本記事は、手塚貞治氏の著書『武器としての戦略フレームワーク』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。
二次元化思考の基本
二次元化思考とは?
「二次元化思考」とは、"2つの軸からなるマトリックスを作成し、そのマトリックス平面上を使って考察する思考パターン"です。昔は、こうしたチャートを書くと「コンサルタントっぽい」と思われたようですが、いまでは随分、一般的になりました。
たとえば、上に図示したように、"住居を選ぶ条件"を「眺望」と「利便性」との2軸でマトリックス化すれば、立派な二次元化思考です。
でも、なぜたったの「2軸」なのでしょうか。"住居を選ぶ条件"を考えたら、「価格」「間取り」「景観」「日当たり」「築年数」「戸建か集合住宅か」など、いろいろな条件を考えたいところです。とても2軸には収まりません。もっとたくさん軸をつくったほうが緻密な分析ができるのではないでしょうか?
軸をたくさんつくらない理由は、"人間には認知限界がある"ということに他なりません。この世の事象を深く考えるには、本来は4軸でも5軸でもあったほうがいいに決まっています。しかし残念ながら、それを平面に書くことができません。3軸ならば立体化して図示する方法もありますが、それでも見にくいので実務上はあまり使いません。
前述したように、フレームワークは「シンキングツール」であり、「コミュニケーションツール」です。自分でノートに手書きしたり、ホワイトボードに書いてみんなで話し合ったりするような使い方をされます。その場合は、3軸でも表現するのは難しいと思ったほうがいいでしょう。
3軸以上の場合、フレームを2つに分けるほうが無難です。一見、まどろっこしく感じますが、受け手のほうも、そのほうがすっきり理解できるはずです。
二次元化思考のフレームワークを活用するときの3つの留意点
二次元化思考も、前項のように説明してしまえば、実にシンプルなものです。そして一見、カッコ良く分析しているように見えるため、不慣れな方が安直に使ってしまいがちです。そうすると、せっかくの良い道具がその効力を発揮できません。
ただ、私は統計学的な厳密性を問うつもりはありません。我々ビジネスパーソンは、効率と効果とのバランスを保ちながら働いています。お互いの理解を得られる範囲でのツールになっていればよいのです。したがって、本章で説明する二次元化思考は私の経験から、あくまでビジネスの現場における有効性を念頭に置いていることをご承知ください。
では、二次元化思考のフレームワークを使用するときの留意点は何でしょうか?
次の3点をチェックポイントとして挙げておきます。
- 二次元化思考のフレームワークを使用するときの留意点
- (1)軸の独立性:2つの軸は独立しているか? 否か?
(2)軸の連続性:その軸は連続軸か? 区分軸か?
(3)軸の定量性:その軸は定量化できるか? 否か?