うがい薬は40%減 コロナ2年目、販売が落ちた商品は?
(画像=J BOY/stock.adobe.com)

新型コロナウイルスの感染者が日本国内で初めて確認されてから丸2年が経った。2020年、2021年と時間が経つ中で、コロナ対策に使える商品の売れ行きに、変化が起きているようだ。全国の6,000店舗の販売データを調査した結果が発表されたので、参照しよう。

2021年、コロナ対策商品が軒並み販売減

調査結果を発表したのは、民間調査会社のインテージだ。2021年12月、「2021年、販売苦戦したランキング」を公表しており、販売金額が前年比で落ち込んだ順、つまりワースト順で商品カテゴリーを並べて紹介している。早速ランキングを紹介していこう。

以下の表における「2021年1~10月」の列は「2021年1~10月の販売金額の前年比」、「2020年1~10月」の列は「2020年1~10月の販売金額の前年比」をそれぞれ示す。

うがい薬は40%減 コロナ2年目、販売が落ちた商品は?

「うがい薬」が前年比60%でワースト

2020年1~10月と比べて、最も販売金額が落ち込んだのは「うがい薬」で、前年比60%だった。コロナ対策関連商品では「殺菌消毒剤」が2位で前年比70%、「ぬれティッシュ」が4位で前年比74%、「マスク」が5位で前年比75%となっている。

コロナ禍が完全に収束していないにも関わらず、2021年1~10月にコロナ対策関連商品の販売が落ち込んだ理由について、インテージは「昨年(=2020年)驚異的に売り上げを伸ばした反動」と分析している。

ちなみに、2021年1~10月の販売金額をビフォーコロナの2019年1~10月と比べると、以下の通りとなる。2020年1〜10月と比較すると販売が落ち込んでいても、ビフォーコロナからはいずれも販売金額は伸びていることが分かる。

うがい薬は40%減 コロナ2年目、販売が落ちた商品は?

「芳香・消臭剤」や「プレミックス」も販売減

「芳香・消臭剤」は前年比83%で12位だった。インテージは「ウイルス除去効果をうたうものや、おうち時間を快適にする需要で昨年は伸びましたが今年は反動で落ちています」と分析している。

前年比84%で13位だった「プレミックス」(※パンケーキなどをつくるときに使う調整粉)に関しては、「巣ごもり期間に家でお菓子などを作るブームが少し落ち着いたこと」が販売金額の下落の要因だとしている。

化粧品の販売、ビフォーコロナからの落ち込み止まらず

化粧品の販売が落ち込んでいることにも注目したい。最初に紹介したランキングの表では、「ほほべに」が3位で2021年1〜10月の売上高は前年比72%、「口紅」が6位で前年比77%となっている。以下が化粧品の販売金額の前年比のワーストランキングだ。

うがい薬は40%減 コロナ2年目、販売が落ちた商品は?

ちなみに、上記は2021年1〜10月と2020年1〜10月を比較した場合のパーセンテージだが、2019年1〜10月と比較すると、ビフォーコロナからの販売金額の落ち込みの大きさがよく分かる。

「ほほべに」の販売金額は2019年1〜10月比で47%、「口紅」の販売金額は2019年1〜10月比で35%しかない。インテージは、マスクで隠れる部分につかう化粧品の落ち込みが激しい、と分析している。

コロナ禍収束後のランキングにも注目を

この記事では「数字」を切り口に、新型コロナウイルスが商品販売に与えた影響を考察してきた。

ちなみにインテージはマスクの平均単価の推移も紹介しており、2020年5月に1枚平均54円だったのをピークにその後は下落傾向にあり、2021年10月には1枚平均23円まで価格が下がっているという。

2022年、オミクロン株が収束すればコロナ禍は完全収束となっていくかもしれない。そうすればマスクの平均価格はさらに下がり、コロナ関連対策商品の販売金額も下がり、逆に化粧品の販売金額は回復することになりそうだ。インテージの次回の調査結果に注目だ。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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