CEOの選任・解任手続き
CEOになるために必須の資格や経歴は特にない。
また、CEOは法律上の機関でないことから、選任や解任の手続きについても法律上の決まりはなく、その会社の内部規定にしたがって手続きを行うことになる。
一般的に、CEOの選任・解任は取締役会で行う。選任や解任の基準は各社に委ねられており、CEOの選解任の基準を自社ホームページ上で公開する企業もある。
コーポレートガバナンス・コードにおいても、CEOがその機能を十分発揮していないと認められる場合に備え、CEOを解任するための客観性・適時性・透明性ある手続きを確立すべきとしている(「補充原則4-3③)。
取締役の場合
CEOは取締役の中から選任されることも多い。
取締役の選任・解任の手続きについては、会社法で定められている。具体的には、株主総会の決議が必要となり、任期は選任後2年以内(非公開会社は10年以内にすることも可)となる。
CEOは業務執行のトップとしての責任範囲を明確化しよう
CEOの導入経緯やCEOの役割とはどのようなものか、CEOと他の役職との違い等について解説した。CEOは会社法で定められた役職ではないが、代表取締役と同様に会社の業務執行のトップである。他の役職との兼務を行う際には、その責任の範囲を明確にした上で、内外に示す必要がある。
なお、CEOの実際の運用をわかりやすくするために、文中で実在する会社の経営体制を紹介しているが、すべて執筆当時(2021年10月)、ホームページで公開されている内容に基づいて執筆していることをご了承いただきたい。
CEOに関するQ&A
社長とCEOの違いは何?
社長とCEOはいずれも会社経営のトップが就任する役職である。いずれも法律に定められた会社の機関ではないため、導入するかどうか、導入した場合の役割や地位などについては会社の運用に委ねられる。
したがって、社長やCEOといった肩書きをもつ者がいない会社もあれば、会社のトップである代表取締役が社長やCEOを兼ねていることもある。
また、グループ会社であれば、グループ内の他社のCEOや社長の肩書をもつ人物が取締役として就任しているケースもある。
CEOと会長どっちが偉いのか?
「CEO(Chief Executive Officer)」は会社の最高経営責任者と訳されるが、日本の法律に定められた役職ではなく、運用は会社に委ねられている。これに対して「会長」とは一般的に取締役会の会長を指し、CEOと同様に法律で定められた機関ではなく、運用は会社に委ねられる。
会社によっては、会長職を前社長の名誉職として運用している企業もあるため、実際の業務権限についても会社によって異なっている。したがって、CEOと会長には権限の有無やどちらが偉いかといった点についての決まりはない。一般的には個々の会社において、法律上の代表権があるかどうか、株式の保有割合はどちらが大きいかといった、会社に対する影響力で判断することになるだろう。
CEOは日本語で何か?
CEOとは「Chief Executive Officer」の略であり、日本語で「最高経営責任者」と訳される。最高経営責任者とは、会社全体の業務執行を統括する役職のことだが、日本の会社における法律上の機関ではないため、設置するかどうかは企業に委ねられている。
CEOと似ている役職にCOO、CFOなどがあるが、こちらは日本語で最高執行責任者(COO:Chief Operating Officer)や最高財務責任者(CFO:Chief Financial Officer)と訳されるものであり、CEOとは異なる。
CEOと代表取締役の違いは?
CEOと代表取締役はいずれも会社の業務執行のトップであるが、代表取締役は会社の代表権を有する者として会社法で明確に定められていることに対し、CEOは会社法に定められた機関ではないという違いがある。
「代表取締役兼CEO」として、CEOの任に就く者がその会社の代表取締役であるケースもよく見られるが、必ずしもCEOが代表取締役であるとは限らないため、CEOを名乗る場合は、内外に混乱を与えないよう注意が必要である。
文・中村太郎(税理士)