PERから分かることは?目安と判断方法
PERから分かることは、企業の収益力に対する株価の割高度・割安度である。また、経営分析で活用する場合は、株式資本コスト(※)や利益成長率の水準も判断できる。
(※)株式の発行によって資金調達をする際にかかるコスト。
PER自体は単なる数値に過ぎないため、活用の際には「平均値と比べて高いか」や「なぜこの数値になっているか」まで分析することが重要だ。以下では、PERの分析方法について解説する。
日経平均での目安は14~16倍
日経平均株価の構成銘柄を見ると、PERの平均値は14~16倍で推移している。そのため、一般的には14倍に近づくと買い注文が増え、16倍に近づくと売り注文が増える傾向にある。
ただし、前述の通りPERの平均値は、対象となる企業の規模や業種によって異なる。各市場の平均値を比較すると分かるが、成長過程にある企業ほど高い数値になりやすい点も特徴だ。
また、経済産業省の資料によると、プライム市場の主要企業では事業セグメントの数が多いほど、PERは低下していく傾向がある。
つまり、PERが15倍前後で推移していたとしても、規模・業種・事業セグメント数によっては株価が安定しているとは限らない。したがって、PERの水準を比較する際には、対象会社と似た企業のデータを集める必要がある。
PERは数値だけではなく背景からも分析する
PERが平均値から離れている場合は、「なぜ数値が高いか(低いか)」という背景まで分析することが重要だ。
例えば、PERが高くなる要因には、株価の上昇や一時的な利益の減少がある。もし投資家から成長を見込まれている場合は、株価の上昇によってPERが押し上げられていると考えられるだろう。一方で、季節的な問題で事業の赤字が拡大するなどのケースでも、PERの数値的には同じような傾向が現れてしまう。
同様に、PERが低い場合も「なぜ株価が伸び悩んでいるか」や「直近の純利益はどうか」まで分析することが望ましい。仮に当期純利益が伸びていても、業績が不安定だったり不採算事業が多かったりすると、投資先としての魅力が失われているようなケースもある。
参考として、以下ではPERが高いとき・低いときに分析したいポイントをまとめた。
<PERが高いときに分析したい点>
・直近の株価は安定しているか
・投資家などから成長を見込まれているか
・一時的に利益が減っていないか
<PERが低いときに分析したい点>
・直近の株価は安定しているか
・投資家にとっての不安材料はないか
・利益の増加が一時的ではないか
このように、PERの構成要素(株価や純利益など)から背景まで分析すると、その企業の経営状態を把握しやすくなる。