ニトリ、マクドナルド、神戸物産… コロナ禍の勝ち組に共通する特徴とは?
(画像=wolterke/stock.adobe.com)

コロナ禍は経済の混乱を招き、多くの企業にとって向かい風となった。一方、コロナ禍が追い風となった企業もある。勝ち組企業に共通するキーワードが「巣ごもり需要」や「テレワーク」、「非接触」だ。ニトリやマクドナルドなど4社の勝ち組企業を紹介しよう。

ニトリ:テレワークや外出自粛が追い風に

ニトリは、家具やインテリア、キッチン雑貨などのライフスタイルに関するさまざまな商品を展開している企業だ。コロナ禍でニトリに追い風が吹いた理由は、テレワーク(リモートワーク)が推奨され、自宅で働く人が増えたことや、外出自粛の呼び掛けに応じて自宅で過ごす時間が長くなった人が増えたことなどだ。

自宅にいる時間が長くなると、自然と自宅で過ごす環境を今より快適にしたくなる。また、テレワークのために必要な机や椅子を新たに購入する人もいる。このような理由でニトリを訪れ、家具や生活用品などを買い求めた人は多かった。

ニトリはラインアップが豊富で、「ニトリに行けば一度に必要な商品が手に入る」と顧客に感じさせている点もポイントだろう。コロナ禍においては、何店舗もめぐって商品を探すことを避けたい人が多いからだ。

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マクドナルド:デリバリーやドライブスルーの仕組みが吉と出た

コロナ禍では、外食産業に属する多くの企業が深刻なダメージを受けた。しかし、マクドナルドは例外だった。以前からデリバリーへの取り組みに力を入れていたことや、ドライブスルーの仕組みがあることが吉と出た。

フードデリバリーもドライブスルーも、人との接触を最小限にできるサービスだ。つまり「非接触型」(コンタクトレス型)のサービスと言え、感染防止の観点から多くの消費者に支持された。ドライブスルーに長蛇の列ができた店舗も少なくない。

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神戸物産:業務スーパーを展開、自炊の機会が増えたことが追い風に

神戸物産という企業名を聞いてもピンと来ない人がいるかもしれないが、展開しているのが「業務スーパー」だと聞けば、すぐに「あ、あの店ね!」となるはずだ。神戸物産もコロナ禍が追い風になった企業の一つである。

外出をせずに自宅で過ごす時間が長くなればなるほど、自炊する機会が増える。そして、自炊するための食材をまとめて購入しようと、多くの人が業務スーパーを訪れた。業務スーパーの商品は1パック当たりの内容量は多めだが、その割に価格が安く、コストパフォーマンスが良いのが特徴だ。

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任天堂:巣ごもり中の子どもや大人のゲーム需要を受け止める

そして、コロナ禍の勝ち組企業として忘れてはいけないのが、任天堂だろう。子どもにとっても大人にとっても、自宅で巣ごもり中に何もすることがないとつまらないものである。そこで、任天堂が販売しているゲーム機「Nintendo Switch」とゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」が売れに売れた。

ゲーム内でインターネット通信を介して他の人とつながることができることも、人に会うことが難しいコロナ禍という状況では追い風となった。

同社の決算資料によれば、「あつまれ どうぶつの森」は2020年4月~2021年3月に2,085万本を販売したほか、Nintendo Switchを含むゲーム機の販売台数は前期比37.1%増の2,883万台となったという。その結果、2021年3月期の純利益は実に85.7%増と大幅に伸びた。

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追い風が「偶然吹いた」と言えなくもない

この記事で紹介したいずれの企業も、追い風が「偶然吹いた」と言えなくもない。今回のパンデミックを事前に予想できていたわけではなく、戦略的にパンデミックをねらった商品展開をしていたわけではないからだ。

そのような意味では売上や純利益が伸びたからといって、勝ち組企業たちにとって慢心は禁物だ。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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