◉中国人億万長者のホットトピック
2013年の中国人富豪のトップ10を見てみると、6名の年齢が80歳を超えています。彼らの多くは自ら財産を築いた億万長者なのですが、高齢を迎えているため、二代目、三代目の後継ぎにどう資産や事業を継承するかという事に頭を抱えている方も多いようです。
ちなみに中国では叩き上げで財産を築かれた方の子供世代を「富二代」と呼びます。そして彼ら富二代の中では親の会社や事業を継ぎたがらない人も多く、大変問題視をされています。
富二代は一流の教育を受け、知識が豊富で個性も強い人物が多く、親が作った会社を継ぐのではなく、「親の支援を受け自分で何か事業を始めたい」と考えている人物が多くいます。また、それとは対照的に「働かなくても遊んで暮らせるため、余計な苦労はしたくない」と考えている富二代も多く、結果親の事業を継ごうと考える方は少数派となっているようです。
後継者問題や事業承継問題については、当面は現状を維持しながら他の方法を模索するしかないと考えている人が多いようです。
日本でも現在団塊の世代の経営者の引退の時期が近づいてきたこともあり、事業承継が話題となっていますが、日中とも同種の悩みを抱えているようですね。
また、他に興味深いのは番付の中で最年少の中国(大陸)の宗慶后氏とタイの蘇旭明氏の事業です。
番付全体を通して見るとトップ5の中で4名が不動産業を営み、また香港の中国人富豪の3分の1が不動産業であるように、中国系の億万長者の主流は不動産関連と言われています。そんな中、彼らは飲料業界で消費が早いワインとソフトドリンクなどを巧みに販売し、莫大な富を築いてきました。
徐々に富を生み出す産業の主流も移り変わっているのかもしれません。
◉中国人億万長者達の経歴など
◯李嘉誠
香港最大の企業集団・長江実業グループ創設者兼会長です。総資産は310億ドルと言われ、世界でも8番目の資産家でありアジア最大の億万長者です。
また、李嘉誠氏はfacebookへの投資エピソードも有名です。2007年のまだ収益がゼロに近く創業3年目のfacebookに対して、ユーザー数の伸びを見て将来性に着目し、150億ドルの評価額で1億2000万ドル(0.8%分のシェア)を出資しました。わずか5分で投資を決断されたそうです。
なおfacebookはその後、2012年のIPO時には1000億ドルの時価総額がつきました。
李嘉誠氏は「テクノロジーに限界はない」という考え方のもと、現在もアプリや最先端医療の分野に積極的に投資を行っています。
◯謝国民
タイで一番の億万長者です。農畜産や食料品を中心に、タイや中国などで食品、通信、小売り、オートバイなど多角的な生産を手がけており、世界屈指の飼料と家畜の供給を行っている泰国正大集団(Charoen Pokphand、CPグループ)の会長です。
中国内の企業に対して多額の直接投資を行い、現在華人圏でCPグループは「卜蜂集団」、或は「正大集団」呼ばれ知らない人はいないそうです。
◯施至成
フィリピンで一番の億万長者です。全国展開のショッピング・モール47店舗を中心に、銀行や不動産開発などフィリピンの華人系財閥では最大規模の内容を持つSM集団の会長です。
施至成氏が率いるSMインベストメンツとマカオのメルコクラウンのジョイントベンチャーが、今年中にフィリピンのニノイ・アキノ国際空港から近いマニラ湾沿いにカジノ、ザ・ベルグランデをオープンさせる予定です。
◯郭鶴年
福建省福州からジョホールに渡った父親のもとで英才教育を受け、第2次大戦中にはシンガポール三菱商事の米穀部門で働いたこともあるそうです。
戦後は兄弟で貿易会社を設立し、50年代末から60年代初頭にかけて独立マラヤ政府が推進した工業化促進政策に沿って製糖、製粉部門に進出し「世界の砂糖王」と呼ばれていました。
1974年に香港に進出し、ホテル、メディア、物流などを核とする嘉里(Kerry)集団を率いて強い影響力を発揮する一方、北京中枢とも強いパイプを持つ人物として知られています。
◯宗慶后
中国(大陸)で一番の億万長者です。中国最大の飲料水企業である娃哈哈(ワハハ)集団の董事長と総経理を務めます。娃哈哈集団は、1987年に宗慶後氏が杭州市で、登録資金わずか20万元で始めて以来、短期間に巨大な飲料グループに発展してきました。
人生の大成功を納められた宗慶后氏ですが、ご息女に近づいてくる男性の動機が彼女自身なのか、それともお金なのかがはっきりできないことが直近の大きな悩みと言われています。
何が人間の幸せなのかというのは難しいものがありますね。
以上、2013年版の中国人億万長者番付のまとめをお届けしました。
また、中国関連情報をまとめてお届けしたいと思います。
BY S.T
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