魔の川・死の谷・ダーウィンの海の乗り越え方
ベンチャー企業や中小企業などが魔の川・死の谷・ダーウィンの海を乗り越えるには、大企業とは異なる視点で対策を練ることが必要になる。経営資源で勝負をしても勝ち目は薄いため、さまざまな視点から対策を考えることが重要だ。
魔の川を乗り越える方法
競合他社や競合商品に対しては、明確に差別化をすることが重要になる。例えば、上記の例でスマートフォンには実装できない機能を搭載すれば、ニーズの大部分を奪われることはなかったはずだ。
また、潜在顧客に対して効率的なアピールをするために、ターゲット層も明確にしておく必要がある。ターゲット層が分かれば、アンケートやレビューなどを活用することでニーズをいち早く掴めるので、市場の変化にもついて行けるだろう。
また、研究開発のスピードアップを図るために、経営資源の投入やプロセスの効率化にも取り組みたい。
死の谷を乗り越える方法
顧客分析の方向性をただすには、顧客が抱えている課題をしっかりと把握・理解することが必要になる。その上で、現在のプロジェクトが「どのような価値を提供できるか?」や「顧客の満足感につながるか?」を冷静に分析すれば、顧客が本当に求める商品像がはっきりとしてくるはずだ。
そのほかの要因に対しては、早い段階でテストマーケティングを繰り返すことが有効になる。仮にテスト段階であっても、市場への投入には経営トップの判断が欠かせないため、自然と社内のコミュニケーションは活発化するだろう。テストマーケティングのデータを収集すれば、それをもとに意見を交わし合う場も生まれることになる。
さらに、商品化・事業化は分かりやすい成果なので、従業員のモチベーションを刺激する効果も期待できる。ただし、あまりにも未完成な商品を市場に出すと、会社のブランド力を損なうこともあるので注意しておきたい。
ダーウィンの海を乗り越える方法
新規事業やイノベーションに挑戦する上で、ダーウィンの海に直面することは避けられない。よほど斬新なビジネスを思いつかない限り、市場には多くの競合や代替品が存在するためだ。
だからこそ、ダーウィンの海を乗り越えるには要因を明確にし、ひとつずつ丁寧に対策を立てることが重要になる。どのような対策がとれるのか、視野を広げて考えてみよう。
ちなみに、商品化を先走ってしまった場合は、市場が形成されるまで待つ方法も選択肢になる。
例えば、リチウムイオン電池は1990年頃から販売されたが、しばらくは世間から注目されなかった。しかし、さまざまなIT関連製品・技術が軌道に乗り始めた1995年頃に状況が一変し、その後は急成長を遂げていく。
このように、ダーウィンの海を長らく漂っていた商品でも、関連製品の台頭などのきっかけがあると爆発的に売れることがある。