「NHK受信料」は、ここ数年、何かと話題に上がることが多い。この受信料、都道府県によって支払率がかなり異なる。どの都道府県の支払率が最も高いのか、逆にどの都道府県の支払率が最も低いのか、興味がわかないだろうか。NHKが公表しているデータを参照していこう。
NHKの受信料を支払うべき人は?
まず大前提として、NHKの受信料について簡単におさらいしておこう。NHKの公式サイトによれば、NHKの受信料を支払うべき人は、NHKと「放送受信契約」を結んだ人だ。
そして、この放送受信契約の対象者については、「NHKの放送を受信できるテレビ(チューナー内蔵パソコン、ワンセグ対応端末などを含みます)を設置された方」と説明されている。ちなみに、このような説明の根拠は、「放送法第64条」となっている。
▼放送法|e-Gov
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000132
都道府県を推計世帯支払率が高い順に並べてみる
続いて、NHKが公表しているデータから、都道府県別の推計世帯支払率ランキングを紹介していく。以下が2020年度末時点の推計世帯支払率を高い順に並べたランキングだ。
補足すると、全国平均は80.3%で前年度末から1.5ポイント低下しており、全ての都道府県で推計世帯支払率は低下している。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、受信契約に関する各世帯への訪問がこれまで通りにできなかったことが理由だ。
1位は秋田県で97.4%、大阪・東京はワースト2位・3位
最も推計世帯支払率が高かったのは「秋田県」で97.4%だ。推計世帯支払率が90%を超えるのは秋田県を含めて12県あり、東北からは宮城県(83.1%)を除き5県が90%以上となっている。
断トツで推計世帯支払率が低いのが「沖縄県」で、49.8%である。47都道府県で唯一、推計世帯支払率が50.0%を切っている。大都市圏の推計世帯支払率も低い傾向にあり、46位が「大阪府」で66.8%、45位が「東京都」で67.7%という結果だ。
結果として、沖縄は例外的だが、地方の方が支払率は高く、大都市圏の方は支払率が低いという状況だ。なぜこのような差が出てくるのだろうか。
NHKはその要因として「(大都市圏の方が)世帯の移動が多いことや、単身世帯や共同住宅の割合が大きく、訪問しても会うことが困難であること」などを挙げている。
NHKが「特別あて所配達郵便」を活用、その効果やいかに
NHKは当然、支払率を上げることに努めており、2021年から新たな動きを見せている。それが、日本郵便の「特別あて所配達郵便」という仕組みを、受信料を徴収するための取り組みに活用することだ。
「特別あて所配達郵便」とは、氏名なしで特定の住所に郵便物を届けることができる仕組みだ。現在のところ、この「特別あて所配達郵便」を利用しない限り、住所と氏名がセットでなければ特定の住所に郵便物は届かず、差出人に発送物が返送される仕組みとなっている。
「特別あて所配達郵便」の場合は、1通につき郵便料金が200円上乗せされるが、NHKはこの仕組みを受信契約の「切り札」として使い、受信料契約を結んでいない住所へ文書を発送する試みを2021年6月から始めている。
この取り組みの効果がどの程度出ているかは、今後の推計世帯支払率の推移から見えてくるはずだ。次回以降のNHKの推計世帯支払率の発表に、注目したい。
文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)