近年、商品の販売のみならず企画・製造まで自社で一貫して行う「D2C」というビジネスモデルが大きな注目を集めるようになった。顧客と直接つながる特長を活かして事業発展に成功する企業もあり、D2Cに関心を持っている企業も多いだろう。しかし、すべてを自社で行うためにはさまざまなリソースも必要で、進め方にもコツがある。本稿では、D2Cの成功事例を紹介しつつD2Cのメリットやデメリットについても詳しく解説していく。

目次

  1. D2Cとは?
    1. D2Cの成功企業例
    2. PHOEBE BEAUTY UP
    3. Mr. CHEESECAKE
    4. snaq.me
  2. D2Cが注目されている背景
  3. D2C導入のメリット
    1. 顧客の反応がダイレクトに分かる
    2. 収益性が向上する
    3. 顧客に自社の想いを直接伝えることができる
    4. リピーターの獲得がしやすい
  4. D2Cのデメリット・注意点
    1. 魅力的な商品が必要
    2. ブランディングが必要
    3. 販路開拓にコストがかかる
    4. 顧客開拓やリピーターを増やす努力が必要
  5. D2Cに向いている商品とは?
  6. D2Cの進め方
    1. 1.ビジネスモデルを設計する
    2. 2.ビジネスモデルを検証・調整する
    3. 3.事業モデル運用環境を構築する
    4. 4.プロモーションを展開し、サービスの改善を行う
  7. D2C成功のポイント
    1. ターゲットにする顧客の属性を把握する
    2. ブランドの確立
    3. SNSを利用したウェブマーケティングを行う
    4. 魅力的な商品開発
    5. 定期購入制度、リピーター優遇制度の導入
  8. D2Cの失敗事例効果が見られない時にチェックすべきポイント
    1. 商品が消費者のニーズに応えられていない
    2. サイトに集客できない
    3. 顧客対応が悪い
  9. D2Cの成功までにはコストや時間がかかることを覚悟しよう
ニーズが汲めない、集客できない……D2Cで成功するのは難しい?
(画像=Fauzi/stock.adobe.com)

D2Cとは?

D2Cとは「D to C」つまり「Direct to Consumer」の略称だ。メーカーもしくはブランド保有企業、個人事業者などが仲介業者を通さずに、自社で企画・製造した商品を自社のチャネルを通して消費者に直接取引するビジネスモデルである。アフターケアまでも自社で完結させるのが一般的だ。

古くから使われている「B2C」や「B2B」という言葉に似ているが、これらは「誰に向けて(誰と)ビジネスをするか」という意味合いで使われる。

  • B2C(Business to Consumer):一般消費者を対象とするビジネス
  • B2B(Business to Business):企業や組織を対象とするビジネス

一方D2Cは「どのように商品・サービスを提供するか」というモデルであり、ビジネスの対象者を限定するものではない。

D2Cの成功企業例

詳しくは後述するが、D2Cはダイレクトに最終顧客と接点を持つことで中間マージンを排せることや、最終顧客データを獲得できるなどの点で注目されており、実際にD2Cで成功した企業もある。以下で3つの企業の例を紹介する。

PHOEBE BEAUTY UP

まつ毛美容液の販売で有名になった企業だ。消費者に寄り添った商品展開や直接消費者とコミュニケーションを取ることを大切にしており、自社サイトでの商品販売を中心に全国のバラエティショップでの販売も行っている。また扱う商品の特性上、若い女性のユーザーが多い。そのためインスタグラムやTwitterなどSNSを活用した宣伝にも力を入れているのが特徴だ。SNS独自のキャンペーンなども行っている。

Mr. CHEESECAKE

こだわりのチーズケーキを製造・販売するブランドだ。自社サイトでは、有名シェフがチーズケーキを企画、製造するまでのストーリーを丁寧に紹介。また季節ごとの商品紹介もセンスの良い写真とともに掲載しており消費者の購買意欲をくすぐる内容となっている。メールマガジンに登録することで販売開始や限定商品のお知らせが届く。これによりリピーター獲得の一助となっている。

snaq.me

おやつの定期便を販売する企業。サイト上で好みや除外したい食材の情報を入力し購入手続きを行う。その後は、ポストにおやつが届く仕組みだ。「2週に1回」「4週に1回」という頻度で届く定期購入でリピーター獲得に成功している好例といえるだろう。またおやつが届くと評価をフィードバックするシステムで好みの商品を届けてもらう仕組みが確立しているところも高評価につながっている点だ。