バルミューダ、売上約1.5倍に! バルミューダフォンはどうなる?好調の要因
(画像=yu_photo/stock.adobe.com)

新興家電メーカーのバルミューダは、スマートフォンの発売や役員のインサイダー取引の疑いなど、何かと最近話題となっている。2020年12月の上場後、2度目となる通期決算の発表が行われた。売上高は前期比46.0%増と好調で、純利益も21.7%増を記録した。

バルミューダの2021年12月期の連結業績

バルミューダが2022年2月10日に発表した2021年12月期の連結業績(2021年1~12月)は、売上高が前期比46.0%増の183億7,900万円、営業利益が同15.3%増の15億1,800万円、最終損益は同21.7%増の10億1,500万円だった。

バルミューダ、売上約1.5倍に! バルミューダフォンはどうなる?好調の要因

バルミューダは2021年12月期、新製品の発売でラインナップを拡充したほか、積極的なメディア露出やデジタル広告を通じ、ブランド力の向上に努めた。その結果、同社の看板商品の1つである「スチームトースター」の販売台数は、累計で150万台を突破した。このような点が売上高の大幅増に結びついた。

また、IT機器・サービスの新ブランド「BALMUDA Technologies」を立ち上げ、スマートフォンの販売をスタートしたことも記憶に新しい。2021年11月に発売後、一度は販売を停止したが、その後、販売を再開している。大幅な売上増を果たしつつ、新たな挑戦もしているわけだ。

製品カテゴリー別の売上成績は?

ちなみに、以下が製品カテゴリー別の売上高だ。昨年から新たに発売したスマートフォンの売上高は、「携帯端末関連」に含まれている。

最も伸びたのは「キッチン関連」で前期比38.4%増だ。「携帯端末関連」はスマホ発売初年ながら25億4,900万円と、同社としては決して少なくない売上高を計上した。

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バルミューダの過去の業績、2018年12月期と2021年12月期を比べると?

バルミューダの過去の業績についても振り返っておこう。上場前の業績も含めて同社のIRページから確認できるデータは、以下の通りだ。2018年12月期と2021年12月期を比べると、売上高は111億8,100万円から約1.6倍に、純利益は約26.0倍となっている。

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しかし2022年12月期については、売上高はやや伸びるものの、営業利益と経常利益、そして最終損益は前期比で減となる見通しを立てている。その理由については定かではないが、BALMUDA Technologiesにおける製品開発に多くの投資を行っていることが理由なのかもしれない。

一部の製品は春頃までの値上げを検討

決算説明会はオンライン形式で行われ、同社の寺尾玄社長が登場した。説明会で寺尾社長は、2つの件について謝罪を行った。スマートフォンの販売を一時停止したことが1つ、もう1つは役員のインサイダー取引疑惑で混乱を招いたことだ。

その一方、寺尾社長は今回発表した通期決算については「健全な範囲内の数字」とした上で、将来に向けた投資を今後も積極的に行っていくことを強調した。また、一部の製品については、春ごろまでの値上げを検討していることも明らかにした。

ほかに、決算資料で「今後に向けた取り組み」として紹介されていることとしては、日本・北米・韓国の重点地域への製品展開を加速することや、製造パートナーとともにさらなる原価低減を進めること、製品開発プロセスの効率化などだ。

バルミューダの次なる新製品は何だろう?

バルミューダは着実に売上と利益を高めながら、新たな分野の開拓にも積極的に挑戦している印象だ。まず、スマホ事業を成功させることに当面は力を入れていくものと思われるが、その後は別のカテゴリーの製品を開発するかもしれない。

バルミューダが「EV(電気自動車)」を発売する可能性だって無くはない。内燃機関を持つガソリン車ではなくEVであれば、構造はわずかではあるが家電に近づく。バルミューダがEVの発売をもし発表すれば、同社の株価は上がることになるかもしれない。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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