつあるのを見て、「ECFの仕組みを活用すれば、日本にリスクマネーの供給を促すことができるのではないか」と感じ、同じ課題を感じていた大浦さんとともに現在の会社を立ち上げたのです。

―― 今年8月に発表された日本銀行のレポートによると、家計の金融資産に占める株式の比率は、米国の37.8%、ユーロエリアの18.2%に対し、日本は10%でした。欧米諸国と比べるとかなり低い数字です。これも日本においてリスクマネーの供給が少ない要因の1つだと思いますが、そうなっている理由はなんでしょうか?