「四十にして惑わず」という言葉がある。40歳にもなればさまざまな経験から、自分の生き方に迷いがなくなるという意味だ。しかし、会社勤めの人の場合、他の企業と比べてあまりにも年収が低ければ、「このまま定年まで今の会社で良いのか」と悩むはずである。
今回は、東洋経済オンライン編集部がまとめた40歳社員の企業別平均年収ランキングを紹介する。もしあなたが40歳なら、自分の年収が他社と比べて高めなのか低めなのかを考える上で参考になれば幸いだ。
東洋経済オンラインが40歳社員の平均年収ランキングを発表
東洋経済オンラインは2021年11月、上場企業3,230社を対象に、有価証券報告書と厚生労働省が出している「令和2年賃金構造基本統計調査」をベースとして40歳社員の年収を理論的に割り出した。さらにそれを順位付けし、上位500社を紹介している。
まず上位トップ20社を紹介していこう。
40歳社員の平均年収の推計値で1位となったのが「M&Aキャピタルパートナーズ」で2,633万円だった。2位は「キーエンス」で1,866万円、3位は「ヒューリック」で1,721万円という結果となった。
上位の企業の業種として目立つのが、M&Aを手掛ける企業や不動産関連企業、総合商社などだ。ちなみに、3位のヒューリックは東京都心などで賃貸業を営む不動産会社だ。
また、2位のキーエンスは電子機器を扱う企業で、この業種の企業が平均年収ランキングの上位にランクインしているケースは珍しい。
業種別の平均月給と比べた場合はどうか
もしあなたが40歳の場合、このランキングの上位企業の平均年収と自分の年収とを比べると、ほとんどの人が下回っているだろう。日本の中でも極めて平均年収が高い企業が上位にランクインしているからだ。
では、日本における40歳社員の平均的な年収と比べてあなたの年収は高いだろうか、低いだろうか。続いて紹介するのは、年収のデータではなく月給のデータで恐縮だが、厚生労働省が40~44歳の平均月給を業種別に発表しているデータを参考までに紹介する。
最も平均月収が高い業種は、男性では「金融業、保険業」で57万8,600円、女性は「情報通信業」で35万2,000円となっている。最も平均月収が低い業種は、男性は「運輸業、郵便業」で30万2,100円、女性も「運輸業、郵便業」で22万6,900円だった。
「四十にして惑わず」という言葉はあるものの…
冒頭、「四十にして惑わず」という孔子の言葉を紹介したが、あまりにも40歳の自分の年収が同業種の平均と比べて低ければ、わき目もふらずに今の会社で働き抜く覚悟を持つよりも、転職を考えた方が賢明かもしれない。
文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)