D2Cが注目されている背景
近年D2Cが注目されるようになった背景には、消費者の価値観や消費行動変化があると考えられている。特に消費行動においては、SNSやECサイト、比較サイトなどを通じて購入前に情報検索、性能・価格などの比較、コメントチェックといった行動が一般化しつつある。
多様な消費者ニーズやインサイトに応えるためには、顧客の体験価値向上とそのためのデータ分析の重要度が増している。そのためにも、直接消費者とつながる必要性が生じているのだ。幸い、ネットショッピングの普及とともにECサイト構築の利便性が向上したり、SNSや動画配信などの消費者と直接コミュニケーションを取ったりできるツールも普及している。
企業にとってもD2Cに取り組みやすくなっているといえるだろう。
D2C導入のメリット
D2Cを導入することでどのようなメリットがあるのだろうか。詳しく見てみよう。
顧客の反応がダイレクトに分かる
D2Cでは、仲介業者を通さず直接企業と消費者がつながるため、顧客の反応がダイレクトに分かり、供給量の調整や商品・サービスの改善をスピーディに行えることが最大のメリットだ。例えば自社サイトを利用して商品を販売する場合、サイトの滞在時間、アクセスが多いページなどの解析が容易にできる。
顧客が「どの商品に反応を示しているか」「どの商品は人気がないか」というデータの収集や蓄積により、魅力的な商品開発につなげることが期待できる。
収益性が向上する
D2Cでは、自社で商品の企画・製造・販売を一貫して行う。卸売業者や小売業者は入らないため、それらにかかるコストが削減できる。また店舗を持たずインターネット販売に特化することで、店舗にかかるコストも必要なくなる。こうした理由から収益性アップが期待できるだろう。
顧客に自社の想いを直接伝えることができる
自社サイトを通じて商品を販売するD2Cでは、自社の想いや商品に対するこだわりを消費者に伝えることが可能だ。自社のファンになった人や商品へのこだわりを理解してくれた消費者は何度も購入してくれるリピーターになることが期待できる。
リピーターの獲得がしやすい
自社サイトを用いたD2Cの場合、顧客の情報の収集もしやすい。商品購入履歴に基づき気に入りそうな商品の案内を送ることも可能だ。各顧客に合った販売戦略も立てられるため、リピーターの獲得がしやすいというメリットがある。
D2Cのデメリット・注意点
コストを抑え高い収益性が期待できるD2Cだがデメリットもある。考えられるデメリットや注意点についてもチェックしておこう。
魅力的な商品が必要
D2C成功のためには、まず魅力的な商品開発をすることが必要だ。ターゲットとなりそうな消費者が求めているものは何かをリサーチし、ニーズに合った商品を作らないといけない。調査に関する時間や費用だけでなく商品開発にもコストがかかるというデメリットも忘れないようにしたい。
ブランディングが必要
自社商品のファンを作るためには、商品企画に加えてブランディングも必要不可欠である。「会社が目指しているもの」「どうしてこの商品を開発したか」などを考え、コピーやサイト内の文章に落とし込むという作業も必要になる。またブランディングは、すぐに結果が出るものではないため、ある程度時間がかかることも把握しておかねばならない。
販路開拓にコストがかかる
D2Cでは、自社で直接販売するため、販路開拓に金銭的・時間的コストがかかる。特にインターネット通販で商品を販売する場合は、既存のプラットフォームサイトを利用するのではなく自社ECサイトを利用するのが一般的だ。そのためコストだけでなく時間もかかる点がデメリットといえるだろう。
顧客開拓やリピーターを増やす努力が必要
新しいサイトを作って商品を販売する場合、顧客の開拓も必要だ。ターゲットとなりそうな人にダイレクトメールを送ったり関連しそうなサイトに広告を出したりするなどの戦略を立てないとならない。顧客開拓に関する費用が発生することは、デメリットといえる。さらに一度購入した顧客に再度買ってもらえるように定期購入制度を導入するなどの工夫も必要だ。
こちらにもコストや時間がかかる点は、押さえておきたい。