中国以外のアジア新興国は視界良好 中国は5%前後で落ち着くか
(画像=PIXTA、ZUU online)

世界経済や金融市場を語るうえで、最も重要な国は米国であることに異論は少ないだろう。しかし、我が国(日本)の地理的な状況を鑑みると、米国と同じくらい重要な市場が中国だ。また、近年は中国を除くアジア新興国の経済的な台頭も著しく、これらの国々は2022年の世界経済を展望するうえで欠かせない存在と言えるだろう。

そこで今回は、アジア経済に精通しているインベスコ・アセット・マネジメント株式会社グローバル・マーケット・ストラテジストの木下智夫氏に、アジアを含めた2022年の各地域の経済見通し、米利上げがアジア経済に与える影響、中国の長期的な経済成長などについて聞いた(インタビューは2021年12月中旬に実施)。

インベスコ・アセット・マネジメント
木下 智夫(きのした ともお)
インベスコ・アセット・マネジメント株式会社グローバル・マーケット・ストラテジスト。1987年に野村総合研究所に入社。ワシントン・オフィスやシンガポール・オフィスなどでの海外経済分析業務や世界銀行でのコンサルタント業務などに従事した後、野村證券株式会社に転籍。香港での中国・アジア経済調査責任者を経て、東京でチーフエコノミスト、チーフ・マーケット・エコノミストを歴任。グローバル経済・金融市場の分析・情報を投資家やメディア等に提供するなど、長期間にわたり内外の経済金融情勢分析に従事。2019年4月より現職。

目次

  1. 「年前半が強く、年央でピークアウトする」が大きな捉え方
  2. アジア新興国の経済は堅調に推移する予想
  3. 米利上げも逆風にならない可能性が高い
  4. 中国経済「5〜10年後は、GDP成長率3%台もありえる」

「年前半が強く、年央でピークアウトする」が大きな捉え方

―― 2022年の世界経済の見通しについて教えてください。

2022年は、世界経済がコロナ禍から脱却していくプロセスがより力強く見られる年になると思います。先進国を中心に、すでに経済再開の恩恵を受けている国はありますが、年前半にかけて、それが世界全体に広がっていくため、「年前半が強く、年央でピークアウトする」というのが大きな捉え方です。

中国以外のアジア新興国は視界良好 中国は5%前後で落ち着くか
(画像=インベスコ・アセット・マネジメント)

米国は今の段階でも経済が盛り上がっていますが、就業者数やサービス業などはコロナ前の水準を下回っています。2022年は、就業者が増えていくことで所得も増えて、経済がさらに上向いていく展開になると思います。いま直面している労働者不足は徐々に解消し、供給サイドの改善によってインフレ圧力も弱まっていき、年前半は潜在成長率を上回る展開になりそうです。年後半は潜在成長率程度(2%前後)の成長に落ち着くと見ています。