CEOになるためのキャリアパス
CEOになるためのルート
CEOになるための主なルートには、下記の3つがある。
・社内で昇進する
まずは、勤務している会社内でCEOに昇進する方法である。会社のCEOに昇進するには、社内の選任規程を確認するほか、現CEOの経歴などを参考にするとよいだろう。当然、現CEOや経営陣からの推薦・後押しが欠かせないため、業務で実績を上げることも必要だ。
・転職してCEOに就任する
経営経験がないならば困難な道であるが、CEO人材の求人も存在するため、そうした求人に応募して転職することでCEOに就任する方法もある。
・起業してCEOに就任する
自身で会社を設立してCEOを名乗る方法もある。自社のCEOを名乗ることに何ら制限はなく、CEOは法律上の機関でもないことから、登記等の手続きをしなくても名乗って構わない。
CEOになるための業務経験
CEOになるには、CEOの選任においてプラスに働く業務経験も必要である。
例えば、子会社のトップとして経営責任を負った経験や、海外での業務経験などがあれば、CEOへのキャリアに大きく近づくだろう。また、経営関連の学歴・資格取得などもCEOの選任においてプラスに働くと考えられる。
CEOと他の職との違い
会社組織では、CEO以外にもさまざまな役職がある。ここでは、CEOとそれ以外の代表的な役職との違いを解説する。
CEOと代表取締役の違い
CEOと代表取締役は、いずれも会社の業務執行のトップである。代表取締役は、会社の代表権を有する者として会社法に定められていることに対し、CEOは、会社法に定められた役職ではないという違いがある。
そのため、CEOと名乗るだけでは、会社を代表して業務を行う権限がある人物なのか、取締役の一人として会社の意思決定に携わることのできる人物なのかがわからない。
CEOを名乗る際には、社内の職制であることに留意し、誤解のない表示をすることに配慮する必要がある。なお、CEOの任に就く者は、その会社の代表取締役であることが一般的である(例:代表取締役兼CEO)。
CEOと代表取締役には、どちらも一つの会社に複数人いて構わないという共通点もある。ただ、複数名を代表取締役としている会社でも、CEOは一人というケースが多い。複数のCEOがいる会社とは、たとえば事業部門ごとにCEOを配置しているケースがあげられる。
なお、代表取締役を選定する義務のない会社もあるため、CEOと代表取締役のどちらも存在しない会社もある。
CEOと業務執行取締役の違い
業務執行取締役とは、取締役会設置会社において、会社の業務執行の権限を与えられた取締役のことである。具体的には、「1.代表取締役」か、「2.代表取締役以外の取締役のうち、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定された人物」が該当する。いずれにしても、取締役に選任されることが前提である。
これに対してCEOは、最高経営責任者として会社全体の業務執行を統括する役職であり、その選任の根拠は法律にはなく、運用は会社に委ねられる。もちろん、代表取締役や業務執行権を与えられた取締役の中からCEOを選任することも多いため、「CEO=業務執行取締役」というケースもあり得る。
CEOと取締役の違い
取締役も、会社の業務執行を担う会社法上の機関の一つであり、代表取締役と同じく法律にその根拠がある点において、CEOと異なる。CEOが必ずしも取締役である必要はない。
執行役員制度を導入している会社では、取締役でない執行役員をCEOに選任しているケースも見られる。
たとえば、多角的な事業展開をする三菱商事を例に見ると、取締役と兼務していない数名の執行役員が、「〇〇グループ」の名を冠し、事業部門ごとのCEOに選任されている。
(参考)三菱商事株式会社
CEOと会長・社長の違い
会長・社長とは、いずれも法律上の会社の機関ではなく、各社の判断で運用されている職制であり、この点はCEOと共通する。
社長とは、文字どおり会社経営のトップであり、会長は取締役会の会長を指す。会長は、前経営者として現経営者をサポートする役割を担ったり、名誉職として運用されたりする場合がある。会長のもつ人脈や経験が会社にとって重要なことは少なくなく、会長の担う役割は会社によってさまざまである。
どちらも代表取締役である会社が多いが、社長は代表取締役、会長は取締役である会社もある。
会長や社長の職がある中で誰がCEOに就任するかは、会社によって異なる。会長がCEOの会社もあれば、社長がCEOの会社もある。
会長がCEOである場合、社長がCOO(Chief Operating Officerの略:最高執行責任者)である場合が多い。これは、アメリカ型のコーポレート・ガバナンスにならった組み合わせである。
なお、会長・社長は、1名ずつであることが通常である。たとえば、代表取締役が3人いても、代表取締役会長や代表取締役社長を称するのは1名ずつということだ。複数名のCEOを擁する企業もあるため、この点にも、CEOと社長・会長の違いがあるといえる。
CEOと執行役員の違い
執行役員は会社の業務執行を担い、取締役から業務執行の役割を分離し、取締役会の意思決定や監督機能を強化するための役職である。
アメリカのコーポレート・ガバナンスにならって日本に導入された職制で、CEOに同じく会社法上の役員ではない。CEOは業務執行を統括する役職であるため、執行役員制度を導入している会社のCEOは、執行役員の行う業務を統括する立場にあるといえる。
なお、CEOが執行役員を兼任している会社もある。
CEOとCOOの違い
COO(Chief Operating Officer)とは、最高執行責任者のことで、CEOの統括下において営業活動に関する業務執行を統括する立場である。CEOが会社全体の業務を統括するのに対して、職責の範囲が限定されているという点が異なる。
アメリカの会社では会長がCEOを、社長がCOOを兼任することが多く、日本でもこれと同じ形態を選択している企業が見られる。
CEOとCFOの違い
CFO(Chief Financial Officer)とは、最高財務責任者のことである。
CEOの統括下において財務に関する業務執行を統括する立場であり、他のCxOと同様、CEOとは職責の範囲に違いがある。
その他CEOに似ている職種との違い
CEOに似ている責任者は、COOやCFO以外にも無数に存在する。
必要な部門に適切な統括責任者を選任することによって、その業務体制を強化することができるだろう。下記はその責任者の、ほんの一例である。
CMO(Chief Marketing Officer:最高マーケティング責任者)
CMOは、マーケティングに関する業務を統括するトップである。CEOの統括下において、マーケティング戦略の策定や実行を担う。CTO(Chief Technology Officer:最高技術責任者)
CTOは、製造技術、化学技術、IT技術といった、企業の技術部門の活動を統括するトップである。CEOの統括下において技術面からの経営戦略の策定や実行を担う。CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)
CIOは、企業の情報戦略を統括するトップである。CEOの統括下において、ITインフラの構築やシステムの導入などに関する、IT戦略の立案から実行を担う。CHRO(Chief Human Resource Officer:最高人事責任者)
CHROは企業の人事を統括するトップである。CEOの統括下において、採用や育成、人材の活用といった人事戦略の策定と実行を担う。