史上最高値の更新が続いた2021年の米国株。上値の重い日本株に見切りをつけ、米国株にシフトする日本の個人投資家も増えているという。2022年の米国では、テーパリング(量的緩和の縮小)や金利の引き上げ、さらにインフレ懸念なども不安材料として指摘されているが、どう動くのだろうか。マネックス証券のチーフ外国株コンサルタントである岡元兵八郎氏に、2022年の米国株の見通しを聞いた。
米国市場は引き続き好調 2022年はS&P500で5150ポイントへ
ちょうど1年前の今頃、米国株はトンネルの先が見え始めたとお伝えしていたが、1年後の今、米国株は完全に暗闇のトンネルの先に行ってしまった。過去2年間のS&P500のパフォーマンスを見ると、2020年は年間を通して16.3%上昇、2021年は11月末までに21.6%も上昇している。IT関連企業の多いナスダック総合指数についても、2020年が43.6%、2021年は25.8%(12月23日現在)の上昇を演じている。また、時価総額トップ10の銘柄が65%を占めるナスダック100に至っては、2020年が47.6%、2021年が26.5%(12月23日現在)も上昇している。
では、2022年の米国株市場はどうなるのか? 私(岡元氏、以下同)は、S&P500ベースで5150ポイント程度まで上昇するのではないかと考えている。2022年末のアナリストによるS&P500の予想EPS(1株当たり利益)は225ドル。つまり、PER(株価収益率)に置き換えると23倍程度まで買われると予想している。PER23倍というと、一見割高感があるように思えるかもしれないが、マーケットは常に先を見て動くものだ。
2022年になると、今度は2023年の企業収益を意識し始めるに違いない。では、2023年のEPS予想はどうか。現時点では2,47ドルと予想されており、この数字をPERに置き換えると、私が予想している5150ポイントはPER21倍ということになる。つまり、時間の経過とともにS&P500の5150ポイントが正当化されてくるのではないか。ただ、注意しなくてはならないのは、2023年のマーケットは利上げの年でもあり、2021年以上にボラティリティ(変動率)の高い年になりそうだということだ。
株価が上がるためには、当然のことながら企業業績の伸びが必要だが、2022年の米国は経済正常化における業績の回復が継続し、利益率も改善してくる見通しだ。S&P500におけるEPSの成長率予想は、2021年が47.7%、2022年が7.9%、2023年は9.8%となっており、3年連続の成長が期待されているわけだ。もちろん、これは現時点での予想だが、仮にこの予想通りに企業業績が推移するのであれば、マーケットが下がるというのは考えづらい。
銀行を始めとする金融セクターに注目
投資妙味のあるセクターとしては、経済回復が続き、金利も上昇する年と仮定するならば、引き続き、銀行などの金融セクターが恩恵を受けるのではないか。また、2023年もテクノロジーセクターは魅力的だと考えているが、利上げもあるということなので、長期的には有望ではあるものの、赤字の「ハイパーグロース系」の銘柄には注意が必要だ。